[2025/12/22 日本経済新聞]長期金利2.1%に上昇 27年ぶり、円安進行で利上げ加速の思惑
22日の国内債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時前週末比0.085%高い2.10%に上昇(債券価格は下落)した。売買高の多い「指標銘柄」が長期金利とされていた1999年2月以来、約27年ぶりの高水準となった。
日銀の植田総裁に残された手は事実上何もないようです。
金融政策決定会合の数週間前から植田総裁は利上げをするつもりだという観測気球を飛ばし続けてきました。
そして予想通り0.75%への利上げを行うとともに、今後の利上げの方針については明言せず、サプライズなしに終わりました。
もし日銀が市場予想よりタカ派を印象付ければ、以下のリスクが顕在するおそれがありました。
第1に、長期金利を大幅に押し上げ、日本の国債と株式の価格を急落させかねませんでした。
第2に、円キャリートレードの巻き戻しが急速に起こり、日本だけでなく米国をはじめとした世界の金融市場が大きく崩れ始める可能性がありました。
第3に、長期金利の急上昇で日本政府の財務破綻および日銀の債務超過リスクへの懸念を市場に惹き起こし、日本や日本円の信認低下につながりかねませんでした。
そのため植田総裁は、長期金利や市場を刺激しないで乗り切るために一切のサプライズが起こらないよう演出したのでしょう。
それでも日銀の利上げ発表後に10年物国債利回りは2%を突破しました。いくら慎重に事を進めようとも、国債の供給過剰という構造的な問題が続く限り長期金利の制御には限界があります。
利上げ決定後に円安も進みました。日銀は日本や日本円の信認低下を完全に食い止めることがもはや出来なくなりつつあるようです。
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植田総裁は現在の政策金利があまりにも低すぎることを理解しています。
今回の会合でも、「中立金利について、今回利上げ後も下限には距離がある」「現在の実質金利は極めて低い水準にある」との見解を示しました。
日本の実質政策金利はマイナス2.15%であり、主要国で唯一のマイナスです。マイナス幅も尋常でない大きさです。
政策金利が低すぎるのに利上げに踏み切れないのも当然です。
上述したことと一部重複しますが、利上げを積極的に進めると「国内外の市場を破壊」し「政府・日銀が破綻」し「変動金利住宅ローンの借り手が破綻」し、日本の国家・国民もろとも財務・経済的に玉砕することが確実だからです。
それならば、インフレや円安を黙認し何もしない方が植田総裁にとってはまだマシです。
国民は苦しみますが、「税収増で国家財政は延命」し「企業の収益は便乗値上げで潤い」、「金利抑制と自社株買いで日本株バブルを維持」し「巨額の株式ETFを抱える日銀の延命につながる」からです。
あくまでこうしたインフレ・円安放置による恩恵は一時的です。
放置は日銀が物価安定の役割を放棄することであり、日銀が自らの信認を低下させる行為に他なりません。
こうした日銀の姦計を見破った投資家はいずれ日本を見限り、強烈な日本売りを仕掛け「トリプル安」が発生します。
これは直ちに日本の信認低下のシグナルと市場では受け止められ、インフレと金利の上昇は止まらなくなります。
日銀が何もせずインフレ・円安を放置を続けたところで、最終的には市場が鉄槌を喰らわせ、日本と日本円の信認は喪失していく運命にあります。
それでも官僚組織である日銀にとっては、自らの政策実行で日本の破壊の引き金を引くよりも、市場と言う「不可抗力」に引き金を引いてもらう方が責任を回避する上で好都合でしょう。
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今の日本は「財政金融版・太平洋戦争」とでも呼べる状況にあるような気がしてなりません。完全な負け戦であり、日本側は成す術がないまま降伏だけは先送りしている状態です。
量的緩和を通じて日銀が国債の半分以上を保有しているため、国債市場の流動性は絶望的に低くなっています。少しの本格的な売りの発生で国債市場は機能不全に陥ります。
報道を見る限り、日本の金融市場に決して小さくない影響力を誇る外国人投資家の間で、日本の財務持続可能性を疑問視する見方は着実に強まっています。
いつ何時、日本の金融市場が一瞬のうちに融け落ちてもおかしくありません。
責任転嫁と先送りの官僚気質が蔓延る(はびこる)日本において、市場・財政・金融面における「核爆弾」が投下されるのは時間の問題だと映ります。
「備えあれば憂いなし。」私共に言えるのはこれだけです。
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