米国がイラン撤退すれば日本の石油危機長期化はほぼ確定か

[2026/04/01 ブルームバーグ]「目標は達成された」 トランプ氏が2-3週間以内にイランから撤退と発言

トランプ米大統領は3月31日、米国がイランとの戦争を2-3週間以内に終結させるとの見通しを示した。米国として軍事目標をおおむね達成したとの認識を示す一方、要衝ホルムズ海峡を巡る問題の解決は他国に委ねる考えを示唆した。

[2026/04/01 中央日報]イラン大統領「終戦の意思がある」…賠償など「5大条件」改めて強調

イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、侵略の再発防止などの必須条件が満たされることを前提に、米国との戦争を終結させる意思があると明らかにした。ドナルド・トランプ米大統領も「まもなくイランを離れる」と述べ、早期撤収の可能性に言及し、1カ月以上続く対イラン戦争は新たな局面を迎えた。

日本のエネルギー安全保障にとって最悪の展開が現実味を帯び始めています。

トランプの言うように米軍が近々イランから撤退するかどうかは分かりません。

しかしもしそうなった場合、それはホルムズ海峡の封鎖解除ではなく、事実上の封鎖恒久化の合図です。

米国とイラン双方が停戦の可能性に言及した同日、イランの議会安全保障委員会がホルムズ海峡を通過する船舶に通行料を課す計画を承認しました。

イラン議会委、ホルムズ海峡の「通行料」徴収案を承認 報道

3月中旬からすでにイラン側はホルムズ海峡を通過する船舶に1隻あたり最大200万ドルの通行料を課していますが、これを法制化する方針が固まったわけです。

米軍が中東からいなくなれば、イランはホルムズ海峡やペルシャ湾の制海権を握ったまま、通行料を徴収し続けられます。

ちなみに法案では通行料はイラン・リヤルで支払うことになっています。ただこれまでに人民元建ての支払いが行われています。人民元やルーブルでの決済は今後も認められるかもしれません。

米ドル建ての支払いは認められないでしょう。イランは米国から経済制裁を長らく受けており、脱ドル化を進めてきましたから。

米国が中東から撤退した後、日本が自衛隊をホルムズ海峡に派遣するのは憲法9条に抵触する恐れがありますし、現在の自衛隊の装備体系から考えても実現は困難です。

その一方で、日本がイランと交渉して仮にホルムズ海峡の航行が自由になったとしても、それは米国への裏切りとなります。

トランプは「米国から燃料を購入するか、イランから石油を奪え」と言っています。裏を返せばイランとの外交により石油調達を図ることを米国は許さないというわけです。

イランとの外交でホルムズ海峡を通航出来るようになれば、日本向けの石油タンカーはイスラエルの攻撃対象となるでしょう。

なお、ホルムズ海峡を経由せずに紅海沿岸のヤンブー港から日本向けへの石油輸送については、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡でフーシ派による攻撃リスクがあります。

そのため紅海沿岸から日本に石油を輸送するには、スエズ運河と地中海を経由し、アフリカ南端の喜望峰を回るしかありません。

往復で約100日と、中東産原油をペルシャ湾で積み込みホルムズ海峡を抜けてインド洋を経由して日本に向かうルートに比べ約2.5倍の日数が掛かります。輸送費用は何倍にも膨れ上がります。そもそもこのルートでは石油輸送量に限界があります。

原油の94%を中東産に頼ってきた経済規模が世界4位の日本が、他国産の石油にすぐに切り替えるのは不可能です。他国産の原油の質に応じた製油所の改修も必要です。

日本の十分に安定した石油供給の道はほぼ絶たれたと言って良いでしょう。今後5年、10年と深刻な石油危機が延々と続くのが最も現実的なシナリオです。

★いずれ起こる可能性のある米国金融市場のクラッシュが、石油危機から購買力を守る最後の格好の機会になりそうです。

尤も、これが起こる前に実物資産の価格が暴騰し、購買力を守れる機会が一切訪れない可能性もゼロではありません。今後の行方を見守るしかありません。