[2018/05/16]新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?


ネットでらくらく「海外⇔日本」双方向送金。
私も使ってみました→



お知らせ
【重要】とあるお知らせの中には、既存の記事への反映が追いついていない最新情報をお伝えしている場合があります。必ずご覧ください。

【2018/04/14】トランスファーワイズで「日本⇔海外」双方向送金
【2018/03/24】次の金融危機の規模はリーマン・ショックの何倍...?
【2018/03/17】世界大転換に向けての最も有利な「準備期間」の終わりが近づきつつあります
【2018/03/01】SogoTradeに提出する運転免許証の英訳用書類について
【2017/09/24】お問い合わせに関するおしらせ

新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?

2018/05/16

 

【2018/05/15 ブルームバーグ】アルゼンチン・ペソが過去最安値-中央銀行が通貨防衛策を転換

 

14日の外為市場でアルゼンチン・ペソが過去最安値に下落。中央銀行が通貨防衛戦略を転換する一方、国際通貨基金(IMF)はスタンドバイ取り決め(SBA)のために為替レート目標を設定することはないと表明した。

 

ブエノスアイレス市場でペソは6.9%安の1ドル=24.99ペソで終了。今年に入ってからの下落率は26%と、新興市場で最悪となっている。中銀は午前10時の取引開始時に1ドル=25ペソで50億ドル(約5500億円)を供給した。

 

スポンサーリンク

 アルゼンチンが1816年にスペインから独立して8回目の債務不履行に陥る懸念が出てきましたね。

 

 15日、アルゼンチン中央銀行は16日に満期を迎える予定だった260億ドルの自国通貨建て国債借り換えに成功したと発表し、直近での債務不履行は回避されました。
【2018/05/15 Wall Street Journal】Argentina Rolls Over Debt, Giving Government Shot of Confidence

 

 しかしこれは単に問題が先送りされただけです。アルゼンチン財政が自転車操業であることには変わりなく、近い将来にアルゼンチンが独立後8度目のデフォルトに陥るのは時間の問題でしょう。

 

 アルゼンチンは外貨建ての国債発行にあまりにも頼りすぎています。

 

 アルゼンチンの政府債務の7割近くは外貨建てです。他の新興国と比較しても極めて高い水準です。内的・外的要因で大きく変動する性質をもつ為替レートがペソ安ドル高に大きく振れると、ペソ建てでの政府債務額が急速に膨れ上がる脆弱な構造となっています。

 

新興国各国の政府債務に占める外貨建て債務、外国人保有者の割合

画像ソース:IMF

 

 これに嫌気をさした海外投資家がアルゼンチンから資金流出することで、ますます「ペソ安→ペソ建てでの政府債務増」につながり、負の連鎖が止まらなくなってしまうのです。

 

 アルゼンチンは「対外債務 / 外貨準備高」が4倍以上もあります。経常赤字・財政赤字という双子の赤字を抱えており外貨建て国債の発行に歯止めが掛からない状態です。実質政策金利は15%程度もあります。さらにFedの利上げスタンス継続により米ドル金利上昇→ペソ安ドル高という外部要因も重なりました。

 

 前フェルナンデス政権は補助金のバラマキや中央銀行による紙幣の発行により財政赤字の拡大やインフレ率の悪化を招きました。現マクリ政権になってからは対外債務が急増し、「対外債務 / GDP」は2015年には26%でしたが、現在は40%にもなってしまいました。おそらく対外債務の多くは国債だと思われます。昨年には3400億円分の100年債を発行したことも記憶に新しいところ。

 

 アルゼンチンはこのような流れを辿っています。まぁ「いつもの」流れです。

 

  • 社会主義的な前政権がアルゼンチンの財政を悪化させ
  • 市場開放路線の現政権がアルゼンチンの財政に追い討ちをかけ
  • 現政権が、IMFからスタンドバイ取極のもとでの融資を要請する見通し

 

 ※スタンドバイ取極(SBA)とは、IMFが国際収支に問題を抱える国家に融資する見返りに、IMFが必要と考えるあらゆる経済改革案(要は市場開放)を受け入れなければならないという、IMFによる「国家改造計画」の一種。適用期間が1-2年と短期。より長期の「改造」が必要な場合は、拡大信用供与措置(EFF)が用意されている

 

 2017年5月8日現在、下図の緑色の国々がSBA/EFFを受けています。またギリシャも現在18億ドル規模のSBAを受けています。アルゼンチンがこれら国々に加わることになりそうです。しかも300億ドルという巨大な規模で...

