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市場・経済・金融

  • 2023年8月1日

植田日銀のYCC政策修正は昨年度の日本国債大量売却の再来を防ぐため?

先週金曜日の金融政策決定会合において、日銀はイールドカーブコントロール(YCC)政策を修正しました。 長期金利(10年物日本国債利回り)の上限を事実上1.0%まで容認することになります。 植田総裁は今回の決定を、将来の物価上昇リスクに対する予防的措置だと話しています。 でも政策金利はマイナス0.1%のまま据え置きです。他国の中央銀行が物価上昇対策のために政策金利を積極的に引き上げてきたこととは対照 […]

  • 2023年7月25日

米国の銀行はFedの利上げで純金利収入は大幅上昇したが経営リスクも高まった

先週から米国で4~6月期の決算シーズンに入りました。 その先陣を切った米国の大手銀行は、不動産投資で多額の損失を出したゴールドマンサックスは別として、概ね好調な業績でした。 好調な業績を象徴するのは純金利収入の大幅な拡大です。 JPモルガンチェース、バンクオブアメリカ、ウェルズファーゴ、シティグループの4行の純金利収入合計は過去最高の630億ドルに達しました。 一年前の497億ドルから27%の増加 […]

  • 2023年7月18日

インフレ率3%に鈍化したがドル防衛のために金融緩和再開は難しいだろう

6月の米国のインフレ率は3.0%と、2021年3月以来の低さとなりました。 市場予想を下回る数字を見て、高インフレの非常事態を脱し、7月の0.25%の利上げをもってFedは利上げを停止するだろうとの楽観論が市場を席巻し始めています。 ナスダックが7月24日に特別なリバランスを実施し、ナスダック100指数におけるマイクロソフト、アップル、アルファベット、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、テスラの […]

  • 2023年7月10日

根拠なき熱狂が続く

世界の株式市場は、中国を除き非常に好調です。下図は世界の株式市場の過去1年間の株価推移を示したものです。 中国株は1年間で18%下落しましたが、米国、日本、欧州、中国以外の新興国では10%以上値上がりし、ナスダックは20%値上がりしました。 中国以外の世界の株式市場の値動き(ドル建て)は非常に似ています。昨年10月を底に値上がりが始まり、今年に入り金融不安の発生で株価は一時下げました。しかしシリコ […]

  • 2023年7月4日

米国株の生成AIブームは維持不可能!そのファンダメンタルズ的な理由

いま米国株式市場は生成AIブームで、エヌビディア、アップル、マイクロソフト、メタといった一部の大手テクノロジー会社の株価が大きく値上がりしています。 実はこの株高が「構造的矛盾」を抱えていることにお気づきでしょうか。 現在は、ようやくマイクロソフトが生成AIを搭載したMicrosoft 365 Copilotを発表したり、生成AIサービスを提供するユニコーン企業の名が公に出始めたばかりです。 生成 […]

  • 2023年6月20日

Fedのタカ派姿勢は変わらず、経済への実害が出るのはこれから

FOMCは先週、昨年3月から10会合連続で実施してきた利上げを見送りましたね。 米国のインフレ率(消費者物価指数の前年同期比伸び率)は、昨年6月に9.1%に達して以降、11カ月連続で減少し、5月には4.0%にまで落ち着きました。 そのためひとまず様子見として利上げを一時停止した形です。 しかしFOMCメンバーによる年末の金利予想は、前回の5.1%近辺から5.6%近辺にまで引き上げられています。 現 […]

  • 2023年6月13日

実質収入を上げるための最もやさしい手段とは?

先週の話題ですが… [2023/06/06 ブルームバーグ]4月実質賃金は物価高響き3%減、名目の伸び鈍化-消費低調 物価変動の影響を除いた4月の実質賃金は前年比で13カ月連続で減少し、マイナス幅も前月から拡大した。 厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年同月比3.0%減。市場予想(2.0%減)に反して前月(2.3%減)からマイナス幅が拡大した。名目賃金に相当する […]

  • 2023年6月6日

景気減速気味の中国が大規模資金供給に消極的なワケとは?

アボマガ・エッセンシャルの記事作成のために中国経済について調べていました。 昨年12月に中国政府はゼロコロナ政策を解除し、今年の春節で3億人の中国人が国内旅行をしたことから、景気回復は時間の問題だと考えていました。 たしかに4月の小売売上高は前年比18.4%増と好調です。 しかし企業活動に関する伸び率は、昨年4月に上海ロックダウンを敷いて1年以上経過したことによる反動があまり生じず、期待外れになっ […]

  • 2023年5月30日

財政赤字の4割超が利払い費に、支出大幅削減に迫られる米国連邦政府

バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が債務上限引き上げで原則合意しました。この報道を聞いて米国の債務上限問題は解決したと思われるかもしれません。 ただ議会での法案成立が必要なので、これで終わったわけではありませんし、そもそも米国の財務状況が良くなるわけではありません。 インフレに伴うFedの利上げ・量的引き締めがもたらした長期金利の上昇により、米国連邦政府の国債利払い費は急増しています。 […]

  • 2023年5月16日

植田日銀総裁は海外投資家を味方につけるために金融緩和を継続するかも?

今回は日銀と日本株に関する話題です。最近、海外投資家の買いが入り日経平均が上昇し3万円台目前になっています。それと同時に円安ドル高が進み1ドル136円ほどになっています。 さて、4月9日に新たな日銀総裁に就任した植田氏にとって、今後の金融政策のかじ取りは極めて困難になると考えていました。 このまま黒田路線を継続して金融緩和政策を続ければ、円キャリートレードが本格化して酷い円安を招くリスクがありまし […]