[一般向け編]ブリオンボールト(BullionVault)で気にしておきたいコスト一覧
初回公開日:2016/08/05
最終更新日:2017/12/08
今回はブリオンボールト(BullionVault)で掛かるコストについて説明します。すべてのコストを説明するのではなく、特に気をつけたいコストに絞って説明します。
ブリオンボールトでは金・銀・プラチナに投資できますが、ここでは金に投資する場合について説明します(ちなみに銀やプラチナに投資する場合にはよりコスト高になります)。
ブリオンボールトで掛かるコスト
ブリオンボールトで掛かるコストのうち、一般の方々にとって特に重要だと考えられるコストは次のものです。
- 入金手数料→お使いの銀行口座からブリオンボールトに資金を入金(海外送金!)する際の手数料
- 取引コスト(取引手数料+スプレッド費用)→金地金購入時/売却時の手数料
- (保険料を含む)保管料→1g以上の金地金を保有している場合に毎月掛かる手数料
- 資金引き出し時の銀行送金手数料→ブリオンボールトから銀行口座に現金を出金(海外送金!)するときの手数料
最初の入金手数料は、正確には入金を行う機関が掛けるコストでありブリオンボールトが掛けるコストではありませんが、当サイトでは特に断りがないかぎり、便宜上ブリオンボールトのコストとして扱います。その方が利用者目線ではわかりやすいからです。
またブリオンボールトへの入金(海外送金)の方法は次のように大きく2種類存在し、入金手数料もそれぞれ異なります。
- ブリオンジャパン(ブリオンボールトの正規独占媒介代理店)の入金サービスの利用(手間が少なく、一般的な方法)
- 銀行の海外送金サービスの利用(手間が掛かる)
銀行の海外送金サービスの利用は結構手間が掛かるので、利用者の海外送金の手間を減らすため、別にブリオンジャパンの入金サービスが存在します。
特に断りがないかぎりは、入金は一般的な方法である「ブリオンジャパンの利用」を指すことにします。
上述のコストは、スポット取引と純金積み立てにおいて、それぞれ次のように掛かります。
【スポット取引】
- 入金手数料:入金額の1.8%
- 取引手数料:購入/売却額の0.5%
- スプレッド費用:購入/売却額の0.1-0.25%程度
- 保管料:毎月、保有金地金評価額の0.01%(ただし最低4ドル)
- 資金引き出し時の銀行送金手数料:3500円+α
【純金積み立て(ブリオンジャパンが日本人向けに提供するサービス)】
- 入金-取引までの総手数料:入金額(=毎月の積立額)の3.3%※
- 保管料:毎月、保有金地金評価額の0.01%(ただし最低4ドル)
- 資金引き出し時の銀行送金手数料:3500円+α
※純金積立の「入金-取引までの総手数料」の内訳は次のように見なすことができます(公式ページに書かれているわけではありません)。
- 入金手数料:入金額の1.8%
- 取引手数料:購入/売却額の0.5%
- スプレッド費用:購入/売却額の0.1-0.25%程度
- その他純金積立特別コスト:入金額の1.0%
ポイントは次の点です。
- スポット取引の方が、純金積立特別コストがない分、入金額の1.0%だけ安い→どうしても純金積立がしたいのでなければ、スポット取引がおすすめ!
- スポット取引利用時でも、入金-購入までに入金額の2.9-3.05%程度のコストが掛かる
- 資金の引き出し時のコストのみ定額なので、資金引き出しは一度にまとめて行うと経済的
- ブリオンボールトとの送金は海外送金であるため、どうしても入金、資金引き出しでコストが掛かってしまうのは仕方ない面がある
- しかしブリオンボールト内部の取引で生じるコストは、日本の金業者と比較して安い
ここからは各手数料について、もう少し詳しくみていきます。
入金手数料
入金手数料は入金額の1.8%掛かります。通常の送金と比較するとかなり高額に見えますが、ブリオンボールトとの送金は海外送金のため、どうしても入金手数料も高くなってしまうのです。
入金手数料は現在、ブリオンボールト利用者にとって最も高い手数料だと言えます。
基本的には送金の利便性を考えるとブリオンジャパンの入金サービスを利用するのが無難ですが、銀行の海外送金サービスを利用することで入金手数料を下げられる場合があります。
銀行を利用した一般の海外送金に掛かる手数料が大体5000円(場合によってはもう少し安くなる場合もありますが)であることを考えると、30-40万円以上の入金をする場合には、銀行の海外送金サービスを利用すると安くなりやすいです。入金額が増えれば増えるほど、その差は顕著に出てきます。
よって、手数料節約重視の方は、銀行の海外送金サービスを使うほうが良いかもしれません。
ただし、銀行の海外送金サービスの利用にはかなり手間が掛かることにはご注意ください。銀行の海外送金は送金前の手続きが面倒で、経験のない方はかなりの確率で躓くおそれがあります(私は海外送金経験者なのでその苦労を知っています)。
日本から海外に送金する場合、米ドルの海外送金は扱っているけれども、日本円の海外送金は扱っていない銀行もありますので、銀行選びも丁寧に行う必要があります。