 

2017年5月8日現在でIMF融資支援を受ける国々

画像ソース:IMF

新興国市場への資金流入トレンドが逆回転し始めた

 アルゼンチンだけでなく他の新興国でも金融ショックが起こりそうな気配になっています。

 

 ここ3年程度は「米ドル売り→新興国通貨買い→新興国金融資産に投資」というキャリートレードにより新興国市場に投資資金が流れたことは、以前にも何回か当ブログで書いてきました。

 

 しかし下図1番目を見る限り、そのトレンドがいよいよ逆回転し始めているようです。下図2番目の白線は新興国株式指数、青線は新興国通貨指数の推移です。キャリートレードの逆回転と同時並行的に、新興国株価も通貨も下がっていることがわかります。

 

新興国のキャリーインデックス推移

画像ソース:Zero Hedge

 

新興国株式指数、通貨指数の推移

画像ソース:Bloomberg

 

 昨年まで新興国の金融資産の利回りは米国金利と比較して大きく下がり続けてきました。今後は「米国の財政・金融政策等に伴う米金利増」+「新興国と米国の利回り差の調整(拡大)」という二つの要因が、新興国金融資産の価格を急速に下げていくでしょう。

 

 最近、米3ヶ月国債利回りがS&P500指数利回りを上回りました。投資家はリスク資産である株式や低格付け投資適格債券(投資適格債券のほぼ半分は格付けがBBB、投資適格債券のなかで最も低い格付け)に投資する意味がもはや喪失しています。
【2018/05/16 Bloomgerg】Cash Looks Competitive With Short-Term Rates Moving Ever Higher
【2018/05/03 The Economist】Where will the next crisis occur?

 

[PR]私も5-6年読んでいる、The Economistの定期購読はこちらから。上の記事も定期購読していたが故に見つかりました。

 

 当然、新興国金融資産に投資する意味もなくなります。今後新興国からの資金流出トレンドはしばらく止まらないでしょう。

 

 新興国の金融ショックが20年前のアジア通貨危機ほどのショックになるかどうかはわかりません。新興国はアジア通貨危機を教訓にこれまで外貨準備を増やしてきましたし、為替リスクを受けない現地通貨建て債務も大きく増やしてきましたから。

 

 しかし一部の新興国は対外債務に占める外貨準備が不足しており、アジア通貨危機のようなショックに見舞われるリスクが高いです。下図のベージュ色の領域に位置する国々が高リスクな国々です。マレーシア、トルコ、南アフリカなどが含まれています。

 

新興国の対外債務に占める外貨準備の大きさ

画像ソース:IMF

 

 さらに問題なのは、これまで超低金利の異常事態が続いており、少しの金利上昇でもバカにならない利払い増につながりやすいことです。万が一米国の長短金利が5年、10年と上昇傾向を継続するようであれば、外貨準備を積み増した新興国であってもボディブローのようにダメージを受け続けることも考えられます。

 

 新興国債務残高は21兆ドル(2007年)→63.4兆ドル(2017年)と10年間で3倍近く、年率平均11.7%成長を続けてきました。これは新興国の経済成長率を大きく上回るペースで、新興国の「自国通貨建て債務残高 / GDP」も10年で1.5倍程度増えてしまいました(その多くは中国によるもの)。

 

 自国通貨建て債務は為替リスクを受けないものの、金利リスクはしっかり被ります。新興国の財務状況は「米国の財政・金融政策等に伴う米金利増」+「新興国と米国の利回り差の調整(拡大)」という二つの要因に非常に脆弱な構造となっているのです。

 

新興国のGDPに占める債務残高の推移

画像ソース:FT

 

 そう考えると、新興国経済はしばらく低迷しそうです。財政基盤が弱い国、もしくはエネルギー輸入国は特に注意が必要でしょう(例:トルコ)。

 

 私は新興国市場の急落は世界的金融危機(おそらく1830年代の世界恐慌を超えるものだろう)の始まりであると考えてきましたが、もうそれは既に現実化しているようです。ただし大底はまだまだ先ですので、焦らないように...

