昨日の配信で、株価の変動などに翻弄されない心は、経験と技術に基づいて形作られると書きました。
長年の取引と研鑽を通じて、自分なりの投資の(特に購入の)具体的な方法・ルールを決め、それに基づく売買を繰り返して確かな成功体験を積み重ねることが心の安定につながることを、私は10年間の投資経験で学びました。
ただこの考えには注意しないといけないことがあります。それは成功体験によって楽観的・自信過剰・傲慢になり、投資を甘く見てしまいリスクをきちんと考えなくなってしまう危険があることです。
調子に乗ると人は自分の考えに固執し、周りを見なくなったり不都合な情報に目を瞑ってしまうものです。
リスクは常に自分の頭の外に潜んでいます。リスクについて日頃から考え、新しい情報や知識を吸収しながら考えを更新し続けないと、知らぬ間に「肉屋に飼われた七面鳥」になってしまいます。
自分の行っている投資スタンスが本当に正しいものかどうかは、金融危機が起こるなどして市場が大暴落したときに初めて露わになります。
かつて投資サイクルは長くても8年程度でしたが、2009年以降は現在にかけて米国株式市場はほぼ強気一辺倒でした。
この15年間にかけて成功してきた投資のやり方が、果たしてこれからも通用するのかどうか、その審判はまだ下されていないのです。
この15年間の投資トレンドは、中央銀行の量的緩和によって大量のマネーが市場に投入され、その大半がインデックス運用のETF・ファンドに流れ込んだというものでした。
2010年に米国市場におけるインデックス型ETF・ファンドによる運用割合は市場規模の19%でしたが、現在はほぼ半分を占めます。
ほとんどすべての投資家は、これまで米国株が200年間にわたりインフレ込みで毎年7%程度ずつ収益が上がっていったという統計データと分散投資の理論を根拠に、インデックス投資を正当化します。
でもこの統計データは米国の人口が拡大し続け、やがて英国に代わって覇権国になり、覇権国としての地位を拡大し続けてきた時代とパラレルです。
米国の覇権が衰えドル支配が崩れていった場合や、人口が伸びなくなった場合にも実質で年率7%程度のリターンを続けられるのかどうかは不明です。
いま米国は世界から軍隊を引き揚げ、拡大BRICSは非ドル決済網を着実に築いています。米国の人口増は移民依存であり、トランプ氏は不法移民の排除を公約に掲げています。
分散投資の理論はグローバル化以前に作られたものです。グローバル化が進み、各資産クラスや銘柄間の分散効果は小さくなっており、金融危機が起き皆がキャッシュに殺到すれば相関係数は1となり分散効果は消えます。
インデックス投資は世界的にブームですが、金融市場の歴史上、ブームとなった投資手法はいずれ必ず通用しなくなり、暴落とともにブームは萎んでいきました。
明らかにいまのインデックス投資はバブルに乗っかる投資であり、ベンジャミン・グレアムの提唱したバリュー投資に真っ向から反するものです。
バリュー投資はいままで一度もブームになったことがなく、現在まで通用し続けてきました。
バブルに乗っかるインデックス投資と、バリュー投資すなわち「安全域(Margin of safety)」に基づく投資のどちらが通用するやり方なのか、次の大暴落のときに露わになります。
★アボマガではバリュー投資のアプローチ、とりわけ防衛的投資家のアプローチを一貫して取り続けています。