悪材料まみれになってきたテンセント_1

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悪材料まみれになってきたテンセント_1

2018/09/06

 

 2017年に株価が2倍以上上昇したものの、2018年に入り様々な悪材料が出てくるようになり株価が下がり始めたテンセント。13年ぶりに前年同期比減益となり、中国当局の規制強化の影響も受けており、泣きっ面に蜂の状況。テンセントに将来はあるのか?

 

[アボマガ No.11]悪材料まみれになってきたテンセント_1

の記事(一部)です。メルマガでは最新の中国インターネット市場予測を参照しながら、テンセントの将来を分析しています。

 

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中長期でみるとテンセントは明るい

 まずはテンセントの事業について簡単に話しておきます。

 

 テンセントはバイドゥ、アリババと並ぶ中国の3大ネット企業の一角です。

 

 テンセントといえば、無料メッセンジアプリであるWeChatが有名ですね。

 

 WeChatの月次アクティブユーザー数は10億人を突破し、現在も伸び率は鈍化しているものの月次アクティブユーザー数は伸び続けています。

 

画像ソース: statista

 

 

 現在のテンセントの主要事業はソーシャルネットワーク事業とゲーム事業の2つです。

 

 ※テンセントはこれら2つの事業をまとめて「付加価値サービス(Value-Added Services)」と呼んでいます

 

 ソーシャルネットワーク事業は動画のサブスクリプションやライブストリーミングから収入を得ています。

 

 ゲーム事業はスマホ向けゲームの課金収入を中心に得ています。

 

 最近はテンセント全体の収入に占める付加価値サービス事業からの収入のシェアは低下傾向にあります。

 

 それでも全体の6割前後が付加価値サービス事業からの収入ですから、ソーシャルネットワークとゲームからの収入の伸びが、少なくとも短期的にはテンセントの収益を決めることになります。

 

 言い換えれば、ソーシャルネットワークとゲームからの収入の伸びが、テンセントの直近の株価を決める主要因の一つとなります。

 

画像ソース: テンセント

 

 短期的なソーシャルネットワーク事業とゲーム事業の業績については、後述します。

 

 その前に、テンセントの将来について見ていきましょう。

 

 (省略)

 

 ビジネス・市場面からみて、中長期(少なくとも中期)でテンセントの将来は明るいと思います。

 

 ただし、いまテンセントの株を購入することは、ハイリスクだと考えます。

 

 以下、テンセントの現状について解説していきます。

株価下落が続くテンセント、市場はなおも楽観視

 テンセントの直近の株価と業績を見てみます。

 

 2017年に株価が2倍以上上昇したテンセントですが、2018年に入り株価は下げ始め、今年1月のピークから25%以上下がっています。

 

 テンセントの株価が下落を続ける大きな理由は3つあります。

 

  • 新興国からの資金流出や米中貿易戦争の過熱
  • 中国政府によるゲーム規制の強化
  • Q22018決算での減益

 

 [新興国からの資金流出や米中貿易戦争の過熱]

 

 今年2月からの新興国からの資金流出の拡大、および米中貿易戦争の過熱により、中国株(上海総合指数)はここ6ヶ月で14.6%のマイナスです。

 

 新興国株式の騰落率でさえ-7.4%であり、世界の株式市場と比較して中国株は大負けしている状況です。

 

画像ソース: JPモルガン・アセット・マネジメント

 

 テンセントの株価も、上海総合指数と似たような株価下落の推移をたどっています。

 

 

 [中国政府によるゲーム規制の強化]

 

 8月13日、中国政府はテンセントに対し、日本でも大人気のゲームであるモンスターハンターシリーズの新作(モンスターハンター・ワールド)の販売停止を要請し、同日にテンセントは同作品の販売停止を発表しました。

 

 8月8日に発売してからわずか5日後のサプライズ的な販売停止措置であり、同日と翌日の2日間でテンセント株価は3%下落しました。

 

 同作品の販売がいつ再開されるかは現時点で不明です。

 

 [Q22018決算での減益]

 

 8月15日に発表されたQ22018(2018年第2四半期)決算で、テンセントの営業利益は前年比3%減、前期比では29%も減少してしまいました。純利益は前年比2%減です。

 

 成長鈍化の声が聞かれるようになったBATですが、それでもバイドゥのQ22018の純利益は前年比45%増、アリババは61%増であり、テンセントの減益が目立ちます。

 

 テンセントの減益はおよそ13年ぶりです。

 

 ゲーム事業での売上げ鈍化の一方で、コンテンツ費用やライセンス料などの費用が増加の一途を辿っており、テンセントの減益につながりました。

 

画像ソース: テンセント

 

 中国政府によるモンスターハンター・ワールドの販売承認停止と減益決算が重なり、8月13-16日の4日間にテンセント株価は10%近く下落しました。

 

 

 続いてテンセントの株価バリュエーションとコンセンサスを見てみましょう。

 

 現在のPERは43倍程度であり、今年の予想PERは36倍程度で、高い状態が続いています。

 

 コンセンサスは今後もテンセントが増収増益を継続するとみており、売上げは毎年27%-37%程度、EPSは毎年15%-28%程度伸びていくそうです。

 

 

 依然、テンセントに対する市場の見方は強気です。

 

 つまり、今後またテンセントの決算が市場予想を下回ることがあれば、近い将来にテンセント株価がさらに大きく下げてもおかしくありません。

 

 

 私は短期的なテンセントの業績や株価に関しては悲観的な立場です。

 

 気になるのは次の3つの点です。

 

  • 規制強化・政治リスク
  • 営業利益率の低下
  • 本業とは関係のない株式投資規模の大きさ

 

 これら3点については、次回お話します。

 

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