江藤拓農相は14日の閣議後記者会見で、政府備蓄米を最大21万トン放出すると公表した。コメ価格の高騰に対処するためで、流通業者を経て3月下旬から4月上旬にスーパーなどの店頭に並ぶ見通しだ。コメ流通の円滑化を目的に備蓄米を活用するのは初めて。主要な業者で不足している集荷量に相当する規模を放出し、流通量を増やして値下がりを狙う。
「消えた21万トンのコメ」に関して、現在2つの説があります。
1)農林水産省は所在を把握出来ていないが、どこかの農家、農協などの集荷業者、卸売、外食、小売が在庫として抱えている説2)需給逼迫で、文字通りコメが本当に消えてしまった説
1)の説が正しいとしましょう。この場合、どこかの農家、農協などの集荷業者、卸売、外食、小売がコメを高値で売るために隠し持っていると考えるのが自然です。
農水省は放出した備蓄米を1年以内に買い戻すと言っています。よってコメを退蔵している輩は1年待てば、農水省の買いが入ることでコメ需要が増え、望み通りコメ価格の高騰が起きて利益を得ることが出来ます。
コメ価格を下げるためには、備蓄米の放出以前に農水省はこうした輩からコメを買い上げなくてはいけないのですが、これを農水省はやろうとしません。
2)の説が正しいとしましょう。この説は昨夏の猛暑でコメ在庫を40万トンほど取り崩したため、24年産のコメが18万トン増産しても差引22万トン(≒21万トン)のコメが文字通り消えたとするものです。
備蓄米は消費者に近い小売や卸売でなく、農協に売られます。
コメは本当に消えているのですから農協にもほとんどコメは残っていません。農協としては出来る限りコメを高く売りたいと考えます。
そのため備蓄米の一部を農協が在庫として取って置き、コメの流通不足を常態化させ、コメ価格の高値維持・高騰を期待するインセンティブが働きます。
仮にこうした動きが起こらなくても、1年後に農水省が買い戻すためコメの供給量は増えず、本当に消えてしまった分だけ供給不足の状況が続きます。
農水省は事実上の減反政策を続けていますから、コメの生産量は趨勢的に下がり続けます。
農水省の天下り先は農作物を売る側であって、消費側ではありません。
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今年の大河ドラマの舞台となっている時代に起きたのが天明の大飢饉でした。日本の近世最大の飢饉であり、東北地方を中心に少なくとも30万人以上が餓死・病死したと言われています。
一般には天候不順が大飢饉の原因と言われます。東北地方を中心に冷夏となり、岩木山と浅間山の噴火で火山噴出物が遮光して冷害をさらに酷くし、大凶作を招いたとされます。
しかし幕府が大量の年貢米を要求したり、米所である東北地方の藩、商人が蓄財や借金返済のために、平時から備蓄を含むコメの大半を輸出に回して儲けようとしたことが本当の原因でした。
すべての飢饉は人災です。当然、コメ価格は一時期「べらぼう」に上がりました。
(江戸では3~4倍に、東北地方では5~10倍になったと言われます)
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