当たり前を疑え-心理が生むリスクを理解し不確実を楽しむ-

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ペースの調整

   今回は歩行を行う際に大切となる、ペースの調整について話します。


   ペースを調整するとは、状況に応じてペースを自由自在にコントロールすることを指します。 状況に応じて加速や減速を適宜行い、最適な歩行を実践するということです。


   しかし残念ながら多くの人はペースを自在にコントロールできていないと感じています。


   私たちのいつもの歩行を思い浮かべてみましょう。 私たちはできるだけ自分のペースで一定に歩き続けたいと思っているはずです。


   もちろん人があまりいない道では一定のペースで歩き続けることは簡単です。 しかし混雑している道では常に自分の快適なペースで一定に歩くことなど無理です。


   一定のペースで歩こうとしても絶対に人に接触しそうになる瞬間が訪れます。 その度に方向を一瞬のうちに変えて、そしてまた接触しそうになったら方向を一瞬で変えて...その繰り返しとなります。 そして最終的には避けようにもうまく避けられずにペースが乱れてしまいます。


   上の行為を車に例えれば、何かに接触する直前にハンドルを大きく回して強引に避けてまた走り出すことと大して変わりありません。


   上に欠けていることとは何でしょうか? それはまさしくペースのコントロールです。 相手に近づいたときに急にペースを変えるのではなく、もっと事前にペースをコントロールしていれば相手の目の前で急に避ける必要はなかったことでしょう。


   ペースのコントロールが出来るようになることで、次の二つのことが可能となります:

  • 状況確認をより落ち着いて行える
  • 予測時にこちらの行動の選択肢を広げられる

   ペースをコントロールできるようになることで、まず状況確認を落ち着いて行えるようになります。


   周りが人でかなり混雑していてどのように動いていいのか予測が立てづらいときや、こちらに向かってくる人の行動が中々読めないときがあります。 このとき早い段階で少しペースを落とすことで、状況確認をより集中しておこなうことができます。


   そしてもう一つは予測時に相手にも自分にも迷惑をかけずに歩くための選択肢の幅を広げられるようになります。


   そもそも私たちが歩行時に調節できるのは方向スピードのたった二つです。 よってこの二つをフルに使って相手に迷惑をかけない歩行を行わなければならないのです。


   ペースのコントロールをすることは、私たちが歩行で使える武器をフルに使うことを意味するのです。


   ペースの調整は加速と減速の2種類存在しますが、特に重要なのは減速だと考えています。


   減速が重要だと思っている理由の一つは、私たちは減速をするという発想が抜けてしまいがちだからです。 加速に対してはよく意識がいくでしょう。 できるだけ自分に合った速いペースでスムーズに歩きたいものですから。


   一方なかなかスピードを上げられないとイライラしてしまいます。 これより意識的に減速をしたいとはあまり思わないでしょう。 だからこそ減速を重要視することで、減速の意識が抜け落ちるのを防ぎペースのコントロールに必要な武器をしっかりと揃えられるようになります。


   もう一つ減速が大切だと考えている理由があります。 それは相手に対して道を譲るという意識を持つためです。


   スピードをあげて歩くことは、場合によっては相手にも自分にも迷惑をかけないための手段として有効なのですが いかんせん自分本位の歩き方になりがちです。 強引に正面突破を試みたり、相手を避けるために横に大きくぶれながら歩くことになりがちとなります。


   しかし減速は主に相手に行きたい道を進んでもらうために行う行為です。 相手にも自分にも迷惑をかけない歩き方で大切な考えは、まず相手を不快にさせないことだといいました。 このような行為の基本となるのはあまりこちらが速く歩きすぎないことなのです。


   しかし減速に関して一つ注意点があります。 それはあまりに急に速度を落としたり、徐々に減速をかけたとしてもあまりにもスピードが遅くなると逆に相手の迷惑になってしまうことです。


   急に速度を落とすと前方にびっくりされますし、自分の後ろを歩いている人には一気にペースを落とさせてしまうため大きな迷惑となることです。 あまりにスピードを落としすぎると相手には歩行者ではなく、単なる障害物と見られかねません。


   よって減速を行うときは急に速度を落としすぎずゆっくり落とすことを心がける必要があります。 またあまりにスピードを落としすぎると逆に多大な迷惑をかけるので、減速もあくまでほどほどに行う必要がある点は肝に銘じておく必要があります。

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