中国の原油闇輸入と原油価格

2週間前に「米国株式市場の環境が大きく変わり始めている?」という記事を上げました(→こちら)。

AI関連などのハイテク株が売られ、実物関連銘柄や新興国株、生活必需品、ヘルスケアの銘柄が概ね好調だと言いました。

ナスダック総合指数は年初来3%安ですが、S&P500銘柄から構成される石油・ガスETF、素材ETFはそれぞれ21.5%、17.6%高です。

ここでお話ししたいのは石油です。ブレント原油価格は年初から10.4%値上がりしました。とはいえ昨年に2020年以来の安値に落ち込んだ後の多少の反発に過ぎず、低迷したままです。

これは中国がイランのテロ組織が関与する闇輸送を通じて、イランやロシア、ベネズエラから制裁対象の安い原油を調達してきたことが深く関わっています。

世界最大の石油需要国が市場の外で原油を調達してきたために、ウクライナや中東での戦争が続く中でも原油市場の需給は緩み続けていったのです。

ところがベネズエラでは大統領拘束・拉致をきっかけに事実上米国の傘下に入り、中国はベネズエラから原油を輸入出来なくなりました。

最大の焦点はイランです。3,000~2万人以上の死者を出したと言われる反政府デモが起こり不安定な情勢続くイランは中国にとって必要不可欠の原油供給国です。24年はトップ、25年はサウジに次ぐ第2位でした。

もしイランの現政権が倒れれば、闇輸送のスキームも崩壊します。イランの反体制派はみな口を揃えて割引での原油輸出を売国行為とみなしています。

結果、中国は公式の一般市場からの原油調達に切り替えざるを得ません。世界最大の需要国に日量数百万バレル規模の買いがどっと入ることになります。

これを輸送するための石油タンカーも不足しており、急激な需要増にすぐに応えられません。闇輸送に使われたタンカーは老朽化しているので、闇輸送に使えなくなればスクラップ処分するしかありません。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

「ドンロー主義、石油、中国」

マドゥロ大統領の拘束・拉致で本格始動したドンロー主義の下で、石油市場の構造はどう変わっていくのでしょうか。

イランが支援するテロ組織ヒズボラはベネズエラに原油、ゴールド、薬物の違法取引ネットワークの拠点がありました。イランとベネズエラはズブズブの黒い関係です。

イラン情勢は石油市場を一変させ得ます。昨年末までのガソリン補助金と今年からのガソリン暫定税率廃止により日本のインフレ率は2%前後で推移しそうですが油断は禁物です。インフレは唐突に暴れだす発狂性を有します。