[2026/09/03 読売新聞]ベッセント米財務長官、日本を名指しし「リフレ政策やめるべきだ」…積極財政見直しや利上げ求める
田中俊資、坂本幸信】ベッセント米財務長官は1日、主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後の記者会見で、日本を名指しし「(金融緩和と積極財政を志向する)リフレ政策をやめるべきだ」と述べた。高市政権が進める積極財政の見直しや、円安是正に向けた日本銀行の利上げを事実上、求めた格好だ。
ベッセント財務長官が一瞬にして日本に地殻変動をもたらしました。
彼が財政・金融政策に関して日本に積極財政の是正と利上げを求めるのは、10年物国債利回りが3%を超え、円安が進行する日本に対する(日本人が考えるような)心配から来るのではありません。
彼が最も恐れるのは米国の長期金利上昇が制御不能に陥ることです。これをどんな手段を使ってでも抑えることが彼の最大の役目です。
日本への要請もこの文脈で考えなければなりません。
ベッセントが高市政権の積極財政に反対なのは、世界最悪の政府債務残高(対GDP比)を抱える日本で財政悪化が止まらなくなると、日本の長期金利上昇が止まらなくなり、同じく財政悪化懸念のある米国でも長期金利上昇につながり得るからです。こちらは分かりやすい。
では日銀に利上げしろと要請するのはどのような意図によるものなのでしょうか。彼は本当に日本に円安を是正して欲しいと思っているのでしょうか。
彼にとって最大の脅威なのが、断続的に四半世紀続いてきた円キャリートレードの巻き戻しが起こり、大量の米国債が売り浴びせられることです。
かつてサブプライムローン危機のときに円キャリートレードの巻き戻しが起こりましたが、日銀が利上げを行い日米金利差が縮小したことがこれに大いに貢献しました。
であればベッセントが日銀に利上げを促すのは一見おかしいように思えます。
では何故ベッセントは日銀に利上げを要求するのか。それは日銀がこれ以上利上げすれば、日本の長期金利上昇や日本株の暴落を惹き起こし、日銀が債務超過に陥り、日本円の信認が崩れると踏んでいるというのが私共の読みです。
今の日銀は株式ETFの含み益で息をしているだけです。もし日本株が暴落すれば日銀は債務超過に陥ります。日銀は日本の国債と株式の両市場の支配投資家ゆえ、日銀の信用失墜により両市場の回復は困難、日銀の債務超過は恒久的に続きます。
日本円の信認が崩れ紙屑になれば、円キャリートレードの巻き戻しなど大して起こりっこありません。誰も円建て資産を持ちたいと思わないし、借りた日本円もほとんどタダ同然で返済できるようになるからです。
円安是正のために日銀に利上げさせて、実際には円安スパイラルが起こってもおかしくないのです。
(先週水~木曜日にかけて為替が1ドル160円台から155円台に円高が進んだが、投機筋の動きで生じた短期的な現象です。目先の動きに捉われず目に見えにくい構造に着目してください。)
「円安が進めば日本が為替介入をして米国債を売るのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
これについてはベッセントが日本政府に対し、米国債を担保にNY連銀が米ドルを貸してやるからこれを介入資金に使えと提案しているため、為替介入で米国債が売られることはもうありません。
日米協調円買い介入の真相
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20260804-jpy/
日本を犠牲にしてでも米国を守る。これがベッセント財務長官、トランプ政権の目指す道なのです。
★これまで市場にシグナルを発信してきた中心はFedでした。
しかしウォーシュFed議長が先行きの政策方針(フォワードガイダンス)の発信に消極的になったいま、ベッセント財務長官こそ市場に最も大きな影響を与える人物となりました。
彼の意図を理解せずに資産運用を行うことはもはや出来ません。彼が市場の命運を大いに握っているのですから。
ベッセントの作戦について詳しくは本日配信のアボマガ・エッセンシャルの記事をご覧ください。下の青いボタンからご登録できます。