今回は本日アボマガ・エッセンシャルで配信した記事の一部を転載します。
ロシアへの新たな制裁で石油供給はどうなる?
●これまでの石油市場
原油価格は2021~22年夏にかけて3倍以上に値上がりしました。ロックダウンから経済が回復するなか、産油国の供給調整や物流の混乱による供給制約があったためでした。
これは当時の世界的な高インフレにつながりました。高インフレが続き支持率が低迷していた当時のバイデン政権は、2022年の夏から米国の戦略備蓄の大量放出を始めます。
市場に大量の原油が供給されたことで原油価格は2023年初めにかけて、ピークから半値近くにまで下がりました。バイデン政権の目論見通り、インフレ率は低下していきました。
その後2023~24年終わりにかけて、ブレント原油価格は1バレル70~90ドル程度の範囲で変動し、方向感に欠ける展開が続きました。
戦略備蓄の放出が止まったなか、中国の軟調な石油需要とOPECプラスの減産縮小の先送りの綱引きが続き、石油需給にあまり大きな変化はありませんでした。
●バイデン前政権がロシアに新たな石油制裁を発表
昨年まで石油市場は凪のような状態にあったのですが、今年に入り石油市場に再び動揺が起こりそうな気配が漂ってきました。
バイデン前政権は退任を目前とした1月10日、ロシア産石油に対する新たな経済制裁を発表しました。すでにご承知の方も多いでしょう。
[2025/01/11 NHK]アメリカ ロシア産の石油運ぶ「影の船団」など制裁へ
アメリカのバイデン政権は、ウクライナ侵攻を続けるロシアの主要な収入源に打撃を与えるため、欧米の制裁を回避してロシア産の石油を運ぶ「影の船団」とも呼ばれるタンカーなどに、制裁を科すと発表しました。
バイデン政権は10日、ロシアの石油会社「ガスプロム・ネフチ」や「スルグトネフテガス」などを新たに制裁の対象に加えたと発表しました。
ロシアが、欧米の制裁を回避してロシア産の石油を運ぶために使っている「影の船団」とも呼ばれるタンカーなど183隻の船舶も、制裁対象にするとしています。
エネルギー分野で生産から流通にいたるまで幅広く制裁をかけることで、バイデン政権としては、ウクライナ侵攻を続けるロシアの主要な収入源である石油の取り引きを締めつけるのが狙いです。
原油価格は昨年末から上昇していましたが、この追加制裁の発表を受けて一段と高まり、ブレンt原油価格は一時1バレル82ドル台を付けました。
先週にかけて原油価格は下落が続き、現在は1バレル78ドル台です。先週はトランプ大統領がOPECに原油価格を下げるよう要請したことで実際に価格を下げる場面がありました。

●これまでのロシアへの制裁には抜け道があった
2022年にロシアがウクライナを侵攻したことを受け、欧米はロシア産の石油・ガスの輸入を停止するとともに、先進国のタンカーにロシア産原油を運べないようにする措置を打ち出しました。
ところがこの制裁には抜け穴があり、引用記事にもあるように「影の船団」がロシア産原油を運び、それが巡り巡って欧米(主に欧州)に石油製品の形で届けられてきました。
具体的には、インドを中心とした制裁の対象でなかった国々がロシア産原油を大量に輸入し、自国で精製し、燃料等の石油製品を欧米に輸出してきました。
昨年、欧米など制裁対象国はインドとトルコの6つの製油所から158億ユーロの石油製品を輸入しましたが、このうち66億ユーロがロシア産原油を精製したものと言われています。

下図はロシアのエネルギー輸出額の推移です。2022年に減少していますがこれは世界のエネルギー価格が急落したためで、制裁の影響を反映したものではありません。
2023年以降はエネルギー価格が比較的安定したことで、ロシアのエネルギー輸出額も今日まで安定して推移しました。
こうした抜け道を活用した迂回貿易の繁栄でロシア政府の税収も潤い、ウクライナ戦争のための戦費を賄うことができました。

このようにいままでのロシアへの制裁は全く無意味でした。石油市場全体で見ても、輸送ルートが変わっただけでどの国も石油供給が著しく損なわれたわけではありませんでした。
(欧州だけは喜望峰経由での石油輸入が増え、調達の費用と時間が増すという悪影響を被っていますが。)
●石油商売の旨味が減っている
ところが最近になって「影の船団」の関わる迂回貿易に変化の兆しが見られます。
ロシアからインドへの原油輸出量は2023年のピークに500トンほどありましたが、最近は300トン前後にまで落ち込んでいるのです。

これは何故でしょうか?答えはロシアのウラル原油価格にあります。
2022年の欧米の制裁で、ウラル原油価格は一時ブレント原油価格よりバレル当たり30ドルほど安くなりました。
ところがインドやトルコが石油商売で大儲けするために、ロシア産原油の輸入を大きく増やしたことで、ウラル原油のディスカウントは徐々に縮小していきました。
いまではウラル原油とブレント原油の価格差は1バレル5ドル未満になっています。ロシアからインドへの輸送距離は長いので、ここまでディスカウントが縮小するとロシア産原油の購入はかえってコスト高になってしまうかもしれません。
インドの製油所はこの商売で利益を上げることが難しくなっているのです。そのためインドはロシア産原油の輸入を減らしているのです。

●ロシアへの新制裁が石油市場にもたらす影響
このことを踏まえつつ、今年1月のバイデン前政権の制裁の効果はいかほどのものなのか考えてみましょう。
・・・(以下省略)・・・
ロシア以上に石油供給にインパクトを与える出来事
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産油国が原油価格を意図的に下げることは絶対にない
・・・(省略)・・・
市場への影響と石油関連銘柄の投資判断
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