[2026/01/26 日本経済新聞]円上昇、2カ月半ぶり1ドル153円台 米当局「レートチェック」受け
26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=153円台に上昇した。153円台をつけるのは2025年11月中旬以来およそ2カ月半ぶり。前週末に米金融当局が為替介入の前段階となるレートチェックを実施したと伝わった。日米当局で過度な円安を抑えるため連携に動き出したとの見方から、円買いの動きが広がっている。
ベッセント財務長官:「日本で起きていることと(米長期金利の上昇を)切り離して考えるのは極めて難しい」
この発言から分かる通り、米国が懸念しているのは「円安ドル高の進行」ではなく「日本の長期金利急上昇の影響が波及して米国の長期金利も同時に上昇し制御不能になること」です。
日本でインフレが長期化する中、日銀や生保が揃って日本国債を買わなくなったことで、国債市場の流動性は干上がり、財政などちょっとした懸念が海外投資家の間で生じると日本国債は乱高下、最悪暴走してもおかしくない状態にあります。
日銀が供給した低金利の量的緩和マネーは米国はじめ世界の金融市場に流れてきました。日本の金利上昇は米国からのマネー流出を誘発し、株式・債券・為替のトリプル安を起こす危険性があります。
これは米国や米ドルの信認低下に直結します。トランプ政権は何としてもこれだけは食い止めたいのでしょう。
米国がレートチェックをしたとの報道は、昨年4月の出来事を思い起こさせます。
昨年4月3日にトランプ大統領が相互関税の導入を表明し米国株式市場が大きく崩れていった中で、9日に米国債利回りが急上昇しました。
2年債利回りは4%を上回り、30年債利回りは一時5%を超えました。2年債利回りが一時30ベーシスポイント上昇したというのは2009年以来の上げ幅でした。
これに危機感を感じたベッセント財務長官が相互関税を取り下げるようトランプ大統領に諫言し、彼はこれに応じて相互関税を一時停止・延期を決めたと言われています。
これらを踏まえ、日米協調介入(ドル売り円買い介入)の今後の可能性はどうでしょうか。
米国が米国債の利回り上昇を恐れているのに、日本が円高ドル安の為替介入を行うことを許すはずがありません。これは米国債を売ることですから。
中国、インド、ブラジルといったBRICS諸国が米国債を売っているなかで、米国債を保有する最大の外国である日本が米国債を大きく売れば、米国債市場に衝撃が走ること必至です。
逆に米国がドル売り円買いの為替介入を実施して日本国債を買えば、日本国債の利回り上昇に対抗できます。ついでに円高ドル安も進みます。
この為替介入が今後、日本国債利回りが急上昇したときに行われる可能性はあります。
これまでは日銀が日本の長期金利上昇を抑え込む主体でしたが、24年に量的引き締めを開始し、インフレが長期化する中で日銀は身動きが取れなくなっています。
もし今後日銀が国債買い入れを再開すれば、それは日本の金融システム・財政が危機的状況にあることを世界に知らしめることになり、日本からのキャピタルフライトが止まらなくなり、金利上昇・円安に歯止めが掛からなくなる恐れがあります。
米国の支援なしに維持することが難しくなるところにまで、日銀を中核とした日本の金融システムの腐食が進んでしまったと言えるかもしれません。
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