ブリオンボールト(BullionVault)と国内金地金業者とのコストの比較
初回公開日:2016/07/29
最終更新日:2017/12/08
今回はブリオンボールト(BullionVault)と国内金地金業者とのコストの比較してみます。
お互いサービスの強みが異なるので単純なコストの比較は出来ないのですが、ブリオンボールトが国内金地金業者と比較してコストがどの程度なのかをざっと知っておくことは、納得してブリオンボールトを利用する上でも役立つでしょう。
国内金地金業者は田中貴金属工業を中心に調査しました。田中貴金属工業を選択した理由は金地金業者の大手であること、特定保管という安全な保管方法を採用していること、純金積み立てできること、これら3点を満たす中では田中貴金属工業がコスト的に安い傾向にあるからです。
はじめに注意点
今回は主に「ブリオンボールトのスポット取引」と「田中貴金属工業のG&Pプランナー(積立取引メイン、スポット取引も可能)」を比較することにします。
それは主に次の理由からです。
- ブリオンボールトは「金市場に個人がオンライン上で直接アクセスして取引できる」スポット取引が一番のサービスの強みだから
- 田中貴金属工業のG&Pプランナーは積立取引の利用が必須だが、オンライン上でスポット取引も可能で、ブリオンボールトと多少は近いサービスも提供しているから
- 「オンライン上で小口から金地金を取引できる」ことに魅力を感じる方々中心に私も情報提供したいと思っているから
こうした理由により、「ブリオンボールトのスポット取引」と「田中貴金属工業のG&Pプランナー」を比較することにしました。
いくつか注意点があります。まずは「コストを単純比較することは無理」という現実です。
ブリオンボールトと田中貴金属工業の利用者コストを比較しようとすればするほど、様々な利用パターンに応じたコストの変動や、互いに異なるサービスを提供していることにより、どうしても「コストを単純比較できない」現実にぶつかってしまいます。
そのため、本記事の内容はあくまで一つの見立てであり、より厳密なコスト比較をしたい場合は皆さん自身で公式ページを見て調査する必要が出てくるだろうと思います。あらかじめご了承ください。
別の注意点は、今回比較対象とする田中貴金属のG&Pプランナーは、おそらくこのサービスが想定している使い方とは異なる、やや特殊な使い方を前提として説明していることです。同サービスは積立取引メインのサービスですが、当記事ではスポット取引をメインに使う場合を想定しています。
理由は、そうやってコスト比較をしないと、ブリオンボールトが(特定保管を扱う)どの日本の金業者よりもコスト安になってしまいやすくなり、比較する意味が薄れるからです。
コスト比較のポイントまとめ
コスト比較は煩雑な内容になりやすいので、最初にいくつかポイントをまとめておきます(金業者はすべて特定保管を扱うところを前提としています)。
- ブリオンボールトで掛かるトータルのコストは、基本的には他の日本の金業者よりも安くなりやすい。
- ただし、田中貴金属のG&Pプランナーを特殊な方法で利用する場合、ブリオンボールトよりも安くなる場合がある(つまり、ブリオンボールトが常に最安値であるとはかぎらない)
- ブリオンボールトは日本の金業者と比べてコスト構造がシンプルでコストに関する落とし穴が少ないので、安定したそこそこのコスト安を誰でも実現しやすい
- 入金、出金という送金面を除けば、ブリオンボールトは他のどの日本の金業者よりも最安値
- 将来、海外送金システムの大革命が起こることで、送金込みでブリオンボールトは最安値となる可能性がある
- 日本の金地金業者は日本の消費税の影響があり、将来消費税が上がれば有利だが、逆に消費税が下がるとその分損失が増え、結果的にコスト高になるリスクがある
日本の金業者全体でみれば、ブリオンボールトのトータルのコストは安いレベルにあります。ただし、時間を掛けて日本の金業者のコストの仕組みを調べ、その仕組みのある種の穴をつくことで、場合によっては他の日本の金業者の方が安くなる場合もある、というわけです。
しかしブリオンボールトは日本の金業者と比べてコスト構造がシンプルで、情報の透明性も高いので、しっかりブリオンボールトのコストの仕組みを理解すれば、誰でも安定してそこそこのコスト安を実現しやすいです。日本の金業者のように、コスト体系が複雑で思いもよらないコストの落とし穴にはまるリスクも幾分少ないと思います。
