トランプ大統領が4月3日に約束通りに相互関税を発表しましたね。5日に基本税率10%が適用済みで、9日に上乗せ関税が適用される予定です。
相互関税の中身を見て最も驚いたのはやはり関税率の大きさでした。
当初は各国の関税・非関税障壁の大きさに基づいて決めるとアナウンスしていたので、どの国も最大で10~25%程度だと見られていました。
ところが蓋を開けてみれば38カ国が25%以上の関税率を課せられ、最大50%という凄まじいものでした。先進国・新興国・途上国かどうかは一切関係ありません。
報道に出ている通り、相互関税率は各国に対する米国の「(輸入額ー輸出額)÷輸入額=1-輸出額÷輸入額」を2で割ったものです。関税・非関税障壁の大きさは一切関係ありませんでした。
(計算に関係ないだけで、関税引き下げ交渉には各国の関税・非関税障壁の大きさが関わるはずです。日本は消費税の税率引き下げ・廃止がマストです。)
この計算結果が10%未満の国、米国が貿易黒字の国には基本税率の10%だけを課します。ロシアや北朝鮮には基本税率を含め相互関税を課しません。政治的配慮が見られます。
最も被害が大きいのは東南アジア諸国です。第1期トランプ政権以来、中国への関税が課され強まるにつれ、スマホやパソコンなど電子機器、太陽光パネルといった製品が中国から東南アジアを迂回して米国に輸出されました。
この迂回貿易により米国の対中関税が骨抜きになっただけでなく、東南アジア諸国は対米輸出で大いに潤い、昨年にASEANは中国を抜いて米国への輸出額が最大になりました。
従来の関税の穴を塞ぎ、迂回貿易で儲けてきた連中たちを懲らしめると同時に、米国の製造業を復活させるという並々ならぬトランプ大統領の熱意、信念が形になったわけです。
中国への20%の追加関税やカナダ・メキシコへの25%の関税も含め、トランプ関税は最大で年間9000億ドル程度の関税収入を生みます。米国連邦政府の財政赤字の半分に匹敵する規模です。
★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。
先週配信した「今日のつぶやき~189言目~」で、トランプ大統領の自動車関税発動は「日本円に死の宣告が下ったようなもの」と言いました。このことについて詳述します。
日本円の未来について、事実、数字に基づいてちんと考えたいと思います。