当たり前を疑え-心理が生むリスクを理解し不確実を楽しむ-

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予測は可能性に対する意思決定

   相手にも自分にも迷惑をかけない歩行で特に大切なのは予測です。 この予測に関して理解して欲しいことがあります。 それは予測とは可能性に対する意思決定であるということです。


   WPAサイクルのところで、予測とは現在の状況から相手の動きを推測して、その推測に基づいて最も適切な歩行方法を選択するプロセスであると述べました。


   ここでまずポイントとなるのは、予測とは相手の行動を予言することではないということです。 つまり相手がこのまま真っ直ぐ歩いてくるとかちょっと斜め方向に動くということを100%断言することではないのです。 あくまでも可能性です。


   相手がこれからも真っ直ぐ歩いてくるとか、ちょっと斜め方向に動くという可能性を考えることなのです。 そしてこの可能性に基づいて、相手にも自分にも迷惑をかけない最適な方法を自身で決定することなのです。


   また予測とは何もいま視界に入っている人の動きのみを推測するだけではありません。 現在歩いている道の構造的な特徴から、見えないところから人がどのようにしてこちらに向かってくるのかを推測し、それに基づいてこちらの行動を決定することも予測に含まれます。


   例えば曲がり角に差し掛かったときに、いまは視界になくても曲がり角の先から急に人がやってくる可能性は十分考えられます。


   特に曲がり道のインコースをついて、出来るだけ最短距離で曲がり道を抜けようとする人が考えられます。 インコースの状況確認はアウトコースに比べて確認しづらいですし、インコースでお互いにバッティングしたときにはどちらかが左右に避けなければなりません。


   こういった可能性を考慮して、曲がり角を歩く際は少しアウトコース気味に歩いた方が良いと考えられます。 このように、いま視界にはいない人に対してもインコースから急に人が現れるという可能性を事前に推測してアウトコース気味に通行する意思決定をすることも、予測の一種です。


   また上りエスカレーターと階段が併設されているところで階段を上るときに、上り始めはいなくても階段を下りてくる人が今後現れることは十分に考えられます。


   図のような狭い階段で歩いているときに、例え上り方向の列の人たちのペースが遅いからといってむやみに空いている列に歩くのはよろしくありません。


   今後降りてくる人が現れる可能性が十分考えられるので、それを頭に入れた上で空いているスペースを利用しなければなりません。 降りてくる人が現れる前に階段を上り切ったり、上りの列の先頭を抜かして再度上りの列に回避することが可能であるのかを十分に検討しなくてはなりません。


   もしも途中でバッティングしたらもちろんこちらは上り方向の人たちの列に戻らなければなりませんが、図のように人が詰まっている場合には無理にでも列に入れさせてもらう必要があります。 しかしそれは上りの列を歩いている人に迷惑をかけてしまいますよね。

階段での予測


   このように現在歩いている場所やこれから差し掛かる場所の特徴によって、見えない人がどのように動いてくるだろうかと推測することも大切です。


   これらの推測はもちろん100%起こるとは限らないです。 特にそこまで人が混雑していない道では、上のようなことが起こる確率はむしろ低いでしょう。


   しかし例え起こる確率が低いからといって、無理に曲がり角でインコースを歩いたり狭い階段で反対方向の人用のスペースを利用するのは推奨できません。 理由はもしもそれが起こってしまったときに相手に迷惑をかけるからです。


   このような発想は今後起こるかもしれない地震のために食料品を備蓄することと似ています。 起こる可能性が低いから万が一の可能性に備えて準備をする必要はない、ではないです。 起こる可能性が0%ではないから、言い換えれば起こらない可能性が100%ではないから食料品を備蓄するのです。


   歩行に関しては地震に比べればずっとスケールの小さい話です。 相手に迷惑をかけてしまってもお互い死ぬわけではありません。


   しかし無理に曲がり角でインコースを突いたところで、階段の空いているスペースを使って速く駆け上がろうとしたところで大して時間は変わらないのです。 それよりも相手に接触しそうになって他の人に迷惑をデメリットの方が大きいと思っています。 (どうしても急いでいる場合はある程度しょうがないとは思いますが)


   起きる可能性は100%ではないが、起こらない可能性も決して100%ではない出来事に対しても気を配れるようになれば、さらに歩行者としての質を高めることができるでしょう。

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