「超円安」への疑心暗鬼が深まっている?

Fedのハト派転換でも円高ドル安が進まない。

先週のジャクソンホールでの講演でパウエルFed議長は、慎重ながらも少しずつ利下げをしていくと受け取られる発言をし、実質的にハト派に転換した。

ハト派への転換はドル安要因。他の国々との金利差が縮まっていくためだ。

以前から市場はFedの9月以降の利下げを織り込んでいた。それもあって今年初めから現在にかけて米ドル指数は10%以上下げた。

ところがドル円は年初から4月にかけてこそ円高が進んだが、その後はじわりと円安ドル高に向かっていった。

年初来のドル円は7%ほどの円高ドル安に留まり、米ドル指数の下落率には及ばない。

4月以降もほんの僅かだが緩やかに米ドル指数が下落したのにも関わらず、この間に円安ドル高が進んだのは、米ドル以上に日本円が安くなってきたことを意味する。

何故日本円の弱体化が止まらないのか。

コメ価格が2倍に高騰し、今年1月にインフレ率は4%に達した。その後も3%台と、日銀のインフレ目標である2%を遥かに超える水準の物価高が続いた。

当然日銀の植田総裁はそれなりの規模の利上げに踏み切ると思われた。しかし米国の関税による経済への不確実性を理由に、利上げを拒み続けた。

日本国民が主食の高騰と実質賃金の低下で生きることさえも困難になりつつあるのに、インフレの安定という中央銀行の最大の責務を植田総裁は事実上放棄している。

責務をきちんと履行しない中央銀行が発行する通貨など誰も信用しない。そうなれば通貨インフレにまっしぐらとなる。

もちろん投資家のほぼすべては日銀の信用がなくなり、日本円が紙くずになるとは信じていない。

しかしその可能性もゼロではないのではないか…こうした疑心暗鬼が日本円の安さの背景にあると考えるのは突飛だろうか。

日本円を巡る疑心暗鬼はこれだけではない。日本政府が米国に約束した80兆円規模の投資が実現すれば、巨額の実需マネーが米国に流出し、1ドル200円にまで円安が進むと考える市場関係者が出てきている。

これらが実現すれば超円安は免れないだろう。しかしあまりにもインパクトが大きすぎて想像がつきにくく、不確実性が大きいから、大きな円安には至っていない。ただそれだけのことなのではないか。

なお、昨日書いたようにFedのハト派転換をきっかけに米国の「根拠なき熱狂」が再来すれば、日本の投資家も米国株に殺到する可能性がある。

米国株「根拠なき熱狂」が再び繰り返されるのか
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20250825-us-stock/

膠着状態にあるドル円も、いずれ大きく動き始める局面がやって来よう。