インデックス投資がウォーシュFed議長の誕生により受ける影響

1月31日、トランプ大統領はFed議長の後任としてケビン・ウォーシュ氏を指名すると発表しました。上院が承認すれば、パウエル議長の任期が満了する5月に就任する見通しです。

ウォーシュ氏は一般的にタカ派と言われており、議長就任後に利上げをするのではないかとの思惑から、金・銀が暴落したことを始め、ハイテク株、暗号資産、ドル以外の主要通貨、商品なども売られました。

彼はリーマン危機時にFedの議長を務めており、この時にバーナンキ議長の下で行われた迅速な利下げや量的緩和(QE2)を、インフレを加速するだけだと批判し、2011年に理事を退任した経緯があります。

彼は「経済成長や賃金上昇がインフレを生む」というFedの伝統的な考えを否定し、「政府の過剰支出と過剰通貨発行がインフレを生む」というマネタリズムの考えを持ちます。

パウエル政権下のFedに対し、インフレ率が目標の2%を上回る状況が現在まで長きに亘り続いている状況を批判しています。

こうしたことから、ウォーシュ氏はタカ派と見なされています。しかしこれは偏った見方です。

彼が危惧しているのは、量的緩和のやりすぎでFedのバランスシートが膨れ上がっていることです。

Fedの総資産は量的緩和により一時9兆ドル近くにまで膨張し、量的引き締めを昨年12月1日まで行った後の現在もおよそ6.6兆ドルと、コロナ前より6割ほど大きい水準のままです。

Fedの資産膨張が単に富裕層を資産インフレで富ませてきただけでなく、やがて実体経済に過剰流動性の一部が流れ込み、高インフレが止まらなくなることを彼は懸念しています。

一方で低金利については、家計や中小企業に恩恵があるとしてむしろ肯定的に考えているようです。

ウォーシュ氏は量的引き締めの過程で、借り入れコスト引き下げでFedと米財務省は連携を強化すべきだと主張しています。

ベッセント財務長官もウォーシュ氏と同じく量的緩和に懐疑的ですが、彼らは著名投資家のドラッケンミラー氏の弟子である点も共通しています。

低金利はトランプ大統領が望む政策であり、しかもウォーシュ氏の義父は米化粧品大手エスティ・ローダーの創業者の息子であり、トランプと同級生で、これまでトランプに多額の献金をしてきました。

こうした事実を鑑みれば、フェイクニュースの報道に基づく見方とは裏腹に、ウォーシュ氏はトランプ政権下で意外と上手く政策運営できそうな気がします。

彼の金融政策は基本的には量的引き締めと低金利が中心になりそうです。

低金利政策により楽観ムードを作りながらも、市場の過剰流動性は長期的に失われていきます。

これにより今後は長期的に、将来有望だと市場が見なす一部の資産クラス・銘柄への投資資金の選択・集中が進む一方で、マーケット全体の規模は縮小していきます。

これまでの量的緩和により過剰流動性が流れ込み、ファンダメンタルズを遥かに超えて膨れ上がってきた市場ほど不利になります。米国株はその典型です。

私自身やアボマガでは米国や非米国の優良個別銘柄に絞って投資・紹介するよう努めてそこまで心配していませんが、インデックス投資しか知らないほとんどの個人投資家にとっては厳しい市場環境となりそうです。

市場から過剰流動性が奪われていく過程で、金融システムが禁断症状を惹き起こすリスクにも注意が必要です。

値上がり目的の資産形成で待ち受ける落とし穴についてはこちら