さらにブリオンボールトのコスト面でネックとなっている海外送金のコストが将来安くなる可能性が十分現実的であるため、今後もブリオンボールトはコスト面で日本の金業者と比べて優位に立ち続けるものと思われます。
コスト面では大体上のことを押さえておくと良いでしょう。
以下、コストをもう少し細かく数値比較していきます。
数字でコストを比較
それではしっかり数字も見てコストを比較してみましょう。
コストは大きく分けて「取引手数料など、各アクションごとに発生するコスト」と「定期的に発生するコスト」の2種類存在します。この2つにコストを分けてみると幾分比較しやすくなります。
この2種類に分けた場合に、ブリオンボールトのスポット取引と田中貴金属工業のG&Pプランナーのコストは次のようになります。
各アクションごとに発生するコスト
ブリオンボールト(スポット取引) | 田中貴金属工業(G&Pプランナー) | |
---|---|---|
購入時取引コスト(金市場価格との乖離幅) | 購入額の0.6-0.75%程度 ※スプレッド費用も含む |
購入額の0.7-0.8%程度(税抜き)※ |
売却時取引コスト(金市場価格との乖離幅) | 売却額の0.6-0.75%程度 ※スプレッド費用も含む |
売却額の1.0%程度(税抜き)※ |
入金手数料 | 入金額の1.8% | 銀行の振込み手数料なので、高くても500円以下(スポット取引時のみ掛かる) |
出金手数料 | 3500円(ただし送金先の銀行が着金時に1500円前後の手数料を追加で徴収する可能性もある) | せいぜい500円(銀行の振込み手数料) |
定期的に発生するコスト
ブリオンボールト(スポット取引) | 田中貴金属工業(G&Pプランナー) | |
---|---|---|
保管料(毎月発生) | 保有地金評価額の0.01%、ただし最低4ドル | なし |
積立時購入手数料(毎月発生) | 積立額の1.0%(スポット取引のみ利用では発生しない) |
積立額の5.00%(毎月の積立額:1,000~2,000円)
250円(毎月の積立額:10,000円)
※スポット取引を利用したい場合も必ず支払う必要がある |
年会費 | なし | なし |
※ブリオンボールトの毎日午前0時の金価格を基準に、田中貴金属工業の毎日午前9時30分の税抜き金価格との価格差を取引コストとしています。表にある数字は2017年8月17日~2017年9月28日までのデータから得た毎日の価格の平均を取って得た概算です。その日により実際の取引コストにはブレが生じることにお気を付けください。
上の数字を使ってコスト比較を行っていきます。厳密にコスト比較をすると説明が煩雑になるので、多少の正確性を犠牲にしつつ、コスト比較のエッセンスとなる部分のみを出来る限りシンプルに説明したいと思います(厳密なコスト比較は各人で行ってください)。
ブリオンボールトは使い方によらず、安定したそこそこの低コストを実現しやすい
お互いのコストを大きく分けるのは前者の「各アクションごとに発生するコスト」です。この違いがお互いのトータルのコスト差を大きく決定付けると考えてもらえればよいと思います。
各アクションごとに発生するコストをかなり単純化して整理すると、大体次のようになります。
- ブリオンボールト:取引額×(3.0-3.3%程度)+3500円
- 田中貴金属工業(G&Pプランナー):取引額×(1.7-1.8%程度)+[最大1000円程度]
「取引額×~」の部分がコストを事実上決定付けるので、ここに着目しましょう。するとこの箇所が安い、田中貴金属のG&Pプランナーの方が結果的にトータルのコストが安くなりやすいことになります。
ただし、G&Pプランナーでコスト安を実現するには、積立取引ではなくスポット取引をメイン取引に据える必要があります。
田中貴金属工業のG&Pプランナーは本来、積立取引をメインとするサービスなのですが、その本来のサービスを無視し、積立ではなくできるかぎりスポット取引で金を購入することが、コスト安実現のために必須となります(積立金額をゼロにすることはできないので、最小限の積立はする必要がある)。
もしこうした特殊な利用に気が引けて、日本の金業者で通常のスポット取引を行うとコストはどのように変化するのでしょうか。
