ホルムズ閉鎖で中国「ティーポット」のビジネスモデルが粉砕した

世界最大の石油消費国である中国で異変が起こっています。

中国の原油輸入量が2018年以来の最低水準に急落
https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/Chinas-Crude-Imports-Plunge-To-Lowest-Level-Since-2018.html

中国の原油輸入量は日量670万バレルと10年前の水準にまで減りました。昨年は日量1155万バレルでしたから、40%以上も激減しました。

減少した日量550万バレルというのは昨年の中東からの輸入量に匹敵します。中国は中東から石油をほとんど輸入しなくなったのです。

中国の石油輸入減少は、そっくりそのまま「ティーポット」(山東省に拠点を構える独立系製油所)の操業縮小に繋がっています。現在の稼働率は50.5%と2017年以来の低水準にあります。

中国の「ティーポット」製油所、操業を2017年以来の最低水準に縮小
https://oilprice.com/Latest-Energy-News/World-News/Chinas-Teapot-Refineries-Cut-Operations-to-Their-Lowest-Level-Since-2017.html

私共は当ブログでティーポットについていくつか記事を書いてきました。ティーポットは中国が世界中に安価な製品を大量にダンピング輸出する元凶であり、貿易均衡を大いに歪め世界経済に多大なる悪影響を及ぼしてきたからです。

イランへの制裁を表向きに中国の独立系製油所を潰そうとするトランプ
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20250512-china-teapot/

イランテロ組織と中国が関与する「闇経済の瓦解」を市場は織り込み始めたか
https://www.avocado-fes-thought.com/blog/20260115-iran-china/

ティーポットは米国から制裁を受けて安価となったイラン、ロシア、ベネズエラ産の原油を闇輸送経由でスポット購入し、製油品や石油化学製品を製造してきました。

激安の製油品や石油化学製品、またこれらを使って製造された様々なモノが、世界各国にダンピング輸出され、供給過剰・大幅な値崩れが起こってきました。

安価な製油品や石油化学製品を作って売るというティーポットのビジネスモデルは、調達する原油の価格が安いからこそ成り立ってきました。

ところが今年初めのマドゥロ大統領(当時)の襲撃でベネズエラ産原油の調達が出来なくなり、今回のイラン戦争でイラン産原油を安値で調達することも事実上不可能になりました。これによりティーポットの利益率が劇的に悪化しました。

イラン戦争を機に米国はロシアへの制裁を徐々に緩和しており、ロシア産原油の闇輸送の摘発も進んでいますから、いずれロシア産原油の安価な調達もできなくなります。ティーポットのビジネスモデルは崩壊したと見て良いでしょう。

★中国の石油需要低下により原油価格は下がるという意見が大手メディアから散見されます。

しかしティーポットが粉砕することで世界には安価な製品が流れなくなりますから、世界にインフレがもたらされることになります。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

[アボマガ No.391]石油市場の期待と現実

米国とイランが停戦の覚書に署名したという「虚構」に人々は「期待」しています。

しかし「現実」には、ホルムズ海峡の戦争保険料は平時の数十倍に暴騰したままであり、紅海やオマーン湾に向かう迂回輸送のためのパイプライン建設は進んでいません。

湾岸諸国の石油・ガス施設は空爆による損傷を受けたままであり、石油を貯蔵するタンクはすでにほぼ満杯状態です。タンクが満杯だからと油田の生産を減らすと元の量に回復させることは物理的に困難になります。

湾岸諸国の産油量が恒久的に低下するという「事実に基づく確かな未来」に、誰も目を向けようとしません。

確かな未来を築くためには、いかに現実が厳しかろうと、事実を直視してそれに基づいて思考・行動するしかありません。

現実から目を背け続けても、妄想という霧の中を闇雲に駆け回っていては何処にも辿り着けないまま、インフレという底なし沼に嵌って抜け出せなくなるだけです。

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