インフレリスクを軽視し金融バブル生命維持装置と化したFed(FRB)の独立性が奪われても仕方あるまい

[2025/09/06 ブルームバーグ]ベッセント長官、金融政策含むFRB調査を要求-量的緩和を批判

米連邦準備制度理事会(FRB)は「責務から逸脱」することで自らの独立性を脅かしていると、ベッセント米財務長官が批判。金融政策を含め、FRBに対する独立した調査を行うよう求めた。

ベッセント長官は5日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載されたコラムで「独立性の核を成すのは、信頼性と政治的な正当性だ」と主張。「いずれもFRBが自らの責務を超えて行動することによって、危機にさらされている」と述べた。

ベッセント財務長官の寄稿内容には政治的な歪曲も含まれているが、Fedが自身の信頼を自ら棄損していったとの意見には同意である。

Fedは、量的金融緩和のやり過ぎで自らの信用を棄損していった。

Fedは2008年に量的金融緩和政策(QE1)という非伝統的な過激な金融緩和策を始めた。

AIGの破綻をトリガーにデリバティブが大爆発を起こし、大銀行が悉く潰れていき、金融システムが崩壊することを防ぐためのものだった。

これに関してはFedが最後の貸し手として金融システムを守る上で致し方ない面もあった。ベッセントの批判はおかしい。

ところが金融崩壊最大の危機を何とか乗り切った後の2009年3月以降にも、Fedは断続的に量的緩和を行ってきた。

金融システムの安定ではなく、景気回復や労働市場改善、インフレ目標の達成を目的としたものだ。

これらはこれまで政策金利の変更など伝統的な手法で制御してきたが、この制御にも非常時の緊急手段を常用するようになった。

巨額のマネーが金融市場に流れ込み、株式、債券、不動産、みな値上がり一辺倒となった。

量的緩和が制御不能のインフレをもたらすリスクのあることは、これを始めた2008年11月には広く知られていた。

しかし実際にはインフレは起こらず、代わりに金融市場に大量のお金が流れていったため、量的緩和をしてもインフレは起こらないとの幻想をFed始め各国の中央銀行は抱いてしまった。

中央銀行は量的緩和という「シャブ」の虜になったのだ。

2020年に新型コロナウイルスが蔓延し、ロックダウンで経済活動が停滞し、一時世界は大恐慌に陥った。

そこでFedはリーマン危機時を遥かに上回る、5兆ドル規模もの異次元金融緩和を始めた。

世界大恐慌の頃のような大デフレが心配されるのだから、これだけマネーを投下してもインフレなど起こりようがない。そうパウエル議長が考えていても不思議ではない。

ところがそれから一年後、米国のインフレは上昇が止まらなくなり、2022年には一時インフレ率は9%を超えてしまった。

長年Fedが続けてきた量的緩和の効果で、Fed自身が制御できないほどの高インフレを招いてしまったのである。

しかもパウエル議長はインフレが上昇し始めた2021年に一切利上げを行わなかった。利上げを始めたのはインフレ上昇から一年後の2022年3月だった。

歴史的に見れば、Fedは2009年以降にインフレ暴走のリスクを軽んじたと同時に、紙幣大増刷で金融市場バブルを起こし、これを維持するための機関に成り下がってしまった。

自身の金融政策で高インフレをもたらし責務を十分に果たさなくなった機関が、独立性の名の下に国の存亡に関わる権限を好き勝手振舞える立場にあることが許されるはずはない。

トランプ政権がFedを支配し独立性を奪おうと考えるのは政治的に仕方のないことなのだ。

まあ、トランプ政権がFedを乗っ取ったところで金融政策、金融システムが安定するとも思えないのだけれども。むしろ混迷を深めそうだ。

インフレリスクを軽視した点で日銀も同じである。量的緩和の規模や昨今の植田総裁の利上げ回避姿勢を見る限り、日銀はFedより何倍も悪質だ。

日銀はインフレリスクを軽視してきたというより、インフレ安定の責務を放棄している。

Fedがトランプ政権に乗っ取られるのであれば、日銀は解体するしかないね(笑)


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