ASMLの受注額半減は台湾一極集中の半導体生産体制の弊害かも

[2024/10/16 ロイター]ASML株16%安、受注低迷や25年見通し下方修正がサプライズ

オランダの半導体製造装置メーカー、ASML(ASML.AS), opens new tabのアムステルダム市場の株価は16%安と、大幅安で引けた。1998年以来、1日の下げ幅として最大。

この日に発表した第3・四半期決算で、受注額が26億ユーロと、40─60億ユーロとされていたアナリスト平均を大きく下回ったほか、2025年業績予想を下方修正したことが市場にサプライズを与えた。

決算は誤って予定より1日早く同社のウェブサイトに掲載された。

[2024/10/15 時事通信]現実味帯びる台湾封鎖 演習から即実戦も―中国

中国は徐々に台湾本島に接近しながら大規模な軍事演習を重ね、圧力の度合いを高めている。今回の演習には港湾封鎖訓練が含まれたほか、新たに海警局の多くの船が台湾本島をぐるりと囲む形で巡視活動を展開。「祖国統一」を目指す習近平政権は、演習に加えて貨物船への臨検の能力も誇示し、事実上の経済封鎖をちらつかせて台湾の頼清徳総統を威嚇している。

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今回の演習エリアは台北、基隆、花蓮、台東、高雄、台中の6都市の沖合に設定。台湾本島を取り囲む形となっており、長期化した場合には船舶や航空機の出入りに多大な影響が及ぶのは必至だった。

26年ぶりの暴落率をもたらしたASMLの受注額は前期から53%減少しました。

EUV露光装置の受注額は11億ユーロ減少し、それ以外の装置も15億ユーロ減りました。

ASMLのCEOは、半導体市場の回復はAIチップを除いて鈍く、この状況は2025年にかけて続く見通しで、顧客(主にインテル、サムスン電子を指すと考えられる)は装置の注文に慎重だと述べています。

これはTSMCが主導する半導体製造の台湾一極集中による弊害が数字となって表れたことを意味します。

現在の半導体ブームのほとんどはエヌビディアのサーバー向けAIチップが高額で売れているためであり、台湾にあるTSMCのファブがこれをすべて生産しています。

エヌビディアに限らず、ほとんどの半導体設計会社は最も技術力と実績のある台湾にあるTSMCのファブでチップを製造して欲しいと考えています。

インテルの設計部門でさえ、高性能チップに関しては同社のファウンドリーでなくTSMCに頼みたいと思っていますしすでに製造委託しています。

ファウンドリー各社はパンデミックの間に生産能力を大きく増やした反動で、TSMCが独占するAI関連以外の半導体の製造能力は過剰気味になっているようです。

この状況でTSMCに技術力で劣るサムスン電子やインテルが半導体製造工場を新たに造っても、エヌビディアやアップルなどの顧客を獲得して利益を生み出せる保証はありません。

サムスン電子(TSMCもですが)の米国での半導体製造工場の建設が遅れているのはこのことを考えれば納得がいきます。

インテルも9月に世界的な投資縮小策を発表してドイツやポーランドでの新工場建設を事実上白紙撤回しました。

米国での投資は計画通り進める方針ですが、顧客獲得が思うように進まずオハイオ州の建設中の新工場にはまだ生産設備が導入されていないと言われます。

サムスン電子やインテルがASMLへの半導体製造装置の発注を減らすのは当たり前で、この状況が長期化しても不思議ではありません。

他方TSMCはエヌビディアのAIチップを生産するためのパッケージング技術であるCoWoSは深刻な容量不足にあり、これを利用して製造受託料金を吊り上げてぼろ儲けしています。

多くの製造関連半導体企業にとってTSMCは利益を独り占めする憎い存在になりつつあります。米国政府や米軍にとって安全保障上看過できない問題であることでしょう。

彼らにとっての利益を考えれば、台湾情勢を緊張させている中国軍はまさに救世主です。

もし今後、中国軍が台湾を封鎖してサプライチェーンを寸断してしまえば、エヌビディアやアップル等は台湾のTSMC工場に製造委託を集中することが大きなリスクだと考えざるを得なくなります。

嫌でも半導体製造のサプライチェーンは台湾一極集中から世界分散体制に移行するしかなくなります。

TSMC以外のファウンドリー、ASML、そして自国にファブを誘致したい米国政府にとってはまさに願ったり叶ったりでしょう。中国軍と米軍は台湾を巡り裏でツルんでいてもおかしくありません。

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