株式投資だけ、金投資だけではリスクがある
初回公開日:2020/10/12
最終更新日:2020/10/12
リスクの観点から、株式だけででも貴金属だけでも不十分だと考えています。両者を組み合わせることで初めて、あらゆるリスクを想定しながら、長期の資産形成ができると考えます。
▽最重要リスク
生活破綻リスク:必要な時に必要なお金を用意できないリスク
▽生活破綻リスクを引き起こす3大リスク
- 収入リスク(フロー):給与や事業収入、配当収入、債券からの利息収入など、生活に必要な収入が減少ないしは途絶えるリスク
- 市場リスク(ストック):名目資産価値が値下がりすることで、資産売却による生活資金の調達可能額が減少するリスク
- インフレリスク:収入や資産価値が目減りし購買力が低下するリスク
▽「長期配当再投資+貴金属投資のハイブリッド戦略」におけるリスク対策
収入リスクへの対策
- 配当再投資による複利効果で、配当収入を指数関数的に増やす
- 長期的に増配可能で十分な配当利回りの銘柄のみを選別(アボマガの役割)
市場リスクへの対策
- 市場動乱期に強い貴金属を保有し、株価下落リスクを分散的に回避
- 過去の配当再投資による株数増が株価下落時にクッションの役割を果たし、投資元本からの資産価値の減少幅を抑制
- 長期的に配当収入が十分増えることで、資産価値の変動を全く気にする必要がなくなる
インフレリスクへの対策
- インフレに強い貴金属を保有
- 配当再投資による指数関数的な株数増により、配当金・資産価値ともにインフレに負けないリターンを獲得
▽何故株式だけでは不十分なのか
市場リスクとインフレリスクに対処しきれるとはかぎらないため
分散投資と配当再投資である程度リスクを減らせるが、限度がある
インフレリスク対策にはエネルギー・素材株等のインフレに強い銘柄を持つことも有効と考えられますが、話を単純化するためにここでは触れません。
▽貴金属をポートフォリオに加えることによるリスク対策
貴金属には次のような特徴がある
- 市場リスク対策:金融危機等の株価暴落時に金価格は上昇しやすい
- インフレリスク対策:インフレ期に金価格は大きく上昇しやすい
1973-2019年までのあいだ、米国株の年間騰落率がマイナスの年は13回あった
そのうちゴールドが米国株のリターンを上回った年は10回あった
また米国株の下落率が大きいと、金価格のリターンが大きくなる傾向も見える
インフレが大きく進んだ1970年代に金価格が大きく上昇してきた
▽貴金属だけ持っていれば良いという考えは甘い
- 貴金属は利息や配当を生まない。最後には必ず売却してリターンを得なければならない
- 貴金属は価格変動が大きく、上手い売却には投資スキルが必要で難しい
→貴金属だけでは安心して毎年配当金を受け取れるじぶん年金をつくることは不可能!
▽危機をチャンスに変える!
長期配当再投資+貴金属投資のハイブリッド戦略の基本的な考え方は「高リターンをあげる」ことではない。
「どんな状況でもリスクを抑えることを最優先に考え、その結果、高リターンをあげることも期待できる」というものである。
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