確証バイアスと医者-誤診の裏に自信あり-

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確証バイアスと医者-誤診の裏に自信あり-

   人間には自分が信じていることやそれなりの根拠を持って発言したことを正当化しようとする確証バイアス(Confirmation Bias)という性質が備わっています。


   人は実は間違っている、真実と異なることを"正しい"と見なしてしまう傾向がありますが、その背景に確証バイアスありです。


   例えば世の中がウソだらけとはよく言われますが、そこにはウソが大々的に報じられることによって大多数がウソだと気づかず信じてしまって、そこに確証バイアスが働いて"ウソが正しいという前提"が知らず知らずのうちに出来上がってしまう背景が存在します。


   こんな確証バイアスですが、確証バイアスはどんな人にでも根付いているものです。 例えそれがお医者さんといった専門家だとしても。


   そうです、普通の一般人だけではなく、どんなに賢いその道の専門家に対しても確証バイアスは普通に働いてしまうのです。


   そこで今回は医者と確証バイアスについて話していきます。 医者に確証バイアスが働いてしまうと、自信満々に下した診断を正しいという前提で患者に治療を施してしまうのです。 そのためもし最初の診断が本当は間違っていたとしても、それに気づかないままに最初の診断に固執してしまい、患者に誤った治療を施してしまう可能性があるのです。

医者と確証バイアス

   医者に対して確証バイアスが働いていることを理解するために、私たち患者と医者との会話を思い出してみましょう。


   医者に相談しにいくと、まず医者から「どうしましたか?」と尋ねられ、私たち患者は体調がどうか、いつから体調が悪くなったのかをストーリーのようにして医者に話していきます。


   そうすると医者は聴診器を使って心拍数を測ったり、喉の腫れなどを簡単に調べた後に、医師としての経験をもとに瞬時に「風邪ですね」「ノロウイルスに掛かっていますね」と診断を下し、薬を処方しますよね。


   しかし処方された薬を飲んでも、たまに薬が大して効かないときがあります。 その時私たちはもう一度同じ医者に診てもらって、「頂いた薬なんですが、あまり効いてないようなんですよ」と相談します。


   すると医者はどういった対応を取りますか。 ほとんどの医者は薬を増やしたり薬を変えたりといった、ちょっと治療方法を変えるという方針を取りますよね、診断はそのままで。 一方で前の診断を見直して、別の病気の可能性を考えることってあまりないですよね。


   ここに確証バイアスが働いていることが見て取れます。 最初に今までの経験則から瞬時に患者の病気のあたりをつけたら、あとはその病気が正しいという前提を知らず知らずのうちに受け入れるのです。


   例え喉の腫れ具合などが、あたりをつけた病気以外の別の病気の可能性を示唆していたとしても、そうした他の病気の可能性は考えず、最初に予想した病気であると決めつけてしまうのです。


   さらに薬が効かずに再度医者に診てもらっても、確証バイアスによって診断内容が覆ることはほとんどありません。 もう既に医者は最初の診断によって「患者はウイルスによる風邪である」といった確信を持ってしまっているために、診断が悪いのではなく患者に処方した薬が患者に合わないという、そういった思考をしてしまいやすいのです。


   しかしこうした医者の考えは残念ながら合理的であるとは限りません。 医者が最初に下した診断は必ずしも正しいわけではないからです。 特に医者が自分が下した診断に"自信満々"のときは要注意です。


   例えばある心理学の実験※1で、被験者である医者に対して様々な診断に関するケースシナリオを見せて、そのシナリオから診断を当ててもらうことにしました。 その際、ケースシナリオから推測した自分の診断に対して自信があるかどうかも尋ね、医師の診断に対する自信と診断の正確性についての関連が調べられたのです。


   その結果、どんな医師であっても自信満々に下した診断が決して正確ではないことがわかったのです。 具体的には11年以上のキャリアをもつ医師でさえ、自信満々に下した診断の3つに1つ程度は誤った診断を答えてしまいました。 2、3年のキャリアの医師に至っては、自信を持って下した診断の41%が間違えだったのです。


   ※1 C. P. Friedman, G. G. Gatti, T. M. Franz, et al. (2005) Do physicians know when their diagnoses are correct?


   さらに実際の現場でも、医師による自信満々の診断に誤りがあることが日常茶飯事である一端が明らかになっています。


   例えばICUで亡くなった患者に対して、患者が亡くなる前に下された診断と、亡くなった後に検死によって改めて下された診断との間にどれくらいの不一致があるかの調査が行われました※2


   その結果、亡くなる前に医師によって「ほぼ確実にこの病気に掛かっている」と自信満々な診断を下された患者のうち、実に40%が誤診を受けていたのです。 (つまりそれだけ患者が亡くなる前後の診断内容が異なっていたのです)


   ※2 M Podbregar, et al (2001) Should we confirm our clinical diagnostic certainty by autopsies?


   こうした結果が示唆するのは、例え医者が自身が下した診断に自信を持っていたとしても、それと診断が正しいこととは別問題であることです。


   さらに自信満々になればなるほど、人は確証バイアスが働きやすくなって自分の考えに固執しやすくなってしまうもの。 つまり誤った診断による誤った治療が延々と続いてしまうことだって考えられるというわけです。


   しかもこうした行動は医者にとっては無意識的な行動なので、医者も患者もお互い気づくことなく間違った治療が行われてしまう可能性があるのです。


   こうした医者に働く心理的な問題から言えることは、やはり患者一人一人が医者という専門家を絶対的な存在だと思い過ぎないことの大切さです。


   医者が良い悪いとかではなく、医者でさえも知らず知らずのうちに間違った判断をすることは普通にあり得ることを前提にした方が良いということです。


   こうしたことを前提に、自分が感じる素直な体調や病気に関する客観的な知識を総合したうえで、患者自身が後悔のない選択をすることが大切なのです。

参考文献

   E. S. Berner and M. L. Graber (2008) Overconfidence as a Cause of Diagnostic Error in Medicine


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