銘柄の比較分析で投資判断力を高める

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銘柄の比較分析で投資判断力を高める

初回公開日:2020/07/15
最終更新日:2020/11/13

 

投資をする上で多くの人が陥りがちになりやすいのは、気に入った銘柄の分析にのみ精を出すことです。

 

もちろんその銘柄のことを詳しく調べることは重要ですが、見方が狭くなってしまい、適切な投資判断が出来ない場合があります。

 

より俯瞰的、客観的な見方から良い投資判断をするには、比較分析が欠かせません。簡単な投資指標をいくらか比較分析するだけでも、魅力的な銘柄を良いタイミングで購入することに非常に役立ちます。

 

 

投資の成否を大きく決定づけるもの

投資の将来の成績は、たった一つの行動で大きく決まります。

 

それは、銘柄をどれだけ安く買えるかどうかです。

 

どんな優良銘柄でも、利益や現金収益が長期で伸び続けることが期待できる銘柄でも、割安な水準で購入できなければ意味がありません。

 

良い銘柄、価値のある銘柄を、魅力的で価格で買えるかどうか。この一点に尽きます。

 

 

銘柄を魅力的な価格で買うために役立つのが、様々な投資指標です。

 

一番有名なのは当然、株価収益率(P/Eレシオ)ですが、他にも株価純資産倍率(P/Bレシオ)、株価FCF倍率(Price-to-FCF)、EV/EBITDA倍率などがあります。

 

株価収益率の分子と分母を入れ替えた益利回り(Earnings Yield)、株価FCF倍率の分子と分母を入れ替えたFCF利回り(FCF Yield)などもあります。

 

また配当利回りの大きさも、その銘柄が魅力的かを判断する大きな材料となります。

 

いくつもある、銘柄の割安さを映し出すバリュエーション指標を利用して、すべての投資家はその銘柄が魅力的な価格かどうか判断していきます。

 

 

多くの投資家は、自分のなかにバリュエーション指標の割安さの基準を独自に(何となくでも)設定しているかもしれません。

 

例えば株価収益率が15倍未満なら割安とか、株価純資産倍率が1倍未満なら割安とか、配当利回りが4%以上なら割安とか...

 

しかし、こうした自分なりに定めた絶対的な数値を割安さの判断に用いるのは必ずしも最善とは言えません。

 

何故なら、銘柄によって割安さの水準は異なるためです。

 

 

魅力的な価格であるかは相対的に決まる

例えば「IBMのP/Eレシオが12倍」と聞いて、割安だと思いますか?

 

絶対的な数値で判断すると、人によっては割安だと思うかもしれません。

 

下図はIBMのP/Eレシオの長期推移です。これをみると、IBMのP/Eレシオは多くの期間で14-15倍程度の水準にあります。

 

2008年や2014-16年に10倍台、なかには一けたになることもありました。

 

過去にさかのぼってP/Eレシオを確認すると、IBMのP/Eレシオが12倍というのは決して割安と言い切れません。10倍台、出来れば一桁まで下がって、ようやく割安かもしれない、そう思えます。

 

説明のためであり、売買を推奨する意図はまったくありません

 

では「製薬会社のアムジェン(AMGN)のP/Eレシオが14倍」と聞いて、割安だと思いますか?

 

下図はアムジェンのP/Eレシオの長期推移です。

 

2010-11年ごろに10-13倍のときがあったものの、それ以降は期間の大半は15倍以上で20倍超のときもありました。2020年3月のコロナショック期もP/Eレシオは14倍台でした。

 

アムジェンのP/Eレシオが14倍というのは、割安であることを意味する可能性があります。

 

説明のためであり、売買を推奨する意図はまったくありません

 

このように、銘柄によってP/Eレシオがどれくらい割安なのか絶対的に判断することはできないのです。

 

それゆえ、最新のバリュエーションの数値だけをみて魅力的な価格であるかを判断することは難しい、判断材料が足りないことになります。

 

魅力的な価格かどうかは、絶対的ではなく、相対的に判断することが重要です。そうすることで、各銘柄が過去と比較してどれだけ割安で、購入しても良いかどうか、より客観的な判断ができるようになります。

 

 

時系列比較と同業他社との比較

比較には大きく次の2種類があります。

 

  • 時系列比較
  • 同業他社等、銘柄や産業同士の比較

 

先ほどは時系列比較の例です。

 

各銘柄のバリュエーションを時系列で比較することは、事前に調査し将来性の高い銘柄を見つけ、最後に買いタイミングを見極めたい場合に特に有効です。

 

もう一つは「同業他社等、銘柄や産業同士の比較」です。

 

こちらの方法は、すでに調査済みの銘柄における最後の投資判断を下すだけでなく、投資候補銘柄を探すうえでも役に立ちます。

 

下図は私が利用している有料投資サービスの、バリュエーション比較画面です。

 

「Stock」は銘柄を指し、「Industry」はその銘柄が属する産業全体を指します。またS&P500との比較もできます。

 

銘柄のバリュエーションを産業全体で視覚的にパッと比較できれば、同業他社の銘柄と比べて割安か割高かどうかが一目瞭然です。

 

例えば産業全体と比較して割安であれば、将来この銘柄に株価上昇の可能性があることになります。

 

 

バリュエーションの他に比較する価値があるのが収益性です。

 

営業利益率やROEといった収益性が大きい企業は、景気悪化局面での収益減少を抑制し、他社に先駆けて素早く回復し成長軌道に戻ることで、長期安定的な成長が期待しやすく、結果として長期で大きなリターンにつながり得ます。

 

収益性が大きい企業は、ネットワーク効果、他社への切り替えが難しい、特許・行政の認可・ブランド等の無形資産の存在、コスト優位性などにより、他社と差別化した独自の稼げるビジネスモデルを持っている場合があります。

 

そのため、収益性は同業他社とのあいだで大きな違いがあることがあります。

 

収益性を同業他社と比較し、収益性の大きな一握りの企業に絞って投資することが、リターンを高めるうえで重要となります。

 

 

収益性を比較する場合は、同業他社と時系列で比較するともっと理解が深まります。要するにチャートを描いて収益性をみるのです。

 

収益性は時間とともに変化する場合があり、一時的に収益性が高くても、何年後かに落ち込むこともあり得ます。

 

長い間収益性が高い企業は、ビジネスモデルや企業文化など、時間とともに陳腐化しにくい何か特別なからくりが存在する可能性があります。

 

 

他にも、例えば同業他社と売り上げ成長率をチャートを描いて時系列で比較すれば、最近の成長率だけでなく、どの企業が安定した成長が出来ているのか、どの企業が急進的な成長を追い求める企業なのかなども判断しやすくなります。

 

 

 

比較分析するには有料投資サービスを使うしかない

比較分析は、できる限り時間を掛けずに魅力的な銘柄を探すうえでとても有効です。

 

バリュエーション、収益性といったいくつかの投資指標を比較するだけでも、銘柄候補を探したり、投資を検討している銘柄の売買判断が簡単にできるようになります。

 

しかし一つ残念なことがあります。比較分析できる無料ツールが基本的に存在しないことです。

 

インターネットが普及し、誰でもオンライン上で簡単に世界の銘柄に投資できる環境がつくられたなかで、銘柄の調査・分析に非常に役立つ英語のサイトはたくさんあります。

 

証券口座を開設しても、銘柄の調査・分析ができます。例えば幣サイトで紹介している米国証券会社のFirstradeは、開設するとMorningstarの個別銘柄調査・分析サービスが利用可能で、本来有料のアナリストレポートも無料で読めます。

 

しかし、こうした無料のサービスは個別銘柄の調査・分析には有用なのですが、どれも比較分析は苦手です。

 

株価チャートの比較などは可能ですが、P/Eレシオ、配当利回り、売上高成長率など投資指標・財務指標を比較分析できる無料のサービスは、これまで私が探した限りでは見つかりませんでした。

 

無料のツールのみを使って比較分析することは不可能ではありません。しかしそのためには、各銘柄のデータを取得し、比較できるように整理し、処理する必要があります。

 

比較分析は一回やって終わりではなく、現状を確認するために定期的にチェックする必要があります。その都度、こうしたデータの取得・整理・処理することになります。

 

プログラムを組んで自動化することもできるかもしれませんが、プログラムを組んで動かすのに時間が掛かりますし、データ取得元のデータ構成の変更などによりメンテナンスが生じることも考えられます。

 

仕事や家事などで忙しい人たちにとって、無料ツールのみで比較分析をすることはかなり厳しいのが実情です。

 

私も銘柄調査のためにプログラムを組んでデータを抽出・整理・処理することをよく行っています。しかし比較分析については、かなり複雑で骨の折れる作業になると感じたので、諦めました。

 

 

比較分析をするには、何か一つ有料の投資サービスを使うことがほぼ必須なのが現実です。

 

私も最終的に無料にこだわるのは諦めて、有料の投資サービスに登録し、比較分析を行うことにしました。

 

有料のサービスを使う場合は、次の3つを備えたものを使うようにすると良いと思います。

 

  • 投資指標を時系列で把握できること
  • 投資指標を同業他社との比較で把握できること
  • これらを、時間をかけずに目で見て簡単にパッとできること

 

経験者として、銘柄を簡単に比較分析できると本当に便利です。より広い視野で客観的に投資判断出来るようになり、誤りを大きく避けやすくなったと実感しています。

 

投資成績を少しでも向上させたいのであれば、少しお金を支払ってでも、簡単に比較分析できる有料の投資サービスを使うことは損ではありません。

 

 

Stock Roverで銘柄の比較分析

私は比較分析するために、Stock Roverという投資サービスを使っています。当記事内にある画像はStock Roverの実際のものです。

 

Stock Roverは高度な分析ツールを必要とする金融専門家から、投資能力を高めたい初心者および中級の投資家まで、すべての人を対象としています。

 

「市場ニュースの入手」「スクリーニング」「銘柄の詳細なデータ・分析」「チャート描画」「ポートフォリオ管理」「分析レポート」等、投資をするために必要なツールは一通り揃っています。

 

その中でも、私は投資指標を簡単に比較分析できる点で、Stock Roverを活用しています。

 

Stock Roverを使うと、下図のように様々な投資指標をチャートで簡単に比較できます。

 

〇P/Eレシオ

 

 

〇株価FCF倍率

 

 

〇配当利回り

 

 

さらにStock Roverでは、わざわざチャートを描かなくても、気になる銘柄のバリュエーション、配当利回り、収益性、成長性などを簡単に比較評価できます。

 

S&P500と、その銘柄が属する産業全体の2つと比較することができます。

 

特に産業全体と比較できる点が良く、見捨てられた割安銘柄かどうかの強力な判断材料となります。

 

下図は銘柄比較ページをキャプチャしたものです。

 

余談ですが、整理されていて見やすいと思いませんか?

 

投資サービスは見た目がごちゃごちゃしているサービスが結構多いですが、Stock Roverは見やすく、スタイリッシュですので、使い始めでも意外ととっつきやすいと思います。

 

 

気になる銘柄のバリュエーションを、産業全体・S&P500とすぐに比較できます。

 

その銘柄の過去5年間のバリュエーション範囲から現在のバリュエーションがどの位置にあるのかも、簡単に確認できます。

 

 

配当利回り・配当成長率・配当性向を、産業全体・S&P500と比較することができ、配当再投資に適した銘柄かどうかを相対的に判断できます。

 

 

収益性の比較ができます。効率的に稼ぐ力や、売り上げの減少への耐性の大きさを、ライバルやS&P500と比較して簡単に知ることができます。

 

 

収益の成長率の比較もできます。

 

 

Stock Roverは銘柄の比較分析にとっても役立つツールであり、相対的に優れた銘柄を、相対的に割安で購入するための負担・時間を大幅に削減してくれます。

 

 

Stock Roverにはいくつかのプランがあります。サービスが多い順に「プレミアム・プラス>プレミアム>エッセンシャルズ」となります。

 

チャートを使った比較分析はエッセンシャルズでもある程度できるようですが、以下のサービスを十分に利用できるためにはプレミアム以上が必要のようです。

 

  • 産業全体との収益性等の比較
  • 銘柄の過去5年のバリュエーションの範囲の表示
  • 益利回り、FCF利回りの利用
  • 1つのチャート画面に複数の指標等のチャートの描画

 

言い換えれば、上で説明したStock Roverの使い方をすべてできるためには、プレミアム以上が必要のようです。

 

私はプレミアム会員です。私の経験上、プレミアム会員になれば、比較分析を快適に進められることでしょう。

 

登録はサブスクリプション形式で、契約期間は「1ヵ月」「1年」「2年」から選択できます。契約更新は自動で行われます。

 

期間が長いほど割引が適用されます。またこうした投資サービスは少なくとも1年程度経たないと使い勝手がわかりません。

 

そのため、1年間または2年間の契約をするのが良いと思います。私は1年契約しています。

 

なお、Stock Roverの有料会員にならなくても、銘柄の分析レポートのみ購読することも可能です。

 

この分析レポートも、比較分析にかなり特化しており、過去のリターンはもちろん、バリュエーション、収益成長率、収益性、配当利回りなどが同業他社との比較で事細かに掲載されています。

 

 

 

また過去9年間のバリュエーションと収益性も掲載されており、時系列でその銘柄の割安さなどを把握し、投資判断に生かすこともできます。

 

 

Stock Roverの分析レポートは「オンデマンド」、つまり常に最新のデータに基づいた中身となっています。そのためバリュエーションなど、日々変化する指標も常に最新の数字が使われています。

 

この分析レポートの無料サンプルを以下のリンク先から読むことができます(英語が苦手な方はGoogle翻訳等をお使いください)。
Stork Roverの分析レポートについて

 

個人的には比較分析するのであれば、チャートで視覚的に把握できる方が圧倒的に便利なので、プレミアム会員以上になるのがおすすめです。

 

ただ分析レポートの方が年間料金は安いので、人によってはこちらからスタートするのも悪くないかもしれません。

 

Stock Roverについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください(英語が苦手な方はGoogle翻訳等をお使いください)。
Stock Roverのサービス一覧

 

 

まとめ

優良銘柄を割安で購入できるかどうかは、投資の成否を大きく決めることになります。

 

割安かどうかは、絶対的数値だけでは決まりません。過去と比較して、同業他社と比較して、相対的に見ることで、より俯瞰的、客観的な判断がしやすくなります。

 

割安さだけでなく、収益性、業績の成長率なども時系列で同業他社と比較することで、銘柄に関する様々な情報・見方が生まれ、投資判断の向上につながります。

 

比較分析だけで銘柄のすべてを知ることはもちろんできませんが、気に入った銘柄の詳細な調査を行うきっかけにもなります。

 

残念ながら比較分析を行うには有料投資サービスへの登録がほぼ必須ですが、お金を支払ってでも比較分析する価値はあります。

 

次の3つを備える有料投資サービスを使うと良いです。

 

  • 投資指標を時系列で把握できること
  • 投資指標を同業他社との比較で把握できること
  • これらを、時間をかけずに目で見て簡単にパッとできること

 

気に入ったものであればなんでも構いません。私がStock Roverを使っているのは、見た目がスタイリッシュで、簡単にチャートで比較分析でき、機能の割に比較的価格が安いと思ったから、ただそれだけの理由です。

 

無料のトライアル期間がありますので、とりあえずStock Roverを無料で使ってみて、気に入れば有料登録してみるのも悪くないのではないでしょうか。

 

 

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