Fedが生んだ官製米国株バブルの崩壊はドル安を導く

あまり注目されていませんが、先週のFOMCでFedは重要な政策変更をしました。

4月からバランスシートの縮小ペースを月間上限600億ドルから400億ドルに減らすことを決定したのです。

市場はマネーの需給で動きます。25bpや50bpの利上げより、米国債の保有縮小ペースを月間200億ドル、年間2400億ドルも減らすことの方が市場に与えるインパクトは遥かに大きいです。

量的引き締めは続けるので市場からのマネー引き上げは続きます。でも縮小ペースを減らしたのでよりハト派寄りになりました。

ほとんどの投資家や市場関係者は中央銀行のハト派転換は相場を押し上げる材料だと誤認しています。

実際にはタカ派からハト派への転換は、これまでのマーケットの上昇相場が逆回転し始める合図です。2000年や2007~08年のときがそうでした。

現在の市場サイクルは2009年から始まりました。この年にFedが量的緩和(QE1)を行って以来、世界中のマネーが米国株式市場に殺到して現在まで株高に加えドル高が進んできました。
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これが逆回転するということは、数兆~十数兆ドルものお金が米国から海外に流出することに他なりません。

トランプ関税は中長期的にドル高を招きますが、その前にFedが量的緩和によって生み出した巨大な官製バブル崩壊によるドル安が発生しそうです。

ドル安は輸入インフレを招きます。「紙幣の無尽蔵の発行」が巡り巡って米国民を再びインフレで苦しめるかもしれません。

★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。

トランプ大統領の関税発動で影響を受ける可能性のある銘柄についてお話ししています。

米国株は調整相場入りしたとは言え、最近の値動きを見る限り市場は関税の影響をそこまで深刻に捉えていないようです。今後公表されるデータ次第でさらなる調整余地があることになります。