AIインフラ建設は株式市場の有り余ったお金を用いることになるかも

現在までの米国株の凄まじい値上がりは、長い視点で見ると1982年から40年以上続いていきました。

1970年代の高インフレを退治したFedを始めとした中央銀行が、グローバル経済金融体制の下、金融緩和策を2021年にかけて趨勢的に行い、過剰流動性を供給し、これが金融市場に大量に流れ込んだ結果です。

この過剰流動性が実体経済にあまり向かわずに金融市場に流れた大きな要因には、企業の資金ニーズが低下していったことがあります。

先進国でIT、金融、医療、教育、小売などのサービス業が経済に占める割合が増えていきました。こうした業種では工場などの巨額の投資を製造業ほど必要としません。

ICT化による資本効率の向上、製造業の新興国へのアウトソーシングも進みました。

その結果、かつて慢性的に資金不足であった先進国の企業は次第に事業を行うための資金がGDPに比べて小さくなり、21世紀に入ってからは資金余剰が常態となりました。

米国企業は資金余剰の大半を自社株買いに充て、株主に還元してきました。

しかし企業の資金余剰の時代も転換が迫っています。AI投資が激増していくためです。

25~30年までに世界のAIインフラ投資は累計8兆ドル程度に上るとの試算があります。これは世界の株式市場規模の6%以上に相当するもので小さくありません。

AIインフラ投資は2030年で終わりでなく、その後も増え続けるだろうと誰しも直感的に思います。

キャッシュフロー豊富なハイパースケーラーでさえ、外部からの資金調達が必要不可欠になり始めています。

データセンターのように巨額で長きに亘り使われるインフラを建てる際には、資産負債のミスマッチを防ぐため、超長期資本に頼るのがリスク低減のために必要です。

銀行融資や通常の債券で十分な金額を調達するのは現実的ではありません。銀行も一般投資家も、数十年に亘り企業に固定金利でお金を貸すのはリスクが大きすぎるからです。

よってハイパースケーラーは新株発行、もしくはプライベートクレジットに頼ることが現実的な選択肢です。彼らは後者を選好するようになっています。

プライベートクレジットに頼る場合、この原資を出すのは年金・生保・政府系基金といった機関投資家や富裕層です。

彼らは出資のための資金を捻出しなくてはなりません。そのために保有する株式を売却することもありましょう。売りの筆頭はポートフォリオに占める割合が大きくなり過ぎたセクターの銘柄です(リバランスの観点から)。

これは金融市場の過剰流動性が実体経済に流れていくことに他なりません。

こうした構造的変化が生じる可能性を頭に入れながら、米国株投資家はリスクを抑えながら投資や資産形成をするにはどうしたら良いのか、真剣に考えなくてはなりません。

★今週月曜日に紹介したAI関連銘柄は、こうした変化が生じると恩恵を被る側にあります。