ワイズのマルチカレンシー口座とは
初回公開日:2020/10/06
最終更新日:2020/10/09
2020年10月に日本でも利用可能となった、ワイズのマルチカレンシー口座について説明します。
ワイズの概要、特徴、口座開設方法についてはこちらをご覧ください。
目次
マルチカレンシー口座とは...銀行口座ではない
ワイズのマルチアレンシー口座は、世界各国の通貨をまとめて管理することが可能な「仮想銀行口座」です。
マルチカレンシー口座を一つ開設するだけで、日本円、米ドル、英ポンド、ユーロをはじめとした各国通貨での受け取り、両替、振込、送金などが可能となります。また現在日本では非対応のようですが、マルチカレンシー口座に紐づいたデビットカードを発行し、現地通貨で決済することもできます。
両替や送金は、ワイズの仕組みで行われるため、隠れコストはありませんし、事前に手数料を確認することができます。高い透明性のもとで、複数の通貨をまとめて管理できます。
マルチカレンシー口座は米国でいうチェッキング口座に近く、受け取り、両替、振込、送金、決済を行うための口座です。利息はつきません。融資は受けられません。定期預金、CD、投資信託といった運用サービスもありません。
マルチカレンシー口座は、海外から資金を受け取り日本に送金するなどの用途で利用価値があります。
マルチカレンシー口座は「仮想銀行口座」と書きました。これは重要です。
マルチカレンシー口座は銀行口座ではありません。ワイズは銀行ではなく、資金移動業者だからです。
マルチカレンシー口座では各通貨ごとに別々に残高が管理されます。日本円なら日本円の残高、米ドルなら米ドルの残高、などです。そして米ドル、英ポンド、ユーロなど、特定の通貨に対して、あたかも銀行口座のようにそれぞれ口座番号、送金で用いる番号などが割り振られます。
これら銀行口座と同様の口座情報を用いることで、銀行口座やマルチカレンシー口座とのあいだで入出金などができます。
そのため私たちはマルチカレンシー口座を銀行口座と変わりなく使うことができます。
しかし仕組みは銀行口座とは異なります。マルチカレンシー口座に預けたお金は、各利用者ごとに個別の銀行口座に預けられているわけではありません。
ワイズが各国に持つ法人銀行口座に、他の利用者のお金とまとめて預けられています。どの銀行に預けられるかどうかはワイズの登録住所で決まります。
見た目や使い勝手は銀行口座とほとんど変わりありませんが、実際には銀行口座ではありません。したがってマルチカレンシー口座は「仮想銀行口座」となります。
マルチカレンシー口座の基本情報
項目 | 説明 |
---|---|
登録料 | なし |
口座維持手数料 | なし |
入金(資金の追加) | 通貨や入金方法により固定手数料や変動手数料がかかる シミュレーションはこちら |
同通貨での振込 | 基本的に固定手数料が掛かる(マルチカレンシー口座への振込は無料) 手数料のシミュレーションはこちら |
口座内での通貨の両替 | 基本的に変動手数料が掛かる シミュレーションはこちら |
別通貨へ送金 | 基本的に固定手数料と変動手数料が掛かる シミュレーションはこちら |
デビットカード決済 | 一部通貨で可能 手数料のシミュレーションはこちら |
利息 | なし |
融資 | 受けられない |
資産運用サービス | なし |
マルチカレンシー口座の安全性について
マルチカレンシー口座は銀行口座ではないがゆえに、預金保護について通常の銀行口座とは異なります。
ワイズは、各国の預金保護スキームに参加するのではなく、独自の預金保護の仕組みを導入しています。
ワイズは、日本の預金保険制度、米国の連邦預金保険公社のような、破綻した場合でも預金者の預金を上限額まで補償するスキームには参加していません。銀行ではなく資金移動業者のためです。
その代わりに、ワイズは独自に、口座内にある資金を100%保護するセーフガードを用意しています。
ここでいうセーフガードとは、マルチカレンシー口座の資金は、ワイズの事業用銀行口座とは完全に別の銀行口座で保管されていることを意味します。
この切り離しは法律に基づいており、万一ワイズが破綻した場合でも、マルチカレンシー口座内の資金は各利用者に返金されます。
しかし、マルチカレンシー口座を資金が保管している銀行(BarclaysやJP Morgan Chaseなど)に何かが起こった場合、資金は保護されません。そのような状況では、資金を返金は保証されません。
何故なら、マルチカレンシー口座の資金はワイズの法人銀行口座にまとめて預けられており、各国の預金保護スキームにおける補償上限額をはるかに上回るためです。
そのため、マルチカレンシー口座は個人の銀行預金と比べると僅かですが安全性に劣ることになります。
マルチカレンシー口座は、複数の通貨による受取、両替、振込、送金、決済を楽にするためのサービスであり、機能からして多額の資金を預ける必要性は薄いです。
こうした特徴を踏まえた上で、上手くマルチカレンシー口座を使うと良さそうです。
マルチカレンシー口座と米国証券口座との入出金について
幣サイトやメルマガでは米国株による長期の資産運用に関する情報を取り扱っており、Firstrade、SogoTradeという手数料が安く、DRIPという複利での資産運用をサポートする米国証券会社を紹介しています。
米国証券会社を利用するにあたり、日本とのあいだで海外送金が出来る仕組みをつくる必要があります。しかし昨今のマネロン対策強化などで海外送金のハードルが上がり、米国の銀行口座を開設しない限り、米国証券会社を使うのがやや難しい状況にありました。
米ドルのマルチカレンシー口座をつくると、口座番号、口座名義人、ACHルーティングナンバー、ワイヤールーティングナンバーが自動的に割り当てられます。
そのためマルチカレンシー口座と米国証券口座とのあいだで入出金ができることを期待していました。もし可能であれば、ワイズを開設するだけで日本にいながらでも簡単に米国証券会社での運用ができるようになるためです。
現在、マルチカレンシー口座と米国証券口座とのあいだでの米ドルの入出金が出来るかどうかは、証券会社に依存するようです。
ワイズによると、インタラクティブブローカーズは、少なくともマルチカレンシー口座内から米ドルを引き出すことができるようです。
しかし残念ながら、当サイトで紹介しているFirstradeでは現在マルチカレンシー口座との入出金はできません。Firstradeで実際にACHの手続きを行いましたが、次の返信が来ました。
Per our clearing firm, we are not able to link TransferWise as your ACH profile due to TransferWise is 3rd party financial institution and is not a bank.
※当時は「Transferwise」という名称でした
Firstradeの清算会社によるACHサービスは銀行限定で、ワイズは銀行ではなく第三者金融機関のため、ACHを取り扱えないとのことでした。
当サイトではもう一つ、SogoTradeを紹介しています。こちらには直接確認していませんが、Firstradeと清算会社が同じのため、おそらく無理であると思われます。
マルチカレンシー口座の利用方法
マルチカレンシー口座を利用するには、ワイズの口座開設が必要です。
まだの方は、こちらからワイズの口座開設してください。
ワイズの口座をお持ちの方は、ログインしてください。
メニュー画面の「Receive and hold money」の下にある「Get started」を選択してください。
認証等を終わらせると、「残高を有効にする」画面が開きます。使用したい通貨を選択してください。ここでは米ドルを選択します。
すると残高に米ドルが追加されます。
他に日本円等、別の通貨を追加したい場合は「通貨を有効にする」を選択し、上の似たような操作をしてください。
これだけで次の機能が使えるようになります。
- 追加:銀行口座からマルチカレンシー口座への入金
- 両替:マルチカレンシー口座内で通貨の両替
- 送金:マルチカレンシー口座から銀行口座への出金
ただこれだけでは、他人の銀行口座から自分のマルチカレンシー口座への振込ができません。これには銀行口座情報の取得が必要です。
米ドルなど一部の通貨では銀行口座情報を取得することができます。上述のように「仮想銀行口座」とでも呼べるものです。
銀行口座情報を取得するには、下図の赤で囲った「V」を選択します。画面が展開するので「銀行口座情報を取得する」を選択します。
取得するには、マルチカレンシー口座への一定額以上の米ドルの入金が必要です。入金方法は米国の銀行から米ドルを入金、日本の銀行から日本円を入金して米ドルに自動で両替などがあります。
ここでは日本の銀行から日本円を入金して米ドルに自動で両替させる方法を説明します。
下の画面で、赤の部分をUSD、青のご入金方法を日本円にします。その後「次へ」を選択します。
すると日本の銀行口座からワイズに振り込むための情報が表示されます。これはワイズを使って海外送金するときと全く同じやり方です。
指示に従って、振込を行ってください。
振込が完了すると、銀行口座情報の取得は完了です。この情報はトップ画面から見ることができます。