時間の牢獄から抜け出すことのすすめ-時間を排除し心理負担をなくす-

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時間の牢獄から抜け出すことのすすめ-時間を排除し心理負担をなくす-

   私たちが仕事や勉強など、意識的な作業を行う際に欠かすことのできないSystem2。 しかし以前の記事にも書いたように、System2を使えば使うほどライフが削られていって頭が働かなくなってしまいます。


   さらにSystem2はスローシンキングな性質のため、無理して素早く難しい作業を行うとライフがどんどん削られていってしまいます。


   しかし現代は時間に追われています。 期日、納期、こういったプレッシャーを感じながら余裕のない作業をSystem2を全速力で飛ばして行う必要があります。 そのため仕事が終わったら、System2を使いまくってしまったためにもうヘトヘトな人が大多数のことでしょう。


   時間に追われているために神経が疲れやすくなっている世の中。 ということは、逆に考えれば時間に追われなくて済むならばもうちょっと楽になれるのでは?と考えるのは自然な発想。


   そこで私はせめて時間を気にする必要のない休日に、時間をできるだけ見ないで過ごすことを勧めたいと思います。

時間の牢獄から抜け出すことのすすめ

   今回提案したいことは"時間の牢獄から抜け出す"ことです。


   現代社会ではあらゆるところに時間が存在します。 時計、パソコン、携帯電話、家電製品、駅、ありとあらゆるところに時間が存在しています。 そのため私たちは時間に晒されることが当たり前だと無意識のうちに思い込まされています。


   しかしそこに罠が隠されています。 時間を見ることが当たり前になり過ぎているために、時間に晒されることで神経が疲れてしまうことに気づけなくなっているのです。


   時間に常に晒されることによって、私たちは次のような弊害を知らず知らずのうちに受けています:


  • 時間をチラチラ見ることで仕事の集中力が欠ける
  • 出掛ける前に何回も時間を見ないと落ち着けない
  • 家に帰った後に好きなことをしたり風呂に入るタイミングを、フィーリングではなくて時間によって決めざるを得ない

   時間を意識することによって、脳のメモリーに時間を入れておかなくてはいけないのでそれだけで負担が掛かります(Cognitively Busy)。 時間をチラチラ気にすることで仕事モードが一瞬途切れてしまうと、再び仕事モードに戻すためにまた負担が掛かります(Switching cost)。


   そう考えると、常に時間に晒すことは常に鉄下駄を履き続けているようなもの。 確かに鉄下駄を履き続けることで重さには慣れますが、知らず知らずのうちに慢性的な疲労を感じることになります。


   だからこそ、時間を気にする必要のないときには時間をシャットアウトすることが大切なのです。 ずっと履いていた鉄下駄を外した時に身軽さを感じるように、時間を全く気にしないで生活することでそれまでの気づかなかった疲労から解放されます。


   具体的には、例えばどこか出掛けたりするときにあえて時計やその他時間が確認できるものを持ち歩かずに出かけて見て下さい。 そして時間を気にせず本を読んだり、食事をしたりするのです。


   時間ではなく、自分のフィーリングだけであれをやりたい、これをやりたいと思うことをするのです。 こうすることで、時間を気にするたびに使われていた神経が使われずに、何だか解放されてるように感じられるでしょう。


   特に時間を見ないで行うのが有効なのは、副業や勉強などを行うときです。 つまり仕事や学校などで日々時間に追われて行うことが当たり前になっている作業を、あえて時間をまったく気にせずに行うのです。


   私はこうした"努力が必要な"作業に対してネガティブな見方をしてしまう一つの元凶が時間にあると考えています。


   午前中に会議の資料を作らなければならない、3日後の試験に向けて英単語を暗記しなくてはいけない、3ヶ月で月20万の副業収入を得たい... このように時間は自分に鞭を打つ要素であって、もしも目標を達成できなかったときに私たちに大きなショックを与えるものなのです。


   だからこそあえて副業や勉強を時間を気にせず行ってみる。 これにより作業の集中力が変わりますし、作業を終えたときの充実感も全然違うことに気づくことでしょう。


   何故なら時間に間に合うために頑張っているのではなく、自分のために頑張っていることになるのですから。 時間を気にせず行動することで、目的を自分のためというポジティブな方向にすり替えることができるのです。


   実は私は自宅のサイト作成作業用PC右下にある、タスクバーの時計を非表示にしています。 非表示にしてタイム・フリーにすることで、いつもと比べて格段に集中力がある状態で記事を書くことができます。


   それに作業を行った後の達成感が半端ないです。 一通り作業を行った後に現在の時間を確認してみると、「えっ、もうこんな時間!?」という驚きを感じることができます。


   こうした驚きは自分にとってかなり新鮮な刺激となるもの。 時間の進み具合の早さに驚きつつ、内心「こんな長時間作業に集中できていたのか」という気持ちが生まれてこれが自信につながります。


   時間を見ないと休日がすぐに過ぎそうでもったいないと思う人もいるかもしれませんが、むしろ休日なのに時間を気にすること自体が上手く休めないことにつながるのではないでしょうか。


   一度、勇気を出して"時間の牢獄"から抜け出して何か好きなことを目いっぱいやってみて下さい。 いままで感じることのできなかった、何とも言えない解放感を感じられるはずです。


   いろいろなことを気にすると神経が疲れてしまう。 だったらいっそのこと、神経を疲れさせる邪魔なものを取っ払えば良い。 こうした"Less is more精神"で、時間を取っ払って過ごしてみることをおすすめします。

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   ・効率を求め過ぎず、ときに無駄に思えることもやっていくことが大切です

   →人間の本質は余剰と無駄にある-効率化を求める風潮へのアンチテーゼ-


   ・不安を紛らわすための意外な対処法

   →不安を紛らわすバカげた対処法-自分で自分を実況する-


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