米商務省が30日発表した2025年1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、年率換算で前期比0.3%減だった。トランプ米大統領の関税政策を警戒した「駆け込み輸入」が増え、2.4%増だった前期(24年10~12月期)から一転して、22年1~3月期以来3年ぶりのマイナス成長となった。
トランプ関税のせいで米国が3年ぶりにマイナス成長に陥ったと国内外のメディアが騒いでいます。
関税発動前に企業による大量の駆け込み輸入が発生し、1~3月期の輸入が前期比で41.3%増えたことが原因です。
これから145%の関税を課した中国からの輸入品が大幅に減るので、4~6月期は輸入が前期比で大幅なマイナスとなり、実質GDPは大きく押し上げられることになります。
そのため米国が前期比マイナス成長だったと報じるニュースはすべて無価値、ゴミくずでしかありません。前年比では2.0%のプラス成長でした。
私が今回のGDPの数字を見て印象に残ったのは、個人消費が落ち込むなかで民間支出が大きく増えていることです。1~3月の民間支出は前年比5.9%増、前期比21.9%増でした。
https://www.bea.gov/sites/default/files/2025-04/gdp1q25-adv.pdf
トランプ大統領は兼ねてから米国の製造業を復活させ雇用を増やすと言ってきました。この意向通りの数字が表れています。
トランプ政権が誕生してから、ハイテク業界を中心に米国で巨額の設備投資を行うとの発表が相次ぎました。
1月にオラクル、オープンAI、ソフトバンクが共同で新会社「スターゲート」を設立し、5000億ドルを投じて米国でのデータセンターやAI関連インフラ(サーバー、ストレージなど)を整備すると発表しました。
アップルは2月に5000億ドル投資を投じてテキサス州ヒューストンに新たな生産施設を建設することを発表しました。TSMCのアリゾナ工場からチップを調達予定で、iPhoneやAI関連製品の生産を強化します。
TSMCは3月に新たに1000億ドルを投じて3つの製造工場(ファブ)、2つの先進パッケージング施設、研究開発(R&D)センターを建設する計画を発表しました。
米国の民間支出が増えた背景には、GPUサーバー、ストレージ、EUV露光装置といった、半導体やAIといった先端分野で欠かせない装置の購入が増えたことがあるのです。
今後マイクロソフト、エヌビディアなども米国への巨額投資を発表すると見られています。
データセンター、AIインフラを動かすには莫大な電力が必要ですので、発電や送電網の建設がこれから本格化していきます。
サイバー攻撃に強い、最新のソフトウェアやAIを組み込んだ次世代の電力供給システムの導入も必要になります。
個人消費は今後株安が進むことで大きく落ち込むかもしれませんが、民間支出の拡大と純輸出の改善が米国経済の成長を支えていきそうです。
トランプ関税で米国経済が後退するとの見方は、株安・バブル崩壊が進む可能性にばかり注目した視野の狭いものでしかありません(バブル崩壊で一時的に景気が大きく悪化する可能性は否定しませんが)。