レイ・ダリオが円の崩壊から購買力を守るよう日本国民にメッセージ

[2026/02/09 週刊現代]【スクープ寄稿】レイ・ダリオから日本人への提言「この円安を『いつか終わる』とは思わないほうがいいでしょう」

世界有数の大富豪にして、歴史・社会・文化にも造詣が深い「米経済界のご意見番」。運用資産20兆円を超えるヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創業者のレイ・ダリオ氏が、ターニングポイントを迎える日本の政治と経済に関する長文寄稿を寄せた。迷える日本国民の姿は、彼の目にどう映っているのか。

この寄稿文は必読です。

レイ・ダリオ氏は兼ねてから米ドルの崩壊を警告し続けてきました。米国は長期債務サイクルの終焉にあり、基軸通貨としての地位を早晩失うとの考えからです。

米国政府は巨額の財政赤字を埋めるために大量の米国債を発行した結果、政府債務残高はGDP比で124%と第二次世界大戦のピーク時を超える水準になっています。

2021年に始まった高インフレを鎮静するために金融引き締めを行った結果、長期金利が上昇・高止まりし、米国政府は利払い費が急増し年間12.兆ドル超と国防費を上回り、社会保障費に次ぐ支出項目となってしまいました。

日本の状況は遥かに酷く深刻です。

日本の政府債務(対GDP比)は229%と、米国の124%の2倍近くに達しています。

日銀もFedも量的緩和のツケが回ってインフレと長期金利上昇を惹き起こしましたが、Fedの総資産は米国GDPの22%ほどに過ぎません。

他方で日銀の総資産はGDPの102%です。日本の経済規模を上回ります。それだけ黒田前日銀総裁が歴史上類を見ない規模で量的緩和を続けてきたということです。彼はA級戦犯に値します。

Fedは22~23年に掛けてインフレ退治のために痛みを伴いながらも、中立金利を上回るほどに政策金利を大きく引き上げてきました。量的引き締めも昨年12月1日まで行い総資産を4分の1以上減らしました。

ウォーシュ次期Fed議長は量的引き締めに前向きな人物です。米国は曲がりなりにも量的緩和という米ドル毀損の元凶となった政策の後始末を責任をもって進めようとしています。

日本の場合、量的緩和のやりすぎで、日銀はあと1~2回しか利上げできません。これ以上利上げをすると債務超過は不可避です。

もし日銀が本気でインフレ退治をするならば政策金利を4%程度まで上げる必要がありますが、これをやると日銀は簿価会計では1年待たずして債務超過に陥ります。

日銀は簿価で37兆円、時価でその倍以上の株式ETFを持っています。日本株が暴落すれば時価会計でも日銀はジ・エンドです。

そのため日銀は利上げや量的引き締めに本気で取り組むことは出来ません。長期金利が歯止めなく上昇し、日本株暴落の引き金を引くことになりますから。

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今後米ドルが崩壊するから円高ドル安が進むと主張している人たちが日本には一部いますが、彼らはみな日本のこうした憂う状況やこれによる円安リスクを無視しています。

最近進む円高ドル安も、利下げ期待の高まりでドル安が進んでいるためであって、円高によるものではありません。

レイ・ダリオ氏は米ドルが崩壊すると考えながらも、日本円も構造的に同じ問題を抱えており、円安の終わりというユートピア(幻想)に期待を抱かず、現実を直視し、具体的な対策を講じるよう促している点で好感が持てます。

日本政府・日銀は3年前からインフレ税と低金利による国民からの富を収奪を始めています。違う目線で見れば、日本政府はインフレと低金利に頼るしか財政再建の道がないと白状しているようなものです。

米ドルが崩壊しようが、日本円の価値が毀損し5%のインフレが続けば、1億円の円預金があろうとも老後期間中に紙屑となって消えます(→詳しくはこちら)。

インフレ時代とは、購買力を守るための行動を何も取らなければ座して死ぬ時代です。レイ・ダリオ氏も同じようなことを言っています。

私が20代半ばだった2014年に資産形成を始めたのは、黒田による量的緩和政策により日本円が将来紙屑化することを憂い、国家による富の収奪から購買力を守るためでした。

今では日本の国債利回りが大きく上昇し、金価格が1オンス5,000ドルを超えるまでになっています。

自らの生活を守る行動を早く取らないと国家諸共沈んでしまうことを現実的なリスクだと真面目に思い始めた日本人もさすがに増えてきたのではないでしょうか。