この場合、通常は購入・売却時に別途手数料が掛かります。例えば田中貴金属工業の場合、500g以上の高額の金地金をスポット購入しないかぎり、少なくとも金1gにつき50円程度の手数料が追加されます。これは現在の金価格で、大体取引額の1.0%超です。これが購入・売却時それぞれ掛かるのです。
これはあくまで最も少ない場合です。取引方法によっては、1.0%が2.0%、3.0%になる場合も十分あり得ます。
よって、日本の金業者で通常のスポット取引を行おうとすると、上でみた各アクションごとに発生するコストは大体次のようになります。
取引額×(最低3.7%程度、場合によっては5.0%、6.0%、それ以上)+[最大1000円程度]
ブリオンボールトが「取引額×(3.0-3.3%程度)+3500円」だったことを考えると、ブリオンボールトの方が安くなりやすいのです。
ブリオンボールトは普通に取引しているだけで、取引額に掛かる数字は3.0-3.3%程度となります。多少の増減はありえますが、5.0%とか6.0%になることはブリオンボールトが値上げしないかぎり通常ありえません。
トータルのコストで見ても、あまりにも滅茶苦茶な取引をしないかぎりは無駄にコストが増えることもありません。ブリオンボールトのコスト構造はシンプルで、安定したコスト安を実現できるのです。
日本の金地金業者はコスト構造が結構複雑で(調べてみればわかります。私も泣きそうな思いで調べました)、サービスの選択から取引に至るまでかなり計画的に準備しないと、コスト構造の落とし穴にはまって知らぬ間にコスト高になるリスクが高いと言えます。
その点、ブリオンボールトはコストの落とし穴はあまりなく、コストに関する情報提供の透明性も日本の金業者とは比較にならないくらい良いですので(調べてみればわかります)、無駄に多くのコストを支払うリスクは日本の他の金業者と比較して間違いなく低いです。
ブリオンボールトのコストは現時点で必ずしも最安ではありませんが、他の金業者と比較して安定したコスト安を実現できることには間違いありません。最安でなくてもそこそこ安ければ良いから、コスト面であまり悩まずに金取引したい方は、ブリオンボールトが無難だと思います。
将来のブリオンボールトの大幅コスト安の可能性
さらにブリオンボールトの総コストは将来、大きく下がる可能性もゼロでもありません。
ブリオンボールトのコスト面の一番のウィークポイントは入出金(特に入金)です。これはブリオンボールトとの送金が海外送金であるためです。海外送金がコスト高であることは海外送金システムそのものの問題であり、ブリオンボールト側でどうにかなる問題ではありません。
しかし現在、ブロックチェーンと呼ばれる分散台帳技術を利用した海外送金革命に向けた準備が世界的に進められており、海外送金コストが大幅に安くなる将来が現実的になってきているのです。
従来の海外送金では送金元、送金先の銀行以外に複数の当事者が関わるケースがあったり、SWIFTと呼ばれる外部のメッセージングシステムを利用したりするなどが原因となり、送金に数千円のコストが掛かってきました。
現在リップル・プロジェクトで開発中の新海外送金システムでは、当事者が送金元、送金先の銀行のみになり、送金に必要な処理のほぼすべてが一つのシステムに一元化されるようであり、SWIFTという外部システムの利用が不要になります。その他手作業や照合処理も大幅に減り、海外送金コストが6割程度減る可能性もあるようです。
日本でも現在、SBIホールディングスとリップル社(暗号通貨リップルの開発企業)の合弁会社であるSBI Ripple Asiaは、ブロックチェーン技術を利用した、内外為替一元化システム(RCクラウド)を開発しています。名称からもわかるように、これが実際に導入されれば、国内送金と海外送金の垣根が消えて、海外送金の手数料が国内送金とほとんど大差ないレベルにまで下がる可能性もなきにしもあらずです。
海外送金革命の本格的な実現は2020年代前半だろうと思いますが、大きく海外送金コストが下がり、ブリオンボールトの入金、出金コストもいずれ大きく下がる可能性も、十分あり得るのです。
元々ブリオンボールトは送金面を除けば、他の日本の金業者よりもコスト安です。送金コストも安くなれば、将来、ブリオンボールトが日本の金業者と比較して文字通り最安となる可能性も、決して否定できないのです。
消費税について
最後に消費税についてです。日本の金地金業者での貴金属購入・売却時には消費税が掛かります。ブリオンボールトでは掛かりません。
購入時と売却時の消費税が同率であれば、結果的にコストに与える消費税の影響はなくなりますが、購入時と売却時の消費税が異なると、コストが増えたり減ったりします。
例えば将来消費税が10%に増税されれば、2%の増税分がゴールド売却時にキャッシュバックされますのでお得になります。
しかし将来消費税が5%に減税されれば、3%の減税分だけゴールド売却時のコストが増えることになります。これはかなりのコストとなります。
消費税の存在は一概に良い悪いは言えないのですが、日本の金業者でゴールドを売買する場合には、日本の政治リスクが存在することも頭に入れておくと良いでしょう。
ブリオンボールトでの取引時には(ゴールドを自宅に取り寄せる等の一部例外を除き)消費税は一切関与しませんから、消費税率変更という不安定要因を除かれたい方は、ブリオンボールトを利用するのが良いでしょう。
**********
以上のように、ブリオンボールトは必ずしも最安値ではありませんが、安定してそこそこのコスト安を実現しやすい点が優秀です。さらなるコスト安の可能性があるところも嬉しいポイントです。
これ以上の分析は、各利用者一人ひとりの利用方法に依存するので、やめておきます。さらにコスト面について掘り下げたい方は、ブリオンボールトや田中貴金属工業等の金地金業者のウェブサイトをご覧になり、じっくり分析してください。
コストを直接調べたい人向けリンク
本記事で言及していないコスト(現金引き出し時の手数料、地金引き出し時の手数料など)もありますので、ご利用前に各企業のウェブサイトからコストをご確認されることをおすすめします。
【ブリオンボールト】
→取引手数料、保管料、現金引き出し時手数料
→純金積立時の手数料(少し下にスクロールして取引コストのページ。広告ページなのでAdBlockなどを利用されている方はOffにしないと開けないかもしれません)
→地金引き出し時の手数料
【田中貴金属工業(G&Pプランナー)】
→田中貴金属工業の金価格
→ブリオンボールトの金価格(田中貴金属工業の金価格との差を確認するために)
→純金積立時の追加の手数料、年会費、保管料
→地金交換手数料(バーコスト)
ブリオンボールトの口座開設はこちらから。好きなタイミングで買えて低コストなスポット取引コースがおすすめです。ブリオンボールトの大きな魅力の一つは、政府による金没収リスクの低減を期待できることです。
【BullionVault】オフショアでの保管について政府の地金個人所有に関する見解は、実質リスクとなることもあります。 このため、BullionVaultは顧客がオフショアで地金を保有することを可能とし、その保管場所の変更が最小の労力とリスクでできることを可能としています。
政府が金の没収を行ったとしても、それを国外にある金にも適応することは非常に難しいものです。 逆に言えば、このような所有権は国内の法律に容易に影響をうけるということです。
オフショアの保管のように国外に資産を所有する際、政治的また軍事的な影響を受けることがないようにすることは重要です。 その観点からすると、 英国、 スイス、 米国、シンガポール、そしてカナダの5カ国は、先のようなことからの影響を受ける可能性は最小であるといえるでしょう。
全ての BullionVaultの顧客はどこに居住していても、保管場所の適切な選択をすることにより、オフショアで保管することができるのです。これらの国々の人々は、自国の保管場所で保管するという選択も持ち合わせることになります。
何のためにわざわざゴールドを買うのですか?万が一のときのためですよね。そうであれば、金没収リスクも考えた上で金地金業者を選択するのは当然です。
→口座開設はこちらから-コストが安く済むスポット取引コースが人気です
関連リンク
・→ブリオンボールト(BullionVault)の口座開設前に知っておきたいこと一覧
・→何故いま金や銀に投資することが注目されるのか?
・→日本円で取引する場合のコスト一覧
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