[2025/12/18 ブルームバーグ]オラクルとブルー・アウル離別、調達ラッシュに身構える市場動揺
人工知能(AI)ブームが株式市場をけん引し、2026年には企業借り入れの波が起きると期待する投資家にとって、データセンターをめぐるわずかな不安材料でも市場が動揺することが、ますます鮮明になってきた。
今回の不安材料は、ソフトウエア大手のオラクルがミシガン州で進めているデータセンターの資金調達を巡るものだ。プロジェクト自体はおおむね順調に進んでいるが、重要な異変が起きた。AIインフラの急速な拡大で長年協力してきた資産運用大手ブルー・アウル・キャピタルが、出資を見送った。
オラクルは声明でブルー・アウル離脱を確認した。この事実だけでオラクルの株価は再び急落し、同社のデフォルト(債務不履行)に備えるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、終値ベースで2009年以来の高値に近づいた。
私共はオラクルがオープンAIと3000億ドル規模のAIインフラ契約を結んだ当初から、オラクルの財務について警告し続けてきました。
11月17日配信 10月30日配信 9月29日配信 9月11日配信
オラクルのバブルはしばらく続くものと思っていましたが、想像していたよりも遥かに早くオラクルの財務への懸念を市場は認識しました。
オラクルの株価はオープンAIとの巨額の契約を発表し36%跳ね上がりピークをつけてから、現在まで45%暴落しました。この契約発表前と比べて25%安い水準です。
社債はジャンク級の利回りとなり、クレジット・デフォルト・スワップの価格は契約発表前の4倍近くにまで跳ね上がり150を超えています。

さてそんなオラクルの財務状況について、以下のブルームバーグの記事に衝撃の数字が書かれていました。
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-18/T7D04XT96OSG00?srnd=jp-homepage
この記事では売上と支出の発生時期のミスマッチといった損益計算書における会計上のテクニカルな問題を主に指摘していますが、回りくどすぎます。
率直に言いましょう。オラクルは早急に計画や契約を見直さないと、いずれキャッシュ不足で破綻します。
この記事には次のことが書かれています。
・AIインフラ投資で、今後5年間に計3000億ドル以上の設備投資が発生する見通しである。
・さらにデータセンターのリース料として合計2480億ドルを、データセンターの運営開始から15~19年掛けて支払う。
つまりオラクルは今後20年余りで5500億ドル程度のキャッシュフローが流出する見通しです(調達した社債からの利払いや他の設備投資はは含まないので本当の数字はもっと大きいです)。
割り算をすると、年間平均250億ドル程度のキャッシュフローが2045年ごろまで毎年流出することになります。
オラクルの過去12カ月の営業キャッシュフローは223億ドルでしたので、足りません。
オープンAIなどの顧客がきちんとオラクルにAIサーバー利用料を支払い続けることが、現金収支がプラスになるための大前提となっています。
しかしこれから20年余りの間にすべてがオラクル経営陣の思い描いていたように事が進むでしょうか。
例えばオープンAIなどの顧客が契約を更新しなかったり経営難に陥れば、オラクルは新たな契約先を見つけなければなりません。
それまでキャッシュフローは入りません。一方でデータセンターのリース料は払い続けます。
時と共にAIサーバーの技術が陳腐化すれば、最新のAIチップ購入に数千億ドル規模の追加の投資をしないと誰も契約しないでしょう。
こうしたことを考慮すると、低リスクに拘るブルーアウルがオラクルへの追加の資金提供を拒んだのも無理はありません。
AI投資はあまりにも巨額のため、オラクルのように営業キャッシュフローが潤沢のはずの企業でも、一歩間違えると死の道を歩むことになります。
これがオラクルだけで済めばよいのですが。
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株価は無視して財務の数字、とりわけキャッシュフローに基づいてきちんとリスク評価してやれば、オラクルのような爆弾は容易に発見できます。
皆さまもこれを機に、キャッシュフローにもっと注目するようにしてみてください。投資家としてのレベルアップにつながると思います。
キャッシュフローに基づいた本物の資産形成の仕方についてはこちら