暗号資産(仮想通貨)投資会社ギャラクシー・デジタルの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・ノボグラーツ氏は、人工知能(AI)とステーブルコインの技術の結びつきが強まるにつれて、AIツールがステーブルコインの利用拡大を後押しするとの見方を示した。
米国で7月にジーニアス法が成立したことで、米ドルにペッグしたステーブルコイン関する規制が法制化され、普及を大きく後押しすることになった。
ステーブルコインはAIエージェントとの相性が良い。何故ならボラティリティリスクをほぼなくしながら、取引を高速かつ低コストに、完全自動で行う道が開けるからだ。
AIエージェントはインターネット上のデータ(株価、為替、天気など)や、センサーなどのIoTデバイスを通じて現実世界のデータをリアルタイムで取得する。
取得したデータをAIエージェントが分析する。そして取引を行う条件を満たせば、AIエージェントは即座にトランザクションを自動で作成しブロックチェーンに投げる。
取引を行う条件は人間がプログラムを書いて定めることもあるが、AIエージェントが過去のデータやトレーニングに基づいて自分で定めることもある。
トランザクションを受け取ったブロックチェーン上のスマートコントラクトが取引・決済を自動的に行う。
結果、トランザクションを作成したAIエージェントが管理するウォレットからステーブルコインが支払われ、別のAIエージェントが管理する受取人のウォレットにステーブルコインが加わる。
またこの取引が別のAIエージェントの取引条件を満たし、別の取引・決済が連鎖的に引き起こされる場合もある。
完全自動・自律的に取引を完了できるので高速なのはもちろん、マージンを徴収する人手を介さないから取引コストも大きく減らせる。
こうした取引はステーブルコインでなくても、イーサといった従来の暗号資産でも出来た。
ただ従来の暗号資産はあまりにも価格変動が大きいので、例えば「Eコマースで商品を注文し、受け取った瞬間に支払う」という契約を注文時に結んだ場合、どうしても注文時と受取時の暗号資産の価格変動による影響が生じてしまう。
AIエージェントに価格変動を予測するシステムを組み込んでも、変動が大きければ予測精度は下がるし、予測のためにリソースを割く分コストも増えてしまう。
価格変動が大きい、つまり「為替リスク」の高い通貨など誰も決済に使いたがらない。
ましてやそんな通貨を使った取引が人手を介さず完全自動で高速に、連鎖的に歯止めなく行われたらたまったものではない。
でも価格変動のほとんどないステーブルコインであれば、こうした心配はほとんど必要ない。
ジーニアス法の制定で、AIエージェント、ブロックチェーン、スマートコントラクト、ステーブルコインを組み合わせた、完全自動の自律型取引・決済の道が開けたと言ってよいだろう。
引用した記事でノボグラーツ氏は、AIエージェントがユーザーの嗜好に合わせて自動的に食料品を注文し、ステーブルコインを使って支払うという近未来を思い浮かべている。
こうした消費者による完全自動の取引が何年か先に爆発的に普及しているかと言われれば疑問だ。
AIエージェントが暴走し、知らぬ間にとんでもない額が口座から引き落とされてしまうのではないかとほとんどの人は心配するだろうから。
ただ国際送金や企業間決済、貿易決済といったビジネス用途での使用は広まりそうだ。
決済にまつわる事務手続きをすべて自動化することが出来れば、企業は費用を大きく削減し、本業にリソースを割くことが出来るわけだから。
物価高や賃上げが世界的に続く中で、企業は少しでも費用負担を減らしたいのだから尚更のことである。
すでに一部の決済関連会社の中には、企業向けにステーブルコインを使った決済サービスを提供しているところがある。
大手企業がブロックチェーン上のステーブルコイン決済に移行すれば、取引先の企業は半ば強制的にこれに移行せざるを得なくなるだろう。
まずは企業間決済でAIエージェントとステーブルコインを用いた完全自動決済がどこかの時点で爆発的に普及しそうだ。何年先かは分からないが。
★アボマガ・エッセンシャルの会員様へ
時価総額の4分の1を自社株買いに充てる割安成長株を8月25日に紹介しましたね。
当時の記事では触れませんでしたが、ステーブルコイン事業が長期的に大きく成長する期待も込めています。