ハイテク株から現金と石油に乗り換えてきたバークシャー

[2026/02/18 日本経済新聞]バークシャー、Amazon株の保有8割減 NYタイムズ株を新規取得

米投資会社バークシャー・ハザウェイが、2025年10〜12月期に米アマゾン・ドット・コム株の保有株式数を77%減らしたことが明らかになった。米アップル株も4%減らし、3四半期連続の売却となった。

[2026/02/19 日本経済新聞]米、イラン大規模攻撃の可能性 米報道「数週間以内に」

米ニュースサイト「アクシオス」は18日、トランプ米政権が核開発を巡り対立するイランとの大規模な戦争に近づいており、「間もなく始まる可能性がある」と報じた。軍事作戦は数週間に及び、1月に南米ベネズエラを攻撃した時とは異なり、本格的な戦争になる見通しだという。

バークシャーの株式売買動向を見て気になったのはアマゾン株売りではありません。現在も石油株を多少なりとも買い増ししていることです。

アマゾン株の売りは当然です。AIデータセンターへの巨額投資でキャッシュフローが早晩不足することは財務諸表を見ていれば昨年の時点で明らかでしたから。

現にアマゾンは今年、昨年より52%増の2000億ドルもの設備投資をする計画です。今年の営業キャッシュフローが昨年同様に20%あまり増加しても、フリーキャッシュフローが史上最悪の300億ドル規模の赤字となるのは確実です。

この発表に先駆けてバークシャーはアマゾン株を売ったわけです。売りを出来る限り先延ばしして株価がピーク付近のときに売却して利益を最大化したのはさすがです。

本題。バークシャーはシェブロン株を2四半期連続で買い増ししました。

バークシャーはウクライナ戦争の始まった2022年からシェブロンとオクシデンタル・ペトロリアムという2つの石油会社への投資を本格的に行うようになりました。

2024年から現在まで、バークシャーはアップル株を筆頭に多くの保有株式を売却し、将来の金融バブル崩壊への備えを進めてきました。2025年9月末時点の現預金+短期債保有残高は3817億ドルと2年前から2.2倍以上に増やしました。

しかしオキシデンタルの株は手元資金確保を進める中でも買い続け、同株の3割近くを保有するまでに至りました。

シェブロン株は調整売りする局面もありましたが、昨年に原油価格が1バレル60ドル付近に低迷していた中で買い増ししました。

今ではバークシャーの株式ポートフォリオに占める保有割合はシェブロンが7.24%、オクシデンタルが3.97%に達しています。それぞれバークシャーが保有する全銘柄中、5番目、7番目の多さです。

バフェット氏の後任にバークシャーのCEOとなったアデル氏はエネルギー部門の出身ですが、電力と天然ガスという規制事業に直接携わっており、石油との関連は大きくありません。しかも風力や太陽光といった再生可能エネルギーを推進してきた人物です。

そのため石油株の買い増しは、長期的なキャッシュフロー創出能力があり株主還元に前向きな企業を安く買うという、バークシャーの投資哲学に基づいたものだと思われます。

現に、石油企業は近年、無理な設備投資を行わず、キャッシュフローの安定確保を最優先に経営し、配当や自社株買いを通じて株主に報いる傾向を強めてきました。

ハイテク株の買いポジションを大きく減らし、現金(短期国債)と石油のポジションを大幅に増やしてきたというのが近年のバークシャーの動きでした。

AI巨額投資リスクへの市場の警戒・不安は着実に強まっています。米国とイランとの戦争懸念から原油価格はジリジリと値を上げています。バークシャーはこの先世界がどうなろうとも準備万端のようです。

★投資家の仕事とはあらゆるリスクに先んじて備えることです。あなたも私もその仕事をきちんとやり遂げてきたか、それとも目先の値上がりに飛びついただけで仕事を怠ってきたか、その成果が近々問われることになりそうです。