ブレント原油再び100ドル突破:設備増強に消極的な米国製油会社

[2026/09/09 ロイター]北海ブレント先物が100ドル突破、中東情勢緊迫で供給懸念

9日のアジア時間の取引で北海ブレント先物が上昇し、7月24日以来初めて1バレル=100ドルを上回った。中東で戦闘が激化し、原油供給への懸念が強まった。現物価格はすでに100ドルを超えており、先物が追いついた形。

イラン戦争が始まる前に1バレル72ドル台だった原油価格は再び100ドルを突破しました。

価格が上昇していることは確かですが、3~5月にかけて1バレル100ドル台だった原油価格は一度70ドル台にまで落ちており、人々を悩ます値動きとなっています。

先行きを見通せていないのは石油関連会社も同じです。

主要産油国のなかで戦争の被害を受けていない米国製油会社は、ロシア・中東・アジアの製油所が揃って稼働率を大きく落としている中で、石油製品価格の上昇や製油マージンの拡大で利益を半ば独り占めしてきました。

今夏の稼働率は98%に達し、実質フル稼働状態です。

ところが米国の製油会社は製油所の増設に消極的です。

イラン戦争の行方は見通せません。トランプ政権がイランとの間で和解に向けて進んだかと思いきや、再び関係が悪化し緊張が高まり双方攻撃の応酬、という展開が延々と繰り返され、訳が分からなくなっています。

また中国を筆頭に世界の石油需要が低下するとの喧伝もされています。

こうした状況に製油会社は困惑し、製油品の価格が大きく下がるリスクも無視できないことから、製油業者は投資に踏み切れていないのです。

近年、石油会社(のみならず鉱山会社なども)はキャッシュフローを安定して獲得したり株主還元を優先し、確実に大きな利益をもたらすとの確信のない開発プロジェクトには無理に投資しないようになっています。

イラン戦争が始まってから、米国は日本を含め、中東産原油の供給が落ち込んだ国々への石油製品の輸出を増やし、世界の不足を補う役割を果たしてきました。

しかしこれ以上の製油所の増設が期待できないとなると、輸出を増やすのにも限界があります。すでに6月に米国の海外への原油輸出は前月比で2割減りました。

米国の戦略石油備蓄も減り続けています。先月トランプ政権はベネズエラから輸入した石油を戦略石油備蓄に充てると発表しましたが、量は僅かでありベネズエラ産の超重質油は規格外のため戦略石油備蓄として補充することは出来ません。

石油市場の状況は着実に悪化しているようです。