
株の購入スタイル:一つの銘柄を分割で購入するほうが良い
今回は株の購入スタイルについてのちょっとしたアドバイスです。
人によって株の購入スタイルは様々でしょう。 底値だと思った株価のときに一括で購入する人、月に一度定期的にコツコツ購入する人、さらには買いたい気分になったときに衝動で購入する人...
こうした多種多様な購入方法がある中で、私が実際に経験して悟ったことがあります。
それは一つの銘柄を一度に購入するのを控え、何回かに分けて購入するのが良いということです。 この方法はいくつかのリスク―金銭的、心理的な―を分散させてくれます。
記憶の片隅にとどめておいて、もし役立ちそうであれば購入時の戦略に考えてみてください。
一つの銘柄を一度に購入するのを控え、分割で購入するほうが良い理由
何故一つの銘柄を一度に購入するのを控え、分割で購入するほうが良いのでしょうか。 理由は次の3つです:
- 金銭的リスクを時間的に分散できる
- 株価の下落を喜べるようになる
- 購入回数を増やせるので適度にガス抜きができる
まず一つ目は金銭的リスクを時間的に分散できることです。 ここでいう金銭的リスクとは、高値で掴むなどした結果、購入後の資産価格が長期低迷したり、資産を殖やすための複利効果を十分発揮できないリスクを指します。
株価の短・中期的な変動を予測することはできません。 企業のファンダメンタルズと比較してその時点で割安だと思っても、そこが底値であるとは限りません。 時間が経つとさらに株価が下がることもよくあります。
そこで一つの銘柄を分割して買うことによって、様々なタイミングで"安値だと思った"価格で購入することが出来ます。 そうすることで"安値だと思った"価格が時間的に平均化されて、結果的に金銭的リスクが分散されます。
二つ目は株価の下落を喜べるようになることです。
分割して購入することは、再度株を購入するというオプションを与えてくれます。 株を購入するときはもちろん出来るだけ安値で購入したいですよね。
よって株価下落はむしろ再購入のオプションを行使する大チャンスとなるわけです。 ピンチではなくチャンスと捉えられるようになるので、精神的にとても健康的です。 また株価下落に狼狽しにくくなるので、感情的な間違った判断を防ぐことにもつながります。
もしも一つの銘柄を一括でドンと購入してしまうと、その後に急激に株価が下がったときに身動きが取れなくなります。 最初に決めた購入金額分を使いきってしまったので、株価の下落を指をくわえて見ているしかありません。 そんなの誰だって嫌です。
私も株を始めた当初に一度に決めた投資額をすべて投資してしまい、その後株価が50%以上下落するという経験をしています。 「分割して購入していれば半値で買い増しできたのに...」といまでも後悔しています。
こうした後悔をせずに精神を健康のままキープするためにも、分割して購入することは大きな意味を持つのです。
三つ目は購入回数を増やせるので適度にガス抜きができることです。
やはり投資の醍醐味は売買を行うことにあると感じる人も多いのではないでしょうか。 特に投資のやり始めのときは買いたくて買いたくて仕方がなくなるものです。
もし一度に購入予定金額すべてを一つの銘柄の購入に支払ってしまうと、当然ですが購入できる回数が減ります。 少なくとも購入した銘柄は計画を変更しない限り、しばらく購入することはできません。
購入できない期間が長く続くと、計画に縛られる不自由さと購入できない苛立ちとによってだんだんと鬱憤が溜まってしまい、鬱憤が爆発して予定外の変な投資をしてしまうかもしれません。 こうした感情的な判断は将来の損のもとです。
しかし分散的に購入していけば、またしばらく経ったら同じ銘柄に対して購入できるようになります。 なのでまた次の購入機会まで楽しみに待てますし、購入回数が増えるので溜まった鬱憤を適度に解消することができます。
一つの銘柄を何回かに分けて購入したときのデメリット
一方で一つの銘柄を何回かに分けて購入することにはデメリットも存在します。 デメリットは大きく次の2つです:
- 購入後に株価が上昇したまま下落しない可能性がある
