人民元がゴールドにペッグしている??

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人民元がゴールドにペッグしている??

2018/08/11

 

 最近、人民元金ペッグ説が出てきた。中国人民銀行の先物操作によるものでは?とも言われているが、実際のところは不明。継続できるかも不明。一つ言えるのは、中国政府にとって、将来の金価格上昇は望ましい展開であること。

 

【金のメルマガ No.4】人民元がゴールドにペッグしている??

【金のメルマガ No.5】潜在的金価格上昇要因を多く含む中国金市場
の記事(一部)です。

 

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人民元がゴールドにペッグしている??

 こうした話題が最近出ています。

 

 確かに人民元建て金価格をみると2017年に入ってから緩やかに価格を下げながらも、値動きはかなり停滞しています。

 

 2017年以来の人民元建て金価格のボラティリティ(価格変動率)は、ここ7-8年で最低となっています。

 

画像ソース: The Macro Tourist

白:人民元建て金価格

黄:ボラティリティ

 

 ドル建て金価格とドル元為替レートの推移を見ると、ここ1ヶ月ほど金価格と人民元が非常に高い正の相関で動いてきたことがわかります。

 

 

 以前のメルマガで、4月半ば頃から現在に至る金価格の下落の大きな要因には、大口投機家による買い越しポジションの減少があると話しました。(【金のメルマガ No.3】「金価格の歴史的上昇トレンド」が新興国から始まる)

 

画像ソース: 第一商品

 

 これに関して、中国人民銀行(PBOC)がオフショア口座を通じてCOMEX(ニューヨーク商品取引所)で金先物売りを仕掛けたという説があります。

 

 その根拠となっているのが、金だけでなく銅、プラチナ、亜鉛のドル建て価格もドル元為替と同じように下がってきた事実があります。
【2018/08/01 SILVER DOCTORS】The Yuan-Gold Peg And The Commitment Of Traders Report – Craig Hemke

 

 ただ、実際に中国人民銀行が金価格操作をしているのどうかはよくわかりません。

潜在的元安リスクは残ったまま

 現在はさらに元安が進む可能性があります。

 

 4月半ばからの元安の進展は米中貿易戦争懸念の高まりと並行している一方、市場はいまだ米中貿易戦争について楽観視しているところがあります。

 

 今後、米国が中国からの輸入品に対して2000億ドル規模、3000億ドル規模の追加関税を25%の税率で掛けるようであれば、元安は再び進行してもおかしくありません。

 

 今年6月末時点で、人民元を切り下げた2015年夏とは異なり、中国からの多額の資金流出は多くありません。中国当局による規制の影響が大きいでしょう。

 

画像ソース: CFO INNOVATION

 

 別の見方をすれば、2015年夏以降の中国からの多額の資金流出が再び起こる余地が残されているとも言えます。

 

 人民元安リスクはしばらく拭えません。今年10月に米財務省が公表予定の「為替報告書」で再び中国を為替操作国に認定するかどうかが一つのポイントとなるでしょう。

 

  • 人民元がゴールドにペッグしている?
  • 元安がさらに進む?

 

 仮にこれら2つが正しいとすると、今後もドル建て金価格はしばらく下げることになります。

 

 しかし中国の実態をみると、ドル建て金価格の短期の下げの可能性にビクビクしすぎるのもどうかと思います。

中国金市場は需要超過

 (省略)

 

高インフレ下で金ペッグは継続できるのか?

 インフレという要因が人民元建て金価格をプラスに押し上げる可能性があります。

 

 人民元建て金価格とインフレ率を比較すると、お互いの動きが結構似ていることがわかります。

 

 特に2009年半ばから2011年半ばにかけての中国インフレ率上昇期には、人民元建て金価格も大きく上昇しています。

 

上:人民元建て金価格

下:中国のインフレ率

 

 2016年半ば頃からはインフレ率が上昇しても人民元建て金価格が下落する傾向が見られますがインフレ率が2-3%という低位で推移していることは無視できません。

 

 中国が再び高インフレに見舞われたとき、果たして人民元建て金価格の安定化維持は可能なのでしょうか?

 

 米中貿易戦争で中国は米国からの食料品やエネルギーに追加関税を課す傾向があります。

 

 中国はブラジルやイランなどに食料やエネルギーの輸入先をシフトするでしょうが、一時的に調達コストが増える可能性があります。

 

 またホルムズ海峡封鎖の問題や、海上運賃増加懸念もあります(以前のメルマガでも触れたように)。

 

 バルチック海運指数、4月から大きく上昇していますね。

 

画像ソース: ブルームバーグ

 

 中国のインフレ率は潜在的に上昇しやすい状況にあると考えられます。

 

 先物売りにより人民元建てコモディティ価格が下がっておりもしかしたら中国のインフレ率上昇抑止効果が働いているかもしれません。

 

 しかし中国で現在のインフレ率の水準が今後も続くことを私は疑わしく思っています。

 

 中国のインフレ率が上昇したときに人民元建て金価格がどのように動くのか、非常に注目しています。

 

「隠れ金準備」という切り札

 (省略)

 

 

 現在の金価格は冴えないですが、いずれ金価格にポジティブサプライズが起こる可能性があることは覚えておいてください。

 

 いま金を購入して金価格の下落に見舞われるリスクよりも、金の購入・保有を怠り金価格上昇の波に乗り遅れるリスクの方がずっとずっと大きそうです。

 

私が利用しているブリオンボールト。資産防衛に有効とされる海外のゴールドをネットで簡単に購入できます。金の購入・保有を怠り金価格上昇の波に乗り遅れても、私は知りません。

 

 →将来に備えたい方は関連記事一覧へ
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