米国の大手クラウド事業者が最近相次いで原子力発電所からの電力調達契約を結んでいます。
マイクロソフトは9月に現在稼働停止中のスリーマイル島原発1号機から20年間で835メガワットの電力を調達する契約を結びました。45年前に事故を起こしたのは2号機で1号機は無傷でした。
10月にはグーグルが小型モジュール炉(SMR)から500メガワットの電力供給契約を結びました。
その前の3月にはすでにアマゾンウェブサービス(AWS)がタレンエナジー社から原子力発電所直結のデータセンターの買収を発表しました。
さらに今月AWSは、小型モジュール炉の開発を通じてデータセンター向け電力を確保するためにXエナジー社に投資すると発表しました。これにより発電能力を960メガワットにまで拡張します。
マイクロソフトは9月にブラックロックなどの投資家と提携してAIに特化した300億ドル規模のインフラファンドを立ち上げており、今後このファンドを通じて原発投資を進めそうです。
生成AIの拡大でデータセンター向け電力需要は劇的に増えていくことが確実です。2023年から2030年の間におよそ3倍に増えるとの予測があります。
これらクラウド事業者はいずれも温室効果ガス排出量をネットゼロにすることを公言しています。
データセンターの運用や建設によって、ここ4~5年に間に各社の二酸化炭素排出量は30~50%増えてきました。
再エネの筆頭である太陽光発電と風力発電は天候によって発電量が左右されるという大きな弱点があります。
この欠点を克服するために蓄電池を設置することが考えられますが、米国政府は中国からのバッテリーやその素材、太陽光パネルに大きな関税を課すことを決め再エネの普及を自ら妨害しています。
原子力発電所からの電力調達なら二酸化炭素を排出せずにデータセンターを24時間365日稼働させられれます。燃料となるウランはUSMCA協定国であるカナダから調達できます。
2週間前の今日のつぶやきで米国は脱炭素のやる気がゼロでないかと書きましたが、原発復権がこれに対する回答のようです。
ちなみにOpenAIのCEOであるサム・アルトマンは、原子力スタートアップのOkloとHelion Energyで取締役会の議長を務めています。
近現代科学の集大成、象徴とも言えるAIと原子力が緊密に結びつくのは必然なのかもしれません。
★この動きは昨日アボマガ・エッセンシャルで紹介した銘柄にとって追い風以外の何物でもありません。