[2026/06/24 BigGo ファイナンス]SKハイニックスが戦略転換か、HBM4拡張を減速し汎用DRAMの高収益に回帰
SKハイニックスが戦略の急転換を図り、第6世代の高帯域幅メモリ「HBM4」の量産拡張を減速させ、生産能力を汎用DRAM市場に振り向ける方針であることが明らかになった。背景には、エヌビディアの次世代チップ「Rubin」の生産見通し下方修正と、深刻な供給不足により汎用DRAMの営業利益率がHBMを15ポイント以上も上回り、理論上のピークで90%に達する見込みとなったことがある。
ちょうど韓国株が下げ始めたおよそ一か月前のニュースですが、何か違和感を覚えませんでしたか。
SKハイニックスはHBMの生産でサムスン電子を抜いて、一時時価総額で世界最大のメモリ会社に躍り出た会社です。
サムスン電子は昨年終わりから、HBMの生産ラインの一部を、価格暴騰でより大きな利益を出せるようになった汎用DRAMに移行し始めました。他方、SKハイニックスはこの移行をしてきませんでした。
HBMから汎用DRAMに生産ラインを移行することは「ダウングレード」を意味します。一旦移行すると再度HBMの生産ラインに戻すために数年の時間と多くの費用がかかります。
SKハイニックスの崔泰源(チェ・テウォン)会長は、来年のAI向け半導体需要は前年比60%から100%増加するだろうと言っています。
彼が嘘をついていなければ、エヌビディアがRubinの生産見通しを下方修正したのはおそらく一時的でしょう。生産ラインを汎用DRAM用にダウングレードするのはやりすぎです。
よってSKハイニックスのこの決定は、AIデータセンター界隈に非常に不味い問題が生じていることを示唆します。
考えられることは2つあります。
一つはAIデータセンターの建設が思うように進んでいないことです。
ハイパースケーラーは全体で年内にフリーキャッシュフローが赤字に転落、拡大していく見通しであり、これ以上データセンターに積極的に投資すると財務破綻が現実味を帯びてきます。
米国では地域住民が電力・水資源の枯渇、電気代・水道代の高騰、騒音による住環境の悪化を懸念し、データセンター建設計画の中止を求める運動が全国に広がり始めています。
データセンター建設計画の中止は今年に入り急激に増え始めています。
もう一つはHBMそのものを作ることが困難になってきた可能性です。
半導体生産に欠かせないヘリウム、硫黄、フォトレジスト(ナフサ由来)といった原材料はホルムズ海峡の閉鎖により安定調達が困難になっています。
他の原材料への代替は基本的に不可能であり、在庫が尽きた瞬間に半導体生産が文字通りストップします。
もしあなたがこのことを知らないのであれば勉強不足です。幣ブログでも関連記事を配信してきました。
石油が消え、半導体も作れない世界へ。カタール発「ヘリウム供給途絶」がもたらす真の文明危機
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20260413-heliumshock/
日本のナフサ不足で世界の半導体製造が止まる日
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20260615-oil-semicundoctor/
HBMは汎用DRAM基板の上に8~16層のダイをシリコン貫通電極で留めて垂直に積み重ねたメモリです。
つまりHBMの製造工程は「汎用DRAMの製造+α」であり、このプラスアルファの分だけ、汎用DRAMよりも必要な原材料が多くなります。
SKハイニックスの原材料の在庫がいよいよ厳しくなり、HBMの製造が困難になり始めたのかもしれないのです。
HBMはAIチップに欠かせない部品です。HBMを十分に作れないことは、AIチップを十分に作れないことを意味します。
★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。
[アボマガ No.394]半導体バブルが弾け始めた
韓国株や米国の半導体株指数は6月20日前後から急落し始め、いずれもピークから20%以上急落し弱気相場入りしました。
SKハイニックスはピークから41.1%暴落、サムスン電子は33.4%暴落、マイクロンは26.6%暴落、キオクシアは50.3%暴落と世界中の半導体個別銘柄は大暴落しました。
今回のAI・半導体バブルはデータセンターの投資が膨れ上がり、AI業界の天井知らずの活況が永く続くことを市場が期待した故に起こりました。
もしハイパースケーラーの財務悪化、もしくは半導体原材料の不足でデータセンターの建設が困難になれば…?
イラン戦争の激化で原油価格は再び上昇し、Fedの利上げ懸念が増しています。今のバブルは利下げ期待で続いてきた感もありますが、もしこの期待が潰えたら…?
日本の円安・インフレは止まらず、ドル円は163円台に突入しました。
もしいま虎の子の資産を失えば、円安とインフレの刃がなけなしの資産の価値をも腐らせてしまい、人生は滅茶苦茶になります。
AI・半導体バブルに乗っかってきた方々は、運命を左右する決断の時を迎えています。