さらに最近は銀行によってはあまり海外送金に乗り気でないところもあるようで、銀行側の素っ気ない対応等によりスムーズに送金手続きが進まなかったり、無事手続きできても嫌な気分にさせられる場合もあるようです(以前お問い合わせいただいた方から、そのような経験談を聞いたことがあります)。
これらを聞いて銀行サービスを利用した海外送金に不安があるようでしたら、まずはブリオンジャパンの入金サービスを利用するのが無難です。ブリオンジャパンに日本円を振り込めば、ブリオンボールトへの入金(海外送金)はブリオンジャパン側が行ってくれるので、私たちは海外送金の手間を全く気にする必要がありませんから。
個人的には、しばらくはブリオンジャパンの入金サービスを利用し、やっぱりコスト面で納得がいかないようであれば、銀行の海外送金サービスを使うのが一番安心だと思います。
最後に、現在ブロックチェーンという新技術を利用した低コストの海外送金システムが日本や世界で開発中であり、何年かすれば現在の半額以下で海外送金できる未来も現実的です。
いつになるかはわかりませんが、いずれはブリオンボールトのコスト面の一番のネックである入金手数料も大幅に安くなるかもしれませんね。
取引手数料+スプレッド費用
取引手数料とスプレッド費用は、ブリオンボールトでゴールド等の売買に掛かるコストです。
取引手数料は購入・売却額の0.5%が掛かります。一方スプレッドというのは取引の相手側が提示する(相手側にとっての)買値と売値の差のことで、この差は私たちにとって追加のコストとなります。
スプレッドは取引する貴金属、場所、通貨によって異なります。しかも取引の活発さ(市場流動性と呼ばれるもの)によって随時変動し、取引が活発であるほどスプレッドは縮小(つまりコスト安)となります。
チューリッヒ金を日本円で取引する場合のスプレッドは、ブリオンボールトに聞いた話だと、大体0.2-0.5%前後となるようです。購入・売却時にはそれぞれスプレッドの半分がコストとなりますので、それぞれ0.1-0.25%程度掛かることになります(当ページが指すスプレッド"費用"のことです)。
よって、金の購入・売却時に掛かるコストはそれぞれ、上の取引手数料とスプレッド費用を合わせた、大体0.6-0.75%程度となります。購入+売却で、取引額の1.2-1.5%程度が掛かるというわけです。
日本の金地金業者はスプレッドだけでも大体1.7-1.8%程度掛かり、さらにサービスによっては別途手数料が掛かりますから、購入+売却に掛かる手数料に関して、ブリオンボールトは間違いなく最安水準です。
ブリオンボールトは利用者が直接金地金現物市場にアクセスし、参加者同士で市場原理の働く金取引を行えるような、独自の金取引システムを導入しています。これは今後日本のブリオンボールト利用者が増えていけば、スプレッドのさらなる縮小→さらなる取引関連コスト安も期待できることを意味します。
(個人的には、今後金需要は中長期的に増えると考えており、スプレッドのさらなる縮小の可能性は十分あると思っています)
一方、日本の金地金業者はブリオンボールトのような、市場原理の働く金取引システムを採用しておらず、ブリオンボールトのようにスプレッドをはじめとした取引コストを下げるのは、おそらく容易ではありません。導入しようとしても、ビジネスモデルの転換につながりうる話ですので、膨大なお金と時間が必要でしょうし、リスクも大きいのではないでしょうか。
そのため、取引コストは今後もブリオンボールトが最安水準を維持する可能性が高いのです。
最後に、取引手数料もスプレッド費用も定率性のコストであるため、100万円の投資資金を1度にまとめて金購入に充てても、10万円ずつ10回の取引に分けても、取引コストに違いは生まれません(売却時も同様)。
保管料
保管料は毎月最低4ドルを日本円に直した額が支払われます。保有している金地金が4万ドル相当額までであれば毎月4ドルの保管料、それ以上の金地金を保有している場合には保有金地金評価額の0.01%となります。
保険料込みで毎月最低4ドルは確かに安いと思いますが、毎年最低48ドル(5,000円前後)を支払うことになり、積もるとそれなりに無視できないコストがかかることは覚えておいてください。
ブリオンボールトの保管料がどのくらいの大きさなのかを判断するために、金ETFの信託報酬と比較するのが良いでしょう。有名どころの金ETFの信託報酬は年0.25%-0.4%程度なので、12,000-19,200ドル相当額以上の金地金を保有する場合にはブリオンボールトの方がお得になります。
(とはいえ、ブリオンボールトは保管の安全性で金ETFを大きく上回ると考えられますので、コストだけでなく安全面も考慮し、適切な金投資サービスを利用してくださいね。特に資産保全目的でゴールドを購入されたい方は)
保管料はブリオンボールトの利用方法によっては、時として無駄なコストを生む場合があるので気をつける必要があります。
例えばブリオンボールトの口座からゴールドを売却しようと考えているとき(特に将来の全売却を考えているとき)、計画を立てずに中途半端にダラダラ売却しようとすると、その間も保管料が毎月4ドル掛かってしまいます。
売却するのであれば、どの程度売却しどの程度残すのか、いつ売るのかといった計画を事前に立てたいものです。そうしておけば、保管料の支払いも正当化できます。場合によってはきっぱり全売却することも大切かもしれません。
