The Economist誌を購読する前に知っておきたい注意点

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The Economist誌を購読する前に知っておきたい注意点

初回公開日:2015/09/29
最終更新日:2016/11/08

 

 今回はThe Economist誌を購読する前に知っておいたほうがよいことについて話します。

 

 新聞は歴史的に支配層が大衆の意見を操作するためのプロパガンダ・ツールとして用いられた経緯があり、現在もその傾向は依然として続いています。そしてこうした傾向は個人的見解ですが、The Economist誌にも見られます。

 

 そこでThe Economist誌の意見に惑わされないように気をつけておきたい点について簡単に話していきます。

 

The Economist誌を購読する前に知っておきたい注意点

 The Economist誌は一言で言えば「エリート層向けの機関紙」です。別の言い方をすれば「1%のための機関紙」とも言えるかもしれません。この点はしっかりと押さえておいてください。

 

 The Economist誌の読者ターゲット層は、高等教育を受けた者や影響力のある経営者や政策決定者であると公式に述べています。

 

 またThe Economist誌は自由貿易、グローバリゼーション、移動の自由といった「国境に縛られないヒト、モノ、カネ、サービスの自由な移動」を支持する立場です。つまり多国籍企業が喜ぶような政策を支持しているわけです。これはThe Economist誌の記事を見ていると間違いなくそのように言えます。

 

 さらに重要なのは、The Economist誌の所有者であるThe Economist Groupがロスチャイルドといった国際銀行家によって所有されているという事実です。

 

 このためThe Economist誌の論調はどうしても欧米の富裕層、支配層寄りに偏りがちとなっています。これがThe Economist誌が「エリート層向けの機関紙」「1%のための機関紙」と見えてしまう理由です。

 

 エリート層が支持する意見は、一般の人々・99%の人々にとって必ずしもよい意見ではありません。というよりも良くない意見が多いです。

 

 その典型がTTPに関することでしょう。TTPは自由貿易に関する協定と言われてきましたが、実は多国籍企業の株式を保有する投資家がビジネスの邪魔をした国家に対して国際裁判を起こせるようになる条項がTTPに埋め込まれています(ISD条項)

 

 「影響力のある投資家=富豪」であり、過去のNAFTA締結国などに対する国際裁判でも、常に投資家側が勝訴してきました。よってTPPで金持ちが国家主権を超える特権を得られるようになると言っても過言ではありません。

 

 「マクドナルド、出店拒否の伊フィレンツェに21億円賠償請求」なんてニュースもありますが、TTPによってこうした多国籍企業による訴訟が日本の国・地方に対して慈悲もなく行われるようになるのです。そうなったら訴訟費用だけで地方はつぶれてしまうでしょう。

 

 The Economist誌は紛れもなくTPP推進派でした。The Economist誌が大口投資家や多国籍企業の重役といったエリート層向けの機関紙であることを知っていれば、The Economist誌がTPPを支持する意見を繰り返し述べることは明らかです。

 

 このようにThe Economist誌はエリート層、支配者層にとっては都合の良いような意見を述べる傾向が多く見受けられます。それが良い・悪いかどうかは個人の判断次第ですが、くれぐれもThe Economist誌の意見を真に受けすぎないようにしてください。

 

 The Economist誌は皆さんの意見を代弁しているのではありません。エリート層の意見を代弁しているのです。こうした傾向があることだけは頭に入れて置いてください。

 

The Economist誌を読む意味はあるのか?

