System1、System2とは-人間心理の最も基本的な分類-

スポンサーリンク

海外投資をはじめたいけれど、海外証券口座の利用はちょっと...という人は、SBI証券がコスト安でおすすめです。住信SBIネット銀行との外貨入出金サービスを利用して、住信SBIネット銀行で外貨両替してSBI証券に外貨を入金することで為替手数料を大幅に節約できるところが一番のミソです(出金でも同様)。住信SBIネット銀行の米ドル為替コストが「1米ドルあたり4銭」というのは激安としか言いようがありません(一般の銀行で両替する場合の25分の1で済みます)。
いま日本の証券口座で海外投資(特に米国株・ADR)を始めたいなら、「SBI証券×住信SBIネット銀行」が良さそうですね。(取り扱い銘柄等の確認はこちらから)


お知らせ
【重要】とあるお知らせの中には、既存の記事への反映が追いついていない最新情報をお伝えしている場合があります。必ずご覧ください。

【2017/11/29】【重要】ブリオンボールトの資金引き出し時の送金手数料について
【2017/10/05】【重要】Firstradeが売買手数料が爆安になりました
【2017/09/24】お問い合わせに関するおしらせ
【2017/07/26】世界の大揺れが近づいてきました。

→過去のお知らせはこちらから

System1、System2とは-人間心理の最も基本的な分類-

  

「われわれの意識的行為は、…無意識の基盤から起こるのである」(ル・ボン著『群集心理』より)


   私たち人間には複雑な心理が備わっています。 嬉しい、悲しいといった感情はもちろんのこと、相手の気持ちを読んだり、連想したり、無愛想な表情をして何やら難しいことを考えるモードに入っていたり、そういった様々な心理があります。


   心理学者たちはこうした人間の心理は大きく分けて2種類存在すると考えてきました。 それはSystem1System2※1です。


   本カテゴリーでは、主に心理学者のダニエル・カーネマン氏の著書「ファスト&スロー ※2を参考に、System1とSystem2に関連した心理学的なトピックを紹介します。


   またこうした心理を日常生活に活かして自らに役立てるにはどうしたら良いのかといった応用的な事柄について、個人的主観を入れながらいろいろ書いていこうと思います。


   ※1:System1、System2という用語を最初に提唱したのは心理学者のKeith StanovichとRichard Westです。


   ※2:私が読んだのは原著の英語版のみのため、日本語版の訳と用語が異なる場合があります。 ご了承ください。

System1とは何か

   System1とは人間が無意識のうちに直感的に働かせる心理を表します。 例えば次のようなものはすべてSystem1が働いているものです:


  • 相手の笑顔を見たらこちらまで嬉しくなった
  • 高級なスーツや時計を身にまとっている男性を見ると、デキる男だと感じる
  • 風呂に入っていてフワフワしていたら突然アイデアがひらめいた
  • 飛行機の墜落事故で何百人もの乗客が亡くなったというニュースを見て、しばらく怖くて飛行機に乗れなくなった
  • 「クラスルームに30人の生徒がいます。30人のうち、同じ誕生日の組が存在する確率はどれくらいでしょう。」という問題が与えられると、何となく確率は小さそうに感じる

   多くの皆さんは無意識のうちに上のような経験をしたり共感してくれるのではないでしょうか。 実はこうした「あるある!」「わかるわかる!」的な気持ちが生まれるのは、みんなSystem1が働いているからなんです。


   System1は言ってみれば私たちの"人間らしさ"を表すものです。 常日頃から私たち人間には知らぬ間にSystem1が働いていて、事あるごとに上にあるような感情やとっさの判断を生み出すのです。


   一方でSystem1によって得られる感情や判断はあくまでも感覚的。 ときにはまったく非論理的で非合理な間違った判断を生むこともしばしばです。 特に統計や確率と言った数字を無視した結論を生み出してしまうことが大きな特徴です。


   上の飛行機事故やクラスルームの例は、まさに統計や確率を無視してSystem1による感情的な判断をしてしまう例です。 そしてこうした判断は時として自分に大きなリスクを生む場合もあるのです。

System2とは何か

   一方でSystem2とは意識的に働く心理のことです。 次のようなシチュエーションでSystem2が働いています:


  • 会社で自分が作った資料に誤植がないか一言一句確認する
  • 政府が出した楽観的な経済見通しを疑ってみる
  • 相手からの誹謗中傷に対する怒りの感情をグッと堪えて大人の対応をする
  • 「クラスルームに30人の生徒がいます。30人のうち、同じ誕生日の組が存在する確率はどれくらいでしょう。」という問題が与えられたとき、数学的に計算してみる

