日米協調円買い介入の真相

[2026/08/04 読売新聞]日米協調介入、9か月前から調整…ベッセント財務長官がドル調達の手法提案

「今回の協調介入は、いわば日米通貨同盟の完成形だ」。3日午前9時すぎ、東京・霞が関の財務省2階。財務官の三村淳は、大勢の報道陣を前に、28年ぶりとなる円買いの協調介入の意義を強調した。

この日に至る日米間の調整は約9か月前に始まった。財務相就任から間もない昨年10月27日、片山さつきは米財務長官のスコット・ベッセントと初めて対面で会談。ベッセントから、日本が保有する米国債を売らずにドルを調達できる手法の活用の提案を受けた。日本政府関係者は「将来的な協調介入を視野に入れたもの」と受け止めた。

★完成型になったということは、その先は崩壊しかありません。

今回の日米協調の円買い介入が行われたタイミングは次のようなものでした。

第1に、高市政権の積極財政路線への懸念から、1ドル163円台にまで円安が進んできました。

第2に、高市首相が2027年4月から2年間、食料品の消費税率を1%に引き下げると正式に表明し、日本の財政悪化やこれによる円安進行にますます歯止めが掛からなくなる方向性が一層強まりました。

第3に、米国・韓国・日本の半導体バブルが破裂し始めたことで、金融市場が崩壊し、株安だけでなく金利が急上昇する恐れが現実味を帯びてきました。

第4に、トランプ政権は11月に中間選挙を控えています。

トランプ政権が最も恐れているのは、米国の長期金利の上昇が止まらなくなり、市場崩壊と財政難が同時に起こり、政権のみならず米国の命運が尽きることです。

日本政府が円安対応のために米国債を売って円を買う介入を続ければ、米国の長期金利の上昇と同時に株式市場も崩壊し、トランプ政権にとって最悪のシナリオが現実となる恐れがありました。

だから少なくともトランプ政権の政治的目標を達成するまでは、日本政府による米国債の売却をなんとかして食い止めなければならないのです。

とはいえ、米国には円買いを十分に行う力はありません。基軸通貨であるドルを発行している都合上、米国は外貨準備をあまり持っていないからです。

実際、日本は米国債だけで1.14兆ドルを保有していますが、米国の保有する外貨準備は377億ドルほどしかありません。このうち3割ほどは円建て資産なので、円買い介入に使えるのは200~250億ドル程度です。

米国は円買いのために米ドルをジャブジャブ発行することも出来ますが、今回の協調介入で米国はユーロを売って円を買ったようなので、米ドルを印刷する意思はないことが分かります(後述のように融資する意思はあります)。

ベッセント財務長官が「円買い入れ50億~100億ドル」と書かれたメモをわざと報道陣に見えるようにしたことは、円安が進展しないよう時間稼ぎをしたいだけで、円買い介入をあまりしたくない意思を匂わせます。政府は本音を国民に言いたがらないものですから。

ベッセント財務長官は片山財務大臣に対し、日本が保有する米国債を売らずにドルを調達しこれを円買い介入に充てるのはどうかと提案したと報じられています。

これは「FIMAレポファシリティ」という制度の活用を指します。日本政府・日銀が米国債を担保に超短期(1日または7日間)で米ドルをNY連銀から借りられる制度です。

要するに「ドルキャリートレード」を活用して円買い介入しろと米国は言っているのです。

これは一時的に円高ドル安につながり得ますが、借りたドルは必ず返さなくてはいけませんから、最終的に巻き戻しが起こります。

リーマンショックの前後では円キャリートレードの巻き戻しにより円高が急速に進みました。今度はその逆が起こるということです。