インデックス投資の有効性の土台が崩壊中

最初に言っておきます。私は別にインデックス投資を否定しているわけではありません。

事実に基づいて分析した結果、現在はインデックス投資ほど危険な投資法はない、そう考えているだけです。

率直に言います。インデックス投資が長期の資産形成に有効であるとの根拠はすでに崩れ始めています。

次の理由から米国株のインデックス投資は長期の資産形成に有効とされてきました。

1)長期で安定したリターン
2025年までの100年間にS&P500は毎年平均10.45%のリターンでした(再投資込み)。長年投資を続けるほどボラティリティも小さくなり、20年以上投資すれば元本割れする可能性はほぼ無くなります。

2)分散効果
S&P500では500銘柄、全世界株式インデックスは3,000〜9,000銘柄に分散投資することで、銘柄間の相関を小さくしポートフォリオ全体のボラティリティを小さくできます。また個別株の倒産リスクをほぼゼロにできます。

3)売買タイミングのミスによる損失を回避
恐怖と欲望により人は往々にして高く買って安く売ってしまい、無駄な損失を出してしまいがちです。インデックス投資では買ったら売らないので市場心理に根差したこうした損失を防ぐことができます。

4)アクティブファンドに対する優位性
アクティブファンドの9割は市場平均に負けます。インデックスファンドは銘柄の回転率が小さく機械的な運用をするので、信託報酬がほとんど掛からず、売買による課税も減り複利効果が大きくなります。

とりわけ重要なのは1)と2)です。長期的にリスクを小さくしながら着実にリターンを高められるという統計的な事実が、長期投資におけるインデックス投資の地位を確かなものにしてきました。

問題は統計的な事実過去の重要な要因に大きく左右されるものであり、過去に経験していない出来事が起こった場合にどう振舞うかについて何も言えないことです。

現在までにインデックス投資では次のことを未だ経験していません。

第1に、AI関連銘柄を中心としたほんの一握りの銘柄がインデックスの構成銘柄全体の大きな部分を占めたときにどのような結末を辿るかどうかです。

現在、マグニフィセント7と情報技術セクター銘柄はS&P500の時価総額全体の約46%以上に達しています。金融などにもAI関連銘柄が含まれることを考えると、すでに50%程度はAI関連銘柄と言えます。

eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)も米国株が6割以上を占めるので、少なくとも30%は米国のAI関連銘柄が占めます。

過去に最も特定銘柄への集中度合いが強かったのは大暴落真っ只中の1930年代前半でしたが、現在はこれを上回る集中度合いです。

ここまで特定のセクターがインデックス構成銘柄を占めることは歴史上ありませんでした。

言い換えれば、S&P500もオルカンも、ここまで潜在的な相関係数が1に近づく状態は未知の領域なのです。すでに分散投資は形骸化しています。

第2に、過剰流動性の供給です。インデックス投資が勃興した1970年代から現在までのおよそ半世紀は、中央銀行の金融緩和により金利が低下し、大量のマネーが市場に投じられてきた時代でした。

1975年におよそ1兆ドルだぅた米国のマネーサプライ(M2)は22兆ドルになりました。これが米国はじめ世界中の株式市場に流れ込みました。

つまり米国株が毎年平均10%以上のリターンを叩き出した100年間のうちおよそ半分の期間にわたり過剰流動性が流れ込んできたのであり、これと株式投資の長期パフォーマンスとは切っても切り離せないのです。

ところが2021年から世界中でインフレが進展したことから、米欧の中央銀行は1980年代から市場経済発展のために頼り続けてきた金融緩和を自由に行えなくなりました。

ウォーシュ次期Fed議長はバランスシートの縮小をしたい考えです。長期的なFedのバランスシート縮小(過剰流動性の回収)を米国市場は未だ経験していません。

もしインデックス投資の長期安定したリターンの源泉が過剰流動性の供給にあるのだとしたら、過去の長期リターンは何の道標にもなりません。これまでの50年間の逆回転が始まることさえ十分考えられます。