長期投資と複利効果:配当再投資

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長期投資と複利効果:配当再投資

 長期投資では複利効果を利用して時間を掛けてポートフォリオを育成していくことが重要となります。

 

 そのために最も有効な方法は、実に単純なのです。配当再投資をすればよいのですから!

 

 

配当再投資とその効果

 配当再投資とは文字通り、配当金を再投資に回すことを指します。ETFや投資信託であれば分配金再投資、債券であれば利子再投資です。要は「利のつく投資商品が生むインカムゲインを再投資に回す」ことです。

 

 インカムゲインを再投資をする場合には株式が一番有効なので、「配当再投資」という名称を利用し株式投資重視であることを印象付けることにします。

 

 配当を再投資するという単純な戦略が実は長期投資では極めて大きな威力を発揮するのです。

 

 多くの人は配当金はなけなしの収入であるイメージがあると思います。配当金はちょっとしたご褒美のようなもので、こんなちっぽけな配当金を再投資に回したってほとんど意味がない、使いきった方がマシだと思われるかもしれません。

 

 しかし実は配当再投資をするかしないかで、その後の資産の膨れ具合が全く異なってくるのです。状況には依りますが、何十年と時間が経ったときに配当再投資をした場合には、配当再投資をしなかった場合と比べて資産価値を何十倍もの差がついてくるのです!

 

 信じられないですか?確かにちっぽけな配当金を再投資しただけで、数十年後に資産に何十倍もの差を生じるなんて単なる空想、誇張のように思えるかもしれません。しかしこれは事実なのです。

 

 データを見れば一目瞭然です。下図は配当再投資の有無によるS&P500インデックスのトータル・リターンの違いを表しています。金線が配当再投資あり、青線
が配当再投資なしの場合です。約80年間で互いのリターンの差に24倍以上の開きがあるのです!

 

配当再投資有無によるトータル・リターンの違い

画像ソース:Ridgeworth Investments

 

 配当再投資の威力がお分かりいただけたでしょうか。ただ単に配当と言ったインカムゲインを再投資に回すだけで、将来見違えるほどの結果の違いが表れてくるのです。これを見るとなけなしの配当金を自分へのご褒美のために利用するのがもったいないと思いませんか?

 

 配当金といったインカムゲインを再投資するかしないか、これによって複利効果がもたらす将来の結果を二分するといっても過言ではないのです。

 

キャピタルゲインとインカムゲイン、どちらがリターンに寄与する?

 しかしこれだけでは配当再投資が本当に優れているかどうかを示すにはまだ足りません。何故なら配当を出さない成長株から得られるキャピタルゲインが大きければ、配当再投資を行うよりも無配の成長株に投資した方が良い結果が得られるでしょうから。

 

 キャピタルゲインとインカムゲイン、どちらが複利効果により多大な影響を与えるのでしょうか。これを確かめるためにまず成長株と割安株の配当再投資込みでのリターンを見ることにします。

 

 成長株はあまり配当金を出さない傾向にあるので成長株のリターンの源泉はキャピタルゲインです。一方割安株は配当金をある程度出してくれる傾向にあるのでインカムゲインがリターンの源泉になります。

 

 よって「成長株のリターン>割安株のリターン」であれば配当再投資よりもキャピタルゲイン目当ての投資をした方が得であると言え、「成長株のリターン<割安株のリターン」であればキャピタルゲイン目当ての投資はあまり有効ではなく、配当再投資は有効な長期投資戦略だと言えます。

 

 下図は1970-2014年までの成長株と割安株のトータルリターンの推移です(どちらも配当再投資込み)。緑系が成長株、青系が割安株です。図を見れば明らかなように割安株の方が長期的にリターンが大きいことがわかります。

 

成長株と割安株のトータル・リターンの違い

画像ソース:FINCH Wealth Management

 

 1970年代から1980年前半まではアメリカは不景気だったので割安株有利、1985年あたりからは配当支払いが軽視され借入の増加や自社株買いなどで資産価格を上昇しやすい環境に移行してきたので成長株有利です。ITの成長もありますね。こうした事情を踏まえると1970-2014年という期間は成長株の方が環境的には良かったはずです。

 

 それでもなお割安株の方がリターンが大きかったのですから、キャピタルゲインだけを狙った戦略では長期投資を成功させるというのはかなり難しいと言えそうです。配当を出してくれる企業に投資を行い配当再投資をすることが長期投資戦略として有効そうです。

 

 もう一つ、配当利回りの観点でも見てみましょう。配当利回りが低い銘柄は余剰資金を新規投資や自社株買いに利用するのでキャピタルゲインがリターンの源泉、配当利回りが高い銘柄は配当金がリターンの源泉となり配当再投資に向いているものです。

 

 こちらも図を見ると明らかなように、配当再投資込みでは配当利回りの高い銘柄が圧倒的なリターンを叩き出していますね。配当利回りの観点からみても、キャピタルゲインの力だけでは限界があり、配当金を多く出してくれる銘柄に対する配当再投資が長期投資成功のためのキーとなることがわかります。

 

配当利回りによるのトータル・リターンの違い

画像ソース:WisdomTree

 

 過去のデータを見ていくと、配当再投資がかなり有効な長期投資戦略であることが見えてきます。

 

何故皆さんにとって配当再投資はメリットがあるのか

 何故皆さんにとって配当再投資はメリットがあるのか。一番のメリットはズバリ「配当再投資により複利効果を遺憾なく発揮させて資産を長期的に殖やしやすい」ことです。

 

 複利効果を発揮させるためには次のようなことが長期的なリターンを得るために不可欠であることを話しましたね。

 

  • 長期間複利効果を働かせ続けることが大切である
  • ちょっとでも利回りを高めることが大切である
  • インフレに勝たなければいけない
  • 大失敗してはいけない

 

 長期間複利効果をプラスに働かせ続けること、配当再投資ならできます。何故なら株価が上昇しようが下落しようが、配当再投資により「必ず株数を複利的に殖やせる」からです。

 

 ちょっとでも利回りを高めること、配当再投資ならできます。何故なら配当金を再投資する分だけ利回りが増えることが一つ。配当再投資ではあまり頻繁に売買する必要がないので、無用なコストを抑えながら利回りを高くさせることができることが一つ。

 

 そしてもっと重要なのは、配当再投資では様々な要因、パラメータが協調することで結果的に相当な利回りで複利効果が働くのです!複数の波が重なることでかなりの高さの波が生まれるのと同じように、複利効果が重なり合うことで利回りが一気に大きくなり、とてつもない大きさのリターンという波が得られるポテンシャルがあるのです!

 

 インフレに勝たなければいけない、配当再投資ならできます。長期的にはインフレ率を上回る配当金の増加が期待できますし、上に書いたように複数のパラメータの協調によりかなりの利回りを得られるので、インフレを気にすることなく十分な実質リターンを得られるのです。

 

 大失敗しない、配当再投資なら確率は高いです。配当再投資は「株価下落時に真価を発揮する」「株価下落を味方につけられるので心理が狼狽しにくい」という、普通の投資家にとって一番怖い面を逆にポジティブに活かすことができるからです。これはリスク面や投資家心理面において大きなメリットです。

 

 配当再投資による投資が成功するかどうかは最終的に投資家自身の問題なので必ず成功できるとは確約できませんが、成功しやすい(少なくとも失敗はしにくい)投資方法なのではないでしょうか。

 

 配当再投資は複利効果を遺憾なく発揮させて長期投資を成功しやすくしてくれる、素晴らしい投資戦略なのです。

 

最終更新日:2016年7月20日

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