また、ブリオンボールトの口座を複数もつと、それだけで保管料は2倍、3倍に増えます。片方の口座はしっかり管理・運用しても、他方は適当に管理・運用すると、無駄に保管料を支払うことになりますのでご注意ください。
最後に、保管料は米ドル基準のため、ドル円の為替相場によって日本円で払う額が変動することにご注意ください。円安ドル高になるほど保管料は高くなります。為替変動を嫌う方は対策があります。
→対策方法はこちら
資金引き出し時の銀行送金手数料
最後にブリオンボールトから資金を引き出す場合には、一般的に3500円+α掛かります。ブリオンボールトのウェブサイトには明記されていませんが、ブリオンボールトに問い合わせて確認しています(2017年12月1日前後)。
資金引き出しが海外送金であることは前述の通りです。以下、同手数料の詳細についてです(こちらもブリオンボールトに問い合わせて確認しています)。
基本的には資金引き出し時の銀行送金手数料は3500円です。ブリオンボールトで資金引き出し指図を出したとき、指定した送金額から引かれます(ブリオンボールトの口座から追加で引き落とされるわけではなく、送金額から引かれることに注意)。
海外送金では通常、目的の口座に到着するまでに経由した銀行(コルレス銀行と呼ばれる)で、中継銀行手数料(コルレスチャージ)と呼ばれる手数料が追加で掛かり、送金額から自動的に引かれる場合があります。
ブリオンボールトからの引き出しの場合は、この中継銀行手数料は掛かりません。中継銀行手数料が発生した場合はブリオンボールト側が負担してくれるので、利用者負担はありません。
一方、送金先の日本の銀行口座に着金したときに掛かる手数料(被仕向送金手数料)は、もしかしたら追加で掛かる可能性があります。ブリオンボールト側も被仕向送金手数料が掛かるかどうかはわからないとのことです(2017年12月1日現在、ブリオンボールト側に被仕向銀行手数料が追加で掛かったとの顧客からの報告は来ていないようです)。
この被仕向銀行手数料の可能性が、上のαの意味です。被仕向銀行手数料は銀行によって異なり、1500円程度掛かる場合もあれば、無料の場合もあります。被仕向銀行手数料が有料のところでも、絶対に掛かるかどうかは私もよくわかりません。あくまで掛かるかもしれない、ということです。
以上から、資金引き出し時の銀行送金手数料は次のようにお考えください。
- 基本は3500円
- 追加で1500円程度の被仕向銀行手数料が掛かる、かもしれない
- 被仕向銀行手数料が掛からない銀行向けの送金であれば、3500円でほぼ間違いない
※ただし、例外として一部銀行向けの送金では上述とは異なる料金が掛かる場合もあるようです。気になる方はブリオンボールト側に問い合わせてみてください。
被仕向銀行手数料についてどうしても気になり、この手数料が無料の銀行口座を利用したい方は、次の記事をご覧ください。
ブリオンボールト(BullionVault)との紐付けに適した銀行口座はどれ?
その他のコスト
ブリオンボールトは他にも、現物地金の引き出し料金といった別のコストを設定していますが、あまり本質的なコストではありませんので本記事では説明しません。他のコストについても気になる方はブリオンボールトのウェブサイトをご覧ください。
ブリオンボールトのコストには、他にも「警報システム料金」というものがあります。警報システムとして、SMSメッセージを送信した場合、一つのSMSメッセージ毎に0.20ドル掛かります。
ブリオンボールトは、出金や現物地金の引き出しが行われた際、または携帯電話番号が変更された際に、SMSメッセージを送信する警報システムを利用することを推薦していると書かれています。
利用すべきかしないべきか、私にはわかりません。皆さんでご判断ください。私は利用していません。
ブリオンボールトの説明を見る限り、警報システム料金を払いたくない方は「携帯電話番号を入力しない」かつ「ログイン時、起動時のSMSの警報を設定しない」という、2つの対処を施せばよいようです。
いずれもブリオンボールト口座にログインし、設定画面を開くとSMS設定の確認&変更ができます。下図の説明は「おそらくここだろう」という推測であり、実際に私は試したことがなく確かなことはわかりませんのでご注意ください。
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ブリオンボールトの手数料は大体上の通りですが、それでは他の金地金業者と比較したときのコストはどんなものなのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
以下の記事で、田中貴金属工業のある純金積立サービスとのコスト比較をまとめています。あえてブリオンボールト側に厳しい、シビアなコスト比較を行っています。気になる方はご覧下さい。
→ブリオンボールトの金投資コストを比較
ブリオンボールトの口座開設はこちらから。好きなタイミングで買えて低コストなスポット取引コースがおすすめです。世界的な危機時には金価格が上昇する歴史的傾向があります。歴史なんてどうでもよい方、資産防衛に興味のない方は口座を開設する必要はありません。
画像ソース:Zero Hedge
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