 こうしたThe Economist誌の現実を知って、中には「ならわざわざThe Economist誌を読む必要はあるのかどうか...」と疑問に思われるかもしれません。

 

 しかしそれでもなお、次のような点でThe Economist誌は有用です。

 

  • 現在の国際的なニュースを俯瞰的に知ることができる
  • エリート層の考えの一端を知り、自分の生活にも長い目で活かせる可能性がある

 

 一つは現在の国際的なニュースを俯瞰的に知ることができることです。

 

 別の記事で書いたことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、The Economist誌は一週間に世界で起こった政治、経済、金融、ビジネス等に関する重要なニュースをコンパクトにまとめてくれています。そのため世界で何が起こっているのかを俯瞰して大まかに知るための媒体としては使い勝手が良いです。

 

 日刊新聞から毎日ニュースを追うのは時間的に厳しいものがありますが、The Economist誌は一週間分のニュースの中から重要なニュースをまとめて報道してくれるので、あまり時間がないなかでも世界の動向を知ることができる点がとても有用です。

 

 すでに他のメディアで目にしたニュースでも、The Economist誌は週刊新聞ということもあってさらに掘り下げて分析、解説してくれますから、ニュースに対する理解を深める用途としても使えます。

 

 またインターネットからニュースを取得する場合とは異なり、The Economist誌ではニュースをピックアップしてくれるので、自分がいままで知らなかったニュースや興味のなかったニュースに対して新たな関心を持てるようになるメリットも大きいです。

 

 インターネットでのニュースの取得は自分の興味のあるニュースを調べる際にはとても有効ですが、一方で自分があまり興味のないニュース、知らないニュースを避けてしまいがちです。

 

 The Economist誌を購読していれば新たな関心を得られるかもしれませんので、そういう意味で有用です。

 

 The Economist誌で知った関心をもったニュースを、インターネットでさらに調べてみるのも良いでしょう。そうやって情報を取得していくことで、メディアの意見に惑わされにくくなり自分なりの意見を持ちやすくなったり、信頼できる情報源を発掘することにつながるかもしれませんから。

 

 二つ目はエリート層の考えの一端を知り、自分の生活にも長い目で活かせる可能性があることです。

 

 The Economist誌がエリート層の機関紙であるということは、別の見方をすればThe Economist誌を読めばエリート層が世界をどの方向に向かわせたいのかの一端を知れることでもあるわけです。

 

 The Economist誌を読んでも今後の世界を完全に予測することはもちろんできませんが、世界の今後の流れが大雑把にどのようになるのかの一端を知ることができることは有用です。それによって自分たちの将来を考えるきっかけになりますから。

 

 例えば2016年11月、アメリカ大統領選投票日の直前にも世界中が今後数十年のうちに水不足になるから、水の所有権を明確にして水の適正価格を定めるべきなんていう記事がThe Economist誌から出ました。

 

 これも非常に怪しい記事ですね。水不足という危機感を煽りながら、水資源の実権を握って、飲料水から作物栽培用の水までもコントロールしたい人間がいるのではないかと穿ってしまいます。

 

 こうした動きは活発化するにしても10年、20年といった期間が必要になると思われるのですぐさま心配する必要はないです。しかしこのようなニュースを目の当たりにすると「自分や家族を守るにはどのようにすればよいか」ということを考えるきっかけになりませんか?

 

 The Economist誌を読んでいると、たまにこうした国際的な動きにつながるような不気味なニュースが出てくることもありますが、逆に言えばこうした不気味なニュースを早くから知れることで自分や家族の将来を考えたり、世の中について本などで調べるきっかけになると思えるんですよね。

 

 「自分の生活に活かせる」というのはこういう意味です。くれぐれもThe Economist誌の記事が直接みなさんにメリットをもたらしてくれるという期待はしないでください。

 

 そのかわりに自分で世の中の現状、過去、未来や自らの将来を考えたり調べたりするきっかけづくりとしてThe Economist誌は使えます。

 

 つまり皆さんが世の中のことや自分、家族の将来などを考える意識を植え付けるツールの一つとして、The Economist誌は長い目でみると皆さんにとってメリットになるかもしれないということです。

 

 The Economist誌の記事をきっかけに経済や金融の仕組みや歴史、国際銀行家の歴史などに多少なりとも関心をもって、図書館などで関連書籍を自分で探して読んでみるようにでもなれればとても良いことでしょう。

 

 The Economist誌が国際情勢を知る上での大きな手助けとなることに変わりはありません。The Economist誌を上手く活用して、皆さんの世界に対する知見を高めていってください。

 

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