公的年金に頼った老後はもう無理だと腹を括るしかないね

年金受給額はインフレ率に連動するわけではありません。

年金受給額の伸び率は「賃金上昇率とインフレ率のうち小さい方」から、(マクロ経済スライドにより)一定の数字を差し引いて求まります。

日本の実質賃金は、インフレが本格化した2022年から現在に掛けて減り続けてきました。2022~24年までの3年間で計3.8%減りました。

2023年以降は実質の現金給与総額の伸びに比べ、きまって支給する給与の伸びがより落ち込む傾向を示すようになりました。

これは所定外給与、すなわち残業代が減少しているためです。

企業は1時間あたりの賃金を引き上げた分、従業員の残業時間を減らして残業代を減らし、人件費の上昇を今日まで抑え続けてきました。

パート従業員は2024年に掛けて残業時間が増えてきました。

ところが今年に入りパート従業員の残業時間も短くなり始めました。背景にあると思われるのが、いわゆる「106万円の壁」の撤廃議論が昨年末から始まり世間の注目をにわかに集めたことです。

6月に年金制度改正法が成立したことで、2026年10月以降、週20時間を超えて働くパート従業員は厚生年金への加入を義務付けられることになりました。

厚生年金保険料の支払いは労使折半ですから、パート従業員とその雇い主の双方の思惑が一致し、パート従業員の労働時間は今後大きく減っていきそうです。このとき残業時間の縮小が真っ先に始まります。

現在の日本企業の態度や欧米と比べまだまだ低い収益性を見る限り、実質賃金が毎年平均0.5~2%程度ずつダラダラ減少していく状況がいますぐに打開されるようには到底思えません。

この分だけ年金受給額の伸び率はインフレ率から引き算されて抑制されます。これにマクロ経済スライドが加わりさらに抑制されます。

マクロ経済スライドによる年金受給額の減額措置は、今後の日本の実質経済成長率や実質賃金上昇率が低いほど長期化します。

昨年の財政検証の資料には、1人当たりゼロ成長ケースでは2059年度までにマクロ経済スライドの未調整分は-21.7%と書いてあります。

マクロ経済スライドは最長2057年までと言われていますが、いまの日本の厳しい経済状況が今後も続くのであれば、あと100年この制度が続くかもしれません。

実質賃金の減少とマクロ経済スライドが続く限り、実質の年金受給額は減り続けていきます。

先進国で最悪レベルにインフレが酷い国に落ちぶれた日本において、年金に頼った老後の生活設計はすでに破綻が決まっているのです。