当たり前を疑え-心理が生むリスクを理解し不確実を楽しむ-

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物を見ながら歩くことのリスクその3

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   今回は前回の記事の最後に書いたように、物を見ながら歩くことが他の人に迷惑をかけるより根本的なリスクについて話していきます。

1. 他の人には迷惑をかけていないという思い込み

   一つ目は他の人には迷惑をかけていないという思い込みです。 人によっては物を見ながら歩くことに関して、他の人に迷惑をかけていない点で自身がある人もいることでしょう。 しかしこの思い込みはよろしくありません。理由は大きく二つあります。


   一つは最初に話したように、人に迷惑をかけているかどうかは自分、相手両方の気持ちに関わるのです。 例え自分が迷惑をかけていないと思っても、相手は迷惑を感じている場合があるのです。


   もう一つは、他の人に迷惑をかけていないという考えは自分の記憶の中にある出来事からのみ生まれることです。 言い換えれば、無意識な出来事については他の人に迷惑をかけていないかどうかは自分では判断できないのです。 物を見ながら歩いている人に対して周りが迷惑に感じるのは、その人が物に夢中になっているときです。 つまり周りの状況について無意識になっているときです。


   これから言える事は、他の人に迷惑をかけているかどうか自分では判断できないシチュエーションにおいて相手に最も迷惑をかける可能性が高いということです。


物を見ながら歩くことのリスク


   図の赤色の部分では他の人に迷惑を掛けているかどうかは判断できます。 しかし図の水色の部分、つまり物に夢中になって周りの状況を把握していない、無意識な状態のときは他の人に迷惑を掛けているかどうかの自覚が生まれません。


   以上のことからいくら自分では周りに迷惑をかけていないと思っていても、実際には周りに迷惑を掛けている可能性があるのです。


   このことを無視して他の人に迷惑をかけていないと思い込んでしまっては、一向に改善されることなく他の人に迷惑を掛け続けることになるでしょう。 それはマナーの観点からよろしくありません。

2. 物を見ながら歩く人に対するイメージ

   もう一つのリスクは私たちがもつ、物を見ながら歩く人に対して持っているイメージです。 悪く言えば偏見ともなるのでしょうか。


   私たちは歩いている中で、物を見ながら歩いている人に対して何回も迷惑に思う経験をしてきました。 これにより、私たちの心理の中に「物を見ながら歩く」=「迷惑」、「邪魔」などのイメージが植えつけられてしまっています。 2013年に行われたある調査で、実に80%近くもの人が歩きながらスマホを使うことに対して迷惑を感じているという結果からも見て取れます。


   一度「物を見ながら歩く」=「迷惑」、「邪魔」という意識が植え付けられると、物を見ながら歩いている人はすべて迷惑、邪魔だと思ってしまいやすいです。 それが例え「本当の意味で」物を見ながら歩いても迷惑を掛けない人であったとしてもです。 迷惑をかけるかけない関係なしに、物を見ながら歩いている人は迷惑だと思ってしまうのです。


   また例え物を見ながらちゃんと歩いている人でも、こちらとしては正直不安があります。 いまは大丈夫だけれど、急にペースが遅くなったり方向が変わったりしないかどうか不安になるのです。 この不安によって物を見ている人に対して自然と神経を尖らせてしまうのです。 迷惑をかけるかけない関係なしに。


   物を見ながらでもしっかり歩いている人に対しては残念なお知らせですが、これが現実なのです。 他の人に迷惑をかけながら物を見て歩いている人が多いせいで、実際にも迷惑を掛けていない人に対しても上のようなイメージで見られている可能性があるのです。



   いままで物を見ながら歩くことに関するリスクについて話してきました。 最初に言ったとおり、物を見ながら歩くことが問題ではないのです。 相手に迷惑をかけていないかどうか、そこが問題なのです。


   しかし物を見ながら歩くことに関しては少なからずリスクがあります。 しかもいままで述べたように、無意識のうちに迷惑をかけていることで自覚症状がなかったり、相手にマイナスイメージで見られているといった自分ではコントロールできない部分にリスクは潜んでいるのです。


   物を見ながら歩いている人はこうしたリスクを改めて記憶にとどめた上で、安全に配慮した歩行に努めてもらいたいと思っています。

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