為替介入はただのパフォーマンス:利上げせずに円安是正など出来るはずがない

[2026/05/29 日本経済新聞]円買い為替介入、過去最大の11.7兆円 財務省が4〜5月実績公表

財務省は29日、4月28日から5月27日の為替介入の総額が11兆7349億円だったと発表した。政府・日銀は円安進行に歯止めをかけるため、4月30日に円買い・ドル売り介入を実施した。

[2026/05/29 日本経済新聞]「10兆円為替介入」効果は1円 再び迫る160円、高まる追加介入観測

外国為替市場で円が対ドルで再び節目の1ドル=160円に迫る。10兆円規模とされる大型連休中の円買い為替介入後の上げ幅はこの1カ月でわずか1円に縮まった。介入の意義は何だったのか。

政府・日銀が本気で日本の円安に歯止めを掛けたいのであれば、利上げをしないことには話は始まりません。

日銀にとって3月以降は利上げをするに格好の状況となっています。最近インフレ率は2%を下回っていますが、これはガソリンの暫定税率の廃止という一時要因があったために過ぎません。

今年2月28日以降のホルムズ海峡閉鎖によるエネルギーや原材料の価格上昇の影響から、インフレ率はこれから上がるしかありません。

実質金利がマイナスであり、ホルムズ閉鎖という子供でも分かるインフレ加速要因が加わったにも関わらず、日銀は3月、4月の金融政策決定会合でいずれも利上げを見送りました。

円安を根本治療するために必須である利上げをせずに、対症療法にすぎない円買い外貨売りの為替介入を過去最大規模に実施したところで、介入効果が無くなるのは当たり前です。貴重な外貨準備をドブに捨てたも同然です。

石油についても同じです。石油の供給が大きく失われたなかでこれによる物価高に対処するためには、石油の需要を著しく減らすしかありません。

石油価格が高騰することで人々が簡単に石油を買えなくなり、消費を大きく落とす状況を作らなくてはなりません。

暫定税率を廃止にするどころか、ガソリン税をむしろ引き上げて石油の需要を意図的に落とすことすら一考に値するくらいです。政府の財政も潤います。

しかし政府の対応は真逆です。需要を急激に落とすどころから、ガソリン補助金支給や石油備蓄の放出という、石油需要を喚起する対症療法により喫緊の石油購入の負担を減らそうとしてきました。

近年の自民党政権は備蓄放出が大好きです。2022年以降、外貨準備、石油、コメの備蓄放出を放出し「物価高と戦っている庶民の味方」を演じてきました。

備蓄放出に躍起なのは、単純で、人々に訴えるインパクトが大きく、手っ取り早く、即効性を期待でき、馬鹿でも行える、政治的に実に好都合な支持拡大ツールだからです。

でも蓄えを放出して刹那的に価格を下げようとすれば、将来蓄えが大幅に不足・枯渇したときにインフレの炎は激烈に燃え盛ります。

一部の日本人は、政府が行ってきた「インフレ対策」と称するものは、政府が借金を減らすための組織的なハイパーインフレ喚起策であり、政府が国民を騙して国民の生活と命を危機に陥れていることを見抜いていることでしょう。

ハイパーインフレと共に江戸幕府も大日本帝国も滅びました。現在の日本の体制が滅びても何も驚くことはありません。