欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は16日、2035年に内燃機関(エンジン)車の新車販売を原則禁じる目標を撤回する案を発表した。一定の条件を満たせば35年以降もエンジン車の販売を容認する。
電気自動車(EV)を推進する方針は維持するものの、急速なシフトに欧州の自動車メーカーやドイツ政府が反発しており、より現実的な目標に見直す。
フォード・モーター(F.N), opens new tabは15日、主に電気自動車(EV)事業関連で195億ドルの評価損を計上するとともに、7車種のEV生産・開発を打ち切ると発表した。
トランプ政権がEV普及支援に消極的なことや、EV需要自体の弱まりが背景にある。フォードのガソリン車・EV部門を統括するアンドリュー・フリック氏は「収益性につながる道がなくなっている大型のEVに多額の資金をつぎ込むのではなく、よりリターンが高い分野に投入しようとしている」と説明した。
欧米のグローバル左派が思い描いた脱炭素シナリオが瓦解しています。
数年前までは、今年には電気自動車(EV)のバッテリーコストが1kWあたり100ドルを下回り、EVが内燃機関車より安価になり、EVが世界的に爆発的に普及し始めると言われていました。
ところが実際にEVが売れているのは、大国に絞れば中国のみです。
欧州全体で新車販売台数に占めるEV+PHEVの割合は22%程度しかありません。米国では10%もありません。
脱炭素の旗印を世界で最も高く掲げていたEUでしたが、実はドイツ、フランスを始め主要のEU加盟国は22~23年に揃ってEVの補助金や税額控除の縮小・廃止を進めていました。
米国ですら、EV税額控除は今年9月末に撤回したばかりです(そのおかげで11月にはEV販売台数が一年前から41%も減りました)。
ご承知の通り、EV市場は中国メーカーが席巻しています。
中国製EVは欧州製より20~40%程度安いです。手頃なコンパクト・ミッドサイズモデルが多く、3万ユーロ未満の選択肢が豊富です。他方、欧州メーカーは平均5万ユーロ超の高価格帯に偏重しています。
バッテリー効率、急速充電、先進運転支援のどれをとっても中国勢は欧州勢と同等か優位です。
欧州各国の財政はこれからますます厳しくなっていきます。少子高齢化に伴う社会保障費の増加や経済低迷に対する景気テコ入れが必要なだけでなく、これまで米国が肩代わりしてきた軍事費を大幅に増やす必要があります。
財政が苦しい中、中国勢を利するだけのEV補助金・税額控除は売国奴以外に何のメリットもないのでやめてしまったわけです。
最後に政策を決めるのはイデオロギーではなく懐事情だということが、このEUのお粗末で恥ずかしい事例から改めて分かりました。
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グローバル左派の目指したエンジン車撲滅社会の実現が頓挫することは世界にとってこれから大問題になります。
EVの普及でなくなるはずだったガソリンやディーゼルの需要は今後も残り続けます。
そうなると以下の記事に書いたように、中長期的な石油需要は従来考えられていたよりもべらぼうに増えます。
脱炭素・AI発、石油危機へ
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20251124-oilcrisis/
世界の石油産業は、EV普及で自動車燃料の使用がなくなることを前提に開発を行ってきました。
エンジン車撲滅社会の実現が頓挫したからといって、石油産業が直ちに石油の探索・開発を急ピッチで進めることは出来ません。
シェブロン、コノコフィリップスなど大手石油会社は今年、設備投資の縮小や人員削減を発表したばかりです。
原油価格が5年来の安値水準にあるなか、石油会社は原油価格が跳ね上がることがない限り、増産・開発には消極的にならざるを得ません。
深刻な供給不足、需給逼迫を放置するとどうなるかは、今年の銀価格が教えてくれます。

もし銀と同じようなことが石油にも起これば、これを海外に全面依存する日本は壊滅的被害を受けることになります。
ドル建ての原油価格上昇に加え、貿易赤字の激増で超円安が進行し、円建ての原油価格は今の3~10倍に跳ね上がります。
補助金で価格統制をやろうものならやがて日本がハイパーインフレに陥るのは火を見るより明らかです。
だから本物の投資が必須なのです。
本物の投資とは将来のリスクに備えることです。リスクに備えるにはそれが現実に起こる前から適切な措置を講じる以外に方法はありません。
私共は金・銀投資で資産が5倍以上になりましたが、将来の日本円の紙屑化というリスクに備えるために早めに行動に移した結果に他なりません。
どうか今の低迷した原油価格を将来のまさかに備える絶好の機会だと捉え、早めに行動に移して欲しいと思います。
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