配当利回りよりも配当成長力を意識した投資がマスト

数日前の日経から日本の個人投資家の投資選好に関して気になったニュースがありました。

高配当国内株、個人の主流 銘柄堅調で支持定着か海外株人気は一服 日経マネー投資家調査
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72063110Q3A620C2ENG000/

雑誌「日経マネー」が40~50代を中心とする幅広い年代の個人投資家に投資スタイルや選別基準についてアンケート調査を実施し、7902人からの回答結果を報じています。

これによると、日本の個人投資家の投資に対する考え方が「海外株より日本株を選好」「成長性より配当利回りを重視」へと、昨年から変化しているそうです。

この回答結果を見て気になったことが2つありました。

一つは、投資スタイルや銘柄選別基準に「高配当利回り」「割安」「成長性」「安定性」を重視するとの回答者は多くいるものの、「配当成長率」という文言が一切出てこないことです。

アンケート内容自体に「配当成長率」に関する選択肢がないのかもしれませんが、いずれにせよ日本人投資家のあいだで「配当成長率」への意識が低いことは間違いありません。

配当を重視する投資スタイルには、大きく分けて配当利回りの大きさと配当成長率の大きさに着目する2つがあります。

この2つは似て非なるものです。

ほとんどの日本人が着目する配当利回りの大きい銘柄には、たくさんのゴミクズ銘柄が含まれています。

配当利回りの大きい銘柄のなかには、直近のたまたまの好業績で一時的に高配当を出しているだけという場合もありますし、衰退企業で減配、無配、さらには経営破綻のリスクを反映した場合もあるからです。

6月1日時点の予想配当利回りランキングが下のリンク先に掲載されています。
https://diamond.jp/zai/articles/-/242469

これによると、配当利回り上位5銘柄は次の通りです:

アールビバン:7.05%

東洋精糖:7.05%

富士興産:6.95%

世紀東急工業:6.94%

タチエス:6.55%

これら5銘柄の配当支払い推移や、配当原資であるフリーキャッシュフロー(FCF)の推移を簡単にチェックしてみました。

するとどうでしょう。これら5銘柄は、今年に特別配当を出して配当額が倍になっていたり、FCFが減少傾向にあったり不安定だったりマイナスの企業だらけで、安定して配当を支払える企業は皆無でした。

これら5銘柄の年間配当が半分以下にばっさり削減されるのは時間の問題です。

配当収入はあなたの毎年の収入をインフレに負けずに増やし、購買力を高める有力な収入源になりえることは確かです。

でもそのためには、インフレ以上のペースで毎年安定して増配できる銘柄に投資しなければなりません。

つまり「配当成長率」の大きさを重視して銘柄選定しなくてはいけないのです。

しかも過去の配当成長でなく、将来の配当成長を期待できる銘柄に投資しなくてはなりません。

そのためには過去の配当成長率といった投資指標の確認だけでは不十分です。

配当の原資であるFCFを将来も長期的に伸ばせるかどうかは、企業のビジネスモデルを理解したうえで、直感と論理を駆使して質的に分析することで初めて把握できるものなのです。

スキル?もちろん必要ですよ。身につけるには…天才でないかぎり、たぶん最低数年間の努力は必要です。事実に基づいて考え、年間最低でも何十冊の読書をして幅広い知識・思考を身につけることを習慣づけることはマストです。

だけれども好奇心と意欲さえあれば誰でも身につけられます。結局最後はここに行き着く。

もう一つ、記事を見て気になったことを簡潔に。

海外株から日本株を選好する人が増えているようですが、このアンケート調査は4月18日~5月9日に実施されました。ちょうど、日経平均が上昇し始め3万円突破まであと一息のタイミングでした。

そういうこと。では結論。

このアンケート結果は、日本の個人投資家が目先の株価、目先の配当利回りに飛びつく、短期的な目線でしか投資できない残念な集団であることを改めて浮き彫りにしただけのようです。

あ~あ、またくだらない新聞記事についてグダグダつぶやいてしまったな。

いずれにせよ、伝えたかったのは将来の配当成長に着目して投資することが大切だということです。高インフレを乗り越えるためには、配当成長に着目した投資をするしかありませんから。がんばってください。

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