- 購入手数料が増えてしまう
一つ目のデメリットは、購入後に株価が上昇したまま下落しない可能性があることです。 そうなるともちろんですが、最初に一括で購入した方がリターンは高くなります。
また購入後に株価上昇は、金銭面だけでなく精神面でも多少のデメリットを生みます。 株価が上昇すると「やっぱり最初から購入しておけば良かった」と後悔する可能性があるからです。
しかしよくよく考えれば、株価が上昇しているのだから少なくとも得はしているのです。 リターンの額はちょっと物足りないかもしれませんが、資産が殖えていることは確かです。
そう考えれば分割して購入するというのは、株価の下落や上昇に関わらず私たちにそれなりのメリットをもたらしてくれます。 株価がどちらに振れても前向きに考えることが出来るのです。
つまり株価変動がもたらす精神的な動揺に対してヘッジが掛けられているということです。 そう考えれば納得できるのではないでしょうか。
デメリットの二つ目は購入手数料が増えてしまうことです。
多くの証券会社の購入手数料は購入代金に対して一定、もしくはそれに準ずるものです。 そのため分割して購入すると、分割分だけコストが増えます。
とはいうものの、最初に購入した後に株価が下落する可能性にを考えれば手数料増加のデメリットは薄いです。 最初の購入後に株価が大きく下落すれば、手数料増加を加味しても金銭的なリターンは大きくなります。
私も購入手数料が増えるのを嫌ったために、株を始めたときは一つの銘柄を一括購入していました。 しかし購入後に株価が下落するケースが多く、分割して購入した方が得なケースがほとんどでした。 こうした経験から、私は購入手数料が多少膨らんでも何回かに分けて購入するほうがお得だと考えています。
ただし一つ注意があります。 それは私が「手数料の安いアメリカの証券口座を利用している」ことです。
実はアメリカの証券口座の手数料は概して、日本のそれよりもはるかに安いです。 半額以下は普通、ときには80%Offになる場合もあります。
なので分割購入によって生じる手数料を大幅に減らしたい方は、できるだけアメリカの証券口座を利用された方が賢いでしょう。 手数料の安さだけではなく、世界中の銘柄に投資でき、長期投資向けサービスも充実しているので、あなたが資産を殖やすチャンスも飛躍的に向上します。
※本サイトでは海外投資のメリットやアメリカの証券口座を開くための様々な準備について解説しています。 興味のある方は下のリンクを参照し、まずは海外投資に関する基本的な知識を得てみてはいかがでしょうか。 すぐに口座を開設する気はなくても、知識として知っておくだけで今後役に立つかもしれませんし。
ご納得されて実際に口座を開設したくなった場合は、私が利用しているアメリカ証券口座の具体的な開設方法も本サイトで説明しているので別途ご参照ください。
・海外投資のメリットを知る:
・海外投資に必要な準備を一から理解する:
→【誰でも簡単】賢い海外投資をスタートするための口座&STEP一覧
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一つの銘柄を分割して購入するメリット、デメリットについて説明してきました。
個人的にはデメリットを考慮しても、金銭的リスクを減らせる上に精神衛生上も優れている分割購入の方がメリットは大きいと考えています。
ウォーレン・バフェット氏が大きく影響を受けた人物の一人であるフィリップ・フィッシャー氏も、著書"COMMON STOCKS AND UNCOMMON PROFITS"で分割購入をすすめています。
ちなみにフィッシャー氏は金融危機等で株価が大きく下落したときは、買い増すスピードを速めるべきだとも述べています。 最大の目的はいかに良い株を割安で購入するかですから、大チャンスが訪れたときにはよりダイナミックに購入を行う柔軟さ、大胆さも忘れずに分割購入を行っていきたいものです。
最終更新日:2016年7月20日
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