   上のようなシチュエーションを自分に当てはめてみると、感覚的に何となくやってはいませんよね。 頭をしっかりと働かせて合理的、理性的に考えている自分がいると思います。


   これがSystem2を使っている証です。 System2とは意識的に頭を使うことで働く心理を表すのです。


   上のように何か数えたり、疑ったり、感情を堪えたり、計算したりするときにはSystem2が欠かせません。 System1とは違ってSystem2は論理的に物事を考えるのが得意なのです。


   System2はSystem1と違って、常日頃から働いているものではありません。 System2は無意識のうちに働くことはなく、自分で意識して頭を使うといったことが必ず必要になります。


   System1では賄いきれない物事をSystem2で対処する。 言うなれば、System2とはSystem1を補完するものなのです。


   しかしSystem2をずっと使うことは人間、得意ではありません。 あまりにSystem2を使い続けると電池切れしてしまいます。


   会社が終わって家に帰ると、ものすごい疲労感とともに頭が全然働かなくなりますよね。 これは仕事中にずっと緊張感をもってSystem2のモードばかり働かせていたので、バッテリー切れになってSystem2が使えなくなっているのです。

あらゆるリスクの根本にはSystem1が関わっている

   本サイトでは主に心理、リスク、不確実、ランダムをテーマとした記事を紹介していきますが、これらテーマの根本にあるものがSystem1です。 あらゆるリスクの根本にはSystem1による無意識な感覚的な判断があるといって過言ではありません。


   System1によって感覚的に物事を判断してしまう結果、統計や確率、世の中の事実を客観的に判断しないまま間違った方向に進んでしまうことがあるのです。 例えば次のようなものはSystem1が発端となって生まれるリスクです:


  • 好景気で株価が上がって、周りはみんな儲かっている。私も乗り遅れたくない!
  • ここらへんの土地では何百年も大きな地震が起きてないから、これからも起きるはずないわよ
  • この投資ファンドは3年間トップの成績を誇っていたから、きっと優秀なファンドなんだろう
  • 胃がんだと言われて医者から手術と抗がん剤治療を勧められた。医療の専門家が言うんだから、間違いなく受けるべきだろう

   こうした判断はSystem1による無意識で感覚的な判断が根本にあります。 もしかしたら人によっては上に書いたことが何故リスクなのか、そういうことが全く分からない人もいるかもしれません。 そういう人こそ最もSystem1が生み出すリスクに晒されやすいだともいえます。


   私たちが物事を冷静に客観的に判断するためには、ある程度System2を使って意識的に物事を考える必要があります。 相手の発言を疑ったり、ニュースの報道内容を鵜呑みにせず政府が出した生の統計データを見て自分なりに考えたりするなどが必要になります。


   しかし上にも書いたように、System2を使うにはエネルギーが必要です。 しかも人間、出来るだけ楽に暮らしたい生き物ですから、できるだけSystem2を使いたがりません。


   その結果あまり深く考えもせず、System1によって主観的に"何となく"物事を判断して結論を下したり行動したりする。 しかも無意識に。 これによって自分が気づかいうちにリスクを生み出すのです。


   もちろんSystem1には素晴らしい側面がいっぱいあります。 System1は人間らしさを表すもの。 System1をしっかり使っている人は魅力的ですし、新しいアイデアをひらめいたり職人的、専門的な特別な感覚だってSystem1があってこそです。


   一方でSystem1だけに頼ることはリスクの観点から言えば問題です。 特にあらゆる情報が乱立する現代では、情報を直感的に間違って解釈することによって知らず知らずのうちにリスクを生んでしまいます。


   心理、特にSystem1の性質とその未熟さを理解することは、今後不透明な世界を生きていくうえであなた自身のためにも必須なスキルと言えるでしょう。

System1、System2の性質まとめ

   最後にSystem1、System2の性質を表としてまとめておきます。


System1 System2
無意識に働く 意識的に働かせる
自由奔放 自制心が働く
エネルギーをほとんど必要としない 多くのエネルギーを要する
速い思考スピード 遅い思考スピード
規約に縛られない 規約を順守する
直感的、感覚的 合理的、論理的
Domain specific(Domain dependent) Domain general(Domain independent)
(進化論的に)昔から人間に備わっているもの (進化論的に)比較的最近になって人間に備わったもの

関連リンク

   ・System2はSystem1を補佐する役割を担っています

   →System2はSystem1の審査人-考えてみようスイッチでSystem2が動き出す-


▲System1、System2関連記事一覧に戻る▲


スポンサーリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加   

 

資産を守るための最初の一歩を踏み出したい方向けコンテンツ

 

投資の始め方

 

資本主義社会で生き残るためのブログ最新記事

 


 

ツイッターはじめました!

 


 

関連ページ

System1、System2とは-人間心理の最も基本的な分類-
System2はSystem1の審査人-考えてみようスイッチでSystem2が動き出す-
System2の2つの弱点-System1のシグナルをSystem2に変換できるか-
Cognitively Busyとは-不安が負担を生む-
Ego Depletionとは-感情を押し殺すことの代償-
System2は使えば使うほどエコに使える-やり始めは何事も大変-
複数の作業を同時にこなすと負担が掛かる-Switching costとMixing cost-
時間の牢獄から抜け出すことのすすめ-時間を排除し心理負担をなくす-
人間の本質は余剰と無駄にある-効率化を求める風潮へのアンチテーゼ-
不安を紛らわすバカげた対処法-自分で自分を実況する-
プライミング効果とは何か-賢くなる上でとても大切な連想能力-
プライミング効果を英語学習に生かす
3分で理解する財務諸表-賢くなるためのプライミング効果活用例-
人間が連想能力を持つ理由-進化の過程で身につけた人類繁栄のための知恵-
プライミング効果による、言葉や表情と気持ちや行動意欲との結びつき
確証バイアス(Confirmation Bias)とは-自己肯定や社会肯定の根幹-
社会の末期では確証バイアスは我々を地獄に落とす
人間の行動は信じることから始まる?-自ら信じられることを能動的に探すことが大切-
人間の行動は信じることから始まる?-教養は人間社会で豊かに暮らすための道標-
確証バイアスと医者-誤診の裏に自信あり-
アンカリング効果とは-プロにも働く強大な力-
アンカリング効果と洗脳-信頼できる情報を積極的に取得せよ-
アンカリング効果の認知心理的プロセス
アンカリング効果に潜む二つの要因-不確かさはアンカリングを助長する-
ランダムなアンカーの魔力-どんなものにも人は意味を見出す-
「安く買って高く売る」の解釈とアンカリング効果
後知恵バイアス(Hindsight Bias)とは-不当な評価の温床はここにあり-
後知恵バイアス×権威とモラルの問題
Cognitive Easeとは-System1が生み出す安らぎとリスク-
単純接触効果(Mere Exposure Effect)とは-繰り返しが与える安らぎ-
単純接触効果を学習に応用する-まず量こなせ、話はそれからだ-
単純接触効果を学習に応用する-効率を求めず量をこなすことがよい理由-
株価を見続けるリスク-Cognitive Ease祭りが中毒症状を引き起こす-
実力を運と勘違いする-慢心を防ぎ自らを成長させるための心構え-
Domain Specificityとは-人間は何と非合理なのか!-
人間の本質を満たすために、人間は本質を考えるのが苦手である
No skin in the gameの許容-Domain Specificityの無視が引き起こす問題-
Skin in the gameとは-信頼度を測る最適な指標-
Planning Fallacyとは-何故残念な計画が沢山存在するのか-
改善されないPlanning Fallacy-計画の目的はプロジェクトをスタートさせること-
Norm理論とは何か
英語学習のちょっとしたアドバイス-背景を知ることが大切-
因果関係を知りたがる気持ちは生まれつき備わっている
人間は可能性をリアルさで捉えてしまう
想像するリスクと実際のリスクとの間には大きな隔たりがある
リスクに対するリアルさを形成する要因-Availability heuristicと好き嫌い-
人はリアルさでリスクを評価する-地震保険加入比率で見るリスク管理の傾向-
人間の重大な欠陥-時が経つにつれて可能性とリアルさとのギャップが広がる-
平均回帰の無視-客観的事実を無視して直近を将来に当てはめる-
歯のケアと想定外-日常的なものからリスク管理を見直す-
帰納とリスク-不確かな分野で歴史を未来に当てはめてはいけない-
少数の法則とは何か-人は大数の法則を無視する-
少数の法則が私たちに与える影響-コイントスと投資ファンド-
仮定がおかしな結果は無意味-統計結果に対する最低限の心構え-
リスクとDomain Specificity-リスクを考える分野、考えない分野-
心理学の知識を詰め込んでも、投資心理をコントロールできるわけではない
疑う気持ちが情報に対処するための一番の基本
終わりよければすべてよし
何故終わりよければすべてよしと考えるのかその1
何故終わりよければすべてよしと考えるのかその2
System2からSystem1にもっていく

▲記事本文の終わりへ戻る▲


▲このページの先頭へ戻る▲