 

スポンサーリンク

ロシア:危機をチャンスに変える「新興国」

 最後に、新興国市場が急落するからといってすべての新興国が経済・金融面で大きな被害を受ける、とは考えません。

 

 下図の左上は対外債務に対し十分な外貨準備が備わっており、今後も対外債務発行に大きく依存しなくて済むと考えられる国々です。ロシア、タイ、フィリピン、ブラジル、カザフスタン、インドが該当します。

 

新興国の対外債務に占める外貨準備の大きさ

画像ソース:IMF

 

 とりわけ目を引くのがロシアです。ロシアは外貨準備に占める対外債務が1.3倍と少ないだけでなく、GDPに占める政府債務も12.6%と極めて少ないのが特徴的です。また経常収支も黒字であり(中国への輸出増の影響が大きい)、財政赤字もわずかです。

 

 ロシアは長年高インフレに悩まされてきましたが、原油価格が1バレル30ドルの大底に達する直前の2015年終わり頃からインフレ率は急降下し、現在は2.4%にまで下がりました。

 

ロシアインフレ率、米ドルルーブル指数、原油指数の推移

画像ソース:BUSINESS SWEDEN ※PDFファイル

 

 ロシアはリーマン・ショック後から金準備を急速に増やしており、Q12018(2018年第1四半期)までに1857.70トンの金準備を蓄えています(10年前の3.5倍以上)。現在の金価格で約780億ドルであり、外貨準備の19.5%にも達します。インフレに強い金準備を積み上げたことで、ロシアは通貨防衛しやすい体質に変わっていると言えます。

 

ロシア中央銀行の金準備推移

画像ソース:BullionStar

 

 インフレ率が大きく下がり個人消費も回復したことから、2016年の終わりから実質GDP成長率もプラスに転じるようになりました(→ソース)。

 

 財政が健全なことからデフレに陥ってもダメージは最小限に抑えられますし、ロシアはインフレにもデフレにも耐えられる強い財政基盤が整っている、世界的にも稀な国となっているように見えます。

 

 ただしイスラエルとイランの争いが今後激化し、ロシアも巻き込まれることになれば莫大な戦費調達のためにロシアの財政が悪化するリスクは存在します。現在、ロシアはイスラエルとイランの軍事的対立には介入しない立場ですが。

 

 またロシアはルーブル建てでみた輸出金額が確実に上昇しています(名目値なのでインフレ分を割り引くと見た目ほど大きな上昇ではないことに注意)。輸出国もこれまでの欧州中心から、中国がロシア最大の輸出国となり、他地域への輸出も増えており、輸出国が分散化されています。地政学リスク等が高まっても輸出額が落ち込みにくい構造となっているのです。

 

ロシアの国別輸出額の推移、ルーブル建て

 

 ロシアがいまだに資源頼みの経済構造であることには変わりありませんが、「ルーブル安」+「原油需要>供給」+「米国の原油・石油製品の在庫が減少中」+「中東情勢不安による需要拡大、供給減少の可能性」→「(少なくとも短期的に)原油価格が高値圏維持の可能性」を考えて、ロシアは危機を上手く自分のものにしながら、他国を出し抜いて稼ぐチャンスと言えるわけです。

 

 また中長期的には一帯一路構想を通じたユーラシア諸国へのインフラ開発向け資源の提供や、ガス需要の増加も考えられます。資源依存というリスクを抱えながらも、ロシアの経済状況はメディアで伝えられるロシアの印象以上に良いのかもしれません。

 

 ロシア株のETFを見てみると、最も預かり資産の大きなRSXのPERが9.66倍、2番目に預かり資産が大きいERUSのPERは7.81倍と、割安であることがわかります。この割安さのおかげで分配金利回り(信託報酬含めず)もそれぞれ4.21%、3.57%と結構高く、過小評価が続いても再投資を続けていれば悪い買い物にはなりにくいのかもしれません(購入を推奨しているわけではありません。単なる数字の確認です)。

 

ロシアETFのファンダメンタルズ

 

 いずれもエネルギー関連銘柄が多く含まれるのが特徴ですが、最近の原油価格の上昇やルーブル安による輸出増の追い風があまり織り込まれていないように見えます。

 

 アンチロシアの報道を垂れ流し続ける欧米メディアに洗脳され、市場はロシアの価値を見出せていないのかもしれません。

 

私が利用しているブリオンボールト。資産防衛に有効とされる海外のゴールドをネットで簡単に購入できます。世界金融危機の備えにどうぞ。私はもう準備万端です。

 

 →将来に備えたい方は関連記事一覧へ
 →いますぐ備えたい方:口座開設はこちらから-コストが安く済むスポット取引コースが人気です

 

米国証券口座で長期投資。DRIPという米国限定の配当再投資サービスを利用することで、資産を効率的に殖やしやすい長期運用できますよ(DRIPの効果)。口座開設までに必要な一連のプロセスを、一から説明しています(株価崩壊後、安値で購入するための準備や金鉱株購入用としてどうぞ)。

 

 →初めての方はこちら
 →Firstradeの口座開設方法
 →Sogotradeの口座開設方法


スポンサーリンク このエントリーをはてなブックマークに追加   

 

資産を守るための最初の一歩を踏み出したい方向けコンテンツ

 

投資の始め方

 

関連ページ

[2018/05/16]新興国市場に赤信号点灯、世界金融危機の幕開け?
[2018/04/24]トランプが税制改革法案に埋め込んだ「マルウェア」
[2018/04/02]米国の自国優先主義は海外の金持ちを惹きつける
[2018/03/31]トランプは円安ドル高を許さない
[2018/03/24]リーマン・ショックから始まった金融市場の「真の終わり」の規模
[2018/03/17]新時代に向けて世界構造の破壊に本格的に着手し始めた米中
[2018/03/07]トランプの鉄鋼・アルミニウム輸入関税の真のターゲットはどこだ!?
[2018/02/28]物流、トランプ、中東、日銀...物価上昇・通貨減価懸念材料ズラリ
[2018/02/07]2018年2月5日-6日、世界同時株安だと?
[2018/02/03]144A for life -米国ハイイールド債市場を席巻する破滅的闇証券-
[2018/02/01]金利上昇が止まらないー草
[2018/01/24]米国経済が良くなると米国株相場はダメになる
[2018/01/10]配当再投資のリスク低減効果:私のポートフォリオの結果を材料に
[2017/12/29]2018年に向けて、金市場の動向をみる
[2017/12/06]ビットコインバブル→電力消費・発電問題発生→バブル崩壊
[2017/12/04]『金持ち父さんのこうして金持ちはもっと金持ちになる: 本当のフィナンシャル教育とは何か?』を読んでみた
[2017/11/27]トランプによる世界金融市場の大粛清がいよいよ始まりそうだ
[2017/11/23]トランプ税制改革は借り入れ依存企業への死刑宣告
[2017/11/18]ボラティリティ・ターゲット戦略は株式・債券市場を一瞬で破壊する
[2017/11/13]債券市場崩壊の初期段階がすでに現在進行中?
[2017/11/01]IMFは世界の中央銀行として世界を支配したいのか?
[2017/10/15]トータル・リターン・スワップの出現は第2のAIGショックの発生を暗示する
[2017/10/03]MiFID2は世界金融危機を拡大させ、大陸欧州を自滅に導く破壊ツール
[2017/08/26]世界金融市場クラッシュの予兆が見えた
[2017/09/21]暗号通貨に国債市場、日本円が抱える内憂外患
[2017/09/13]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す:その2
[2017/09/12]ドル離れの動きがFedの量的金融緩和政策再開を促す
[2017/08/24]日銀のETF買いは「貯蓄から投資へ」移行する家計を罠に陥れる
[2017/08/20]中国のシャドーバンキングスキームの崩壊はすでに始まっている
[2017/08/16]つみたてNISAのみの利用での長期資産形成は難しい
[2017/08/02]「金融の神様」がグローバル金融の崩壊を警告し続けている
[2017/07/13]「世界金融市場大揺れへのカウントダウン」は、すでに始まっている
[2017/07/09]相変わらず「自身の出口戦略」にしか興味のない日銀・黒田総裁
[2017/07/04]「悪徳」銘柄への投資こそ、年金運用には向いている...!?
[2017/06/29]短期の変動に目を奪われすぎず、本当のリスクに焦点を合わせよう
[2017/06/18]イエレンさん、本当にバランスシート正常化なんてできるの?
[2017/05/18]備えはお早めに:ゴールドへの備えに適した期間は着実に減っている
[2017/05/05]中国金融市況の悪化が米国株式市場の熱狂を生んでいる
[2017/04/29]中国金融当局のレバレッジ是正勧告は世界市場を溶かすかもしれない
[2017/03/07]FRBが3月利上げしそうですね。米国経済が回復していないなかで。
[2017/02/25]インサイダーたちによる爆売りブーム...米国株式市場のバブルの宴のフィナーレが迫っている
[2017/02/17]米国債しか頼れない日本、アジア国際金市場を着実に発展させている中国
[2017/01/24]トランプ政権は米ドル・米国債に対する大胆な政策を画策しているかもしれない
[2016/11/15]トランプの当選が市場に与える影響
[2016/11/05]今後世界の株価が大きく下がることは時間の問題
[2016/10/18]官製相場にかなり近づいた国債市場:日銀の八方美人的な振る舞いに潜む「テーパリング」への道

▲記事本文の終わりへ戻る▲


▲このページの先頭へ戻る▲