ホルムズ海峡封鎖で露わになる投資家としての実力

[2026/03/09 ブルームバーグ]原油価格110ドル突破、イラン戦争で主要産油国減産-金は下落

原油価格が1バレル=110ドルを突破した。中東情勢の緊迫化で主要産油国が相次いで生産を抑制し、重要な海上輸送路が事実上閉鎖となる中、米国は紛争の一段の拡大を示唆している。

北海ブレント原油は取引開始直後に一時20%高の1バレル=111.04ドルまで上昇。米ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物も一時22%急伸した。ホルムズ海峡が事実上閉鎖され、貯蔵施設が限界に近づく中、アラブ首長国連邦(UAE)とクウェートは減産を開始。イラクも先週、生産停止に着手した。

あらゆるリスクから資産、購買力を守ることが投資家の仕事です。

これを行うには、あらゆる可能性・シナリオを想定した上で、その「確率」だけでなく「実現した場合の損益の大きさ」に従って対策を事前に講じることが必要です。

言い換えれば、起こる確率がどんなに低いと自分では思っていても、これが万が一生じれば自分自身の生活水準を劇的に落としてしまう出来事にはきちんと備えておくということです。

ほとんどの投資家は7~12年に一度のペースの、統計的には起こる確率が天文学的に低いとされる大暴落の不意の発生により、市場から退出していったという歴史が繰り返されてきました。

これはいかに「自称」投資家、本当はリスクを軽視するただの「ギャンブラー」、「似非投資家」が市場参加者のほとんどを占めることを如実に示します。

日本にとって起こる確率は低いけれども影響が甚大になりかねない出来事の一つが、中東情勢の緊迫化、とりわけホルムズ海峡の封鎖でした。

日本が輸入する石油の約80%はホルムズ海峡を通過することは広く知られていることであり、これが封鎖すれば日本の石油調達がほぼ途絶えることは子供でも分かります。

早期にホルムズ海峡が再開されれば、良かったで済みます。

しかしこれが長期化すれば、「ドル建て原油価格の上昇」に「円安というレバレッジ」が掛かり、円建て原油価格はべらぼうに上がることになります。

電気代やガソリン価格などが大きく値上がりし、物流費や製造費の上昇は消費者価格に転嫁され、家計の経済的苦境はますます深まります。

よって本物の投資家であれば、ホルムズ海峡の封鎖が長期化するリスクに予め備えておくことは当たり前で、義務のようなものでした。

インデックス投資のような一般的な株式投資ではヘッジになりません。原油価格が上昇・高止まりすれば物価やインフレ期待が高まり、金利が上昇したり中央銀行が利上げに迫られ、株式市場にとって大きな重荷となるからです。

そのため原油価格高騰・高止まりから購買力を守るためには、それ相応の対策が必要です。

昨年は原油価格が1バレル60ドル前後にまで安くなりましたから、備えをするには絶好の機会でした。

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脱化石燃料の風潮が昨年まで強かったために、世界の石油会社は開発を何年間も十分に行えませんでした。ところが米国でトランプ政権に変わりEV補助金を昨年9月末に終了・廃止したことで、脱化石燃料の前提条件は覆っています。

脱炭素・AI発、石油危機へ

中国でも今年からEV購入時の免税額が半減したことで、EVの新車販売台数が伸びなくなり始めました。

バークシャー・ハサウェイは世界最大の原油生産国に居ながら、将来の深刻な石油需給逼迫を見越してか、2022年のウクライナ戦争を境に石油セクターへの買いポジションを大きく増やしてきました。

ハイテク株から現金と石油に乗り換えてきたバークシャー

石油危機に備えてきたかどうかは、その人が投資家としての務めをきちんと果たしてきたかどうかを測る格好のバロメーターとなっています。

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