配当再投資のメリット:積み重なるだけのものに意識を向けられる
配当再投資による長期投資を行うことにより株価の変動に対する心理的動揺が減り、人によっては株価下落を逆に喜べるようになるかもしれないと話しました。
とはいえ逆に配当再投資では株価の上昇は正直あまり嬉しくはないため、株の醍醐味ともいえる株価の変動にあまり楽しみを見いだせず華がなくなるかもしれません。
しかし心配ご無用、配当再投資による長期投資では株価ではなく別のものに意識を向けることで、長い間投資を楽しむことが出来るのですよ!
配当再投資のメリット:積み重なるだけのものに意識を向けられる
配当再投資の心理面での別のメリットは、積み重なるだけのものに意識を向けられることです。
配当再投資を投資戦略に組み込む場合、一番に注目するのは株数です。とにかく株数を複利効果を活かして効率よく殖やすこと、これが最も大切になります。
株数というものはあなたが売らない限りは絶対に減ることはありません。株数は売らない限り必ず積みあがっていくのみです。
この「必ず積みあがっていく」「減ることはない」というのは心理的にとても重要です。というのは人間はマイナスの変動に対して、とりわけ大きなリアクションをしてしまう生き物だからです。そしてこのリアクションが誤った行動を生み出すのです。
多くの人のようにキャピタルゲイン目的で株価ばかりに注目すると、どうしても株価の下落に無意識のうちに大きな影響を受けてしまいがちです。
例えば売るべきではない株でも市場の群集心理に支配されて無意識のうちに投げ売ってしまったり、逆にすぐさま売るべき株なのに損失回避(Loss aversion)と呼ばれる心理的性質によってその株を保有し続けてさらに損を出すといった行動が考えられます。
しかし配当再投資では上のように感情的な売買で損をしてしまう可能性を未然に防ぐことができます。そもそもキャピタルゲイン目的ではないために変動する株価に注目する必要はあまりなく、株数の増加にのみ集中すればよいのでマイナスの変動に目を向けることが自然と減るからです。
トッププレーヤーのプロ野球選手だって、変動する打率よりもホームラン、打点、安打数、チームの勝利数といった「減ることがない、増えていく一方のもの」に意識を向けている傾向にありますよね。
あのイチロー選手が打率ではなく安打数に意識を向けているという話は、野球好きの人だったら一度は聞いたことがあるでしょう。その理由は打率を気にすると下がった時にそっちに気が向いてしまうが、安打数は積み重ねるだけだから減るという心配をしなくても良いからです。
このように積みあがるものに意識を向けていたからこそ、プレッシャーが掛かる中でもメジャーリーグで10年連続200安打、打率3割超えという偉業を達成できたわけです。
配当再投資によって株数を殖やすことに集中するという意識は、まさに安打数を追求するイチロー選手と本質的には同じです。減るものには目を向けずに、積み重なっていくものを追い求める。こうすることで変動によって生じる心の錯乱を未然に防ぎ、前に向かって進んでいくことだけに集中することで偉大なる記録、結果を生み出せるようになるのです。
しかも野球の安打数とは違い、配当再投資で追求する株数は複利的に上昇していくのです。最初はほとんど株数の積み上がりを実感できないかもしれませんが、時間が経つにつれて株数がグンと増えていくものです。これこそ物凄く夢のあることだと思いませんか。
私は普段、毎月発行される明細書を見ながら配当再投資による株数の上昇を記録しています。ちょっとずつですが着実に株数が殖えている様子に「あと何年でポートフォリオが育つのか楽しみだな」と、ちょっとした喜びを感じられます。
育てている植物が開花するまで気長に待つのと同じように、ポートフォリオが育つのをじっとのんびりと観賞していましょうよ。こうしたのんびりと長期で楽しむ姿勢が将来花開くことにつながるのです。
最終更新日:2